05 May

どうする?間もなく始まる「新型コロナウィルス」ワクチン接種 企業対応編

掲載日:2021年05月05日   
社会保険ワンポイントコラム

新型コロナワクチンについてまず産業医としての結論を述べます。

  1. 僕は打ちます。会社も打つことを強く推奨しましょう。
  2. 打たない人には打たない自由があります。会社は個人の選択を尊重しましょう。

1.社員の皆さんがワクチンを打つのは2021年後半から

2020年は新型コロナウイルス感染症が全世界を席巻し、200万人以上の死者を出した年になりました。このことだけで歴史に残る年です。一方、医学的にみるとこれほどの速度で極めて有効なワクチンが開発されたのも史上初めてのことです。

下の「英国の1日の患者数」の図をご覧ください。

世界に先駆けて昨年12月よりワクチンを打ち始め、今ではヨーロッパの中で最もワクチン接種率が高い国になったイギリスは感染者が急減し、1月から始めた3回目のロックダウンを解除できる予定です。イギリスのロックダウンは極めて厳しいもので、外食やイベントなどは一部を除いてもちろん禁止、すべての人は買い物等をのぞいて自宅から出てはいけない、友人家族同士でのホームパーティも禁止、仕事も医療などのエッセンシャルワーカーをのぞいては在宅勤務、学校もリモート授業を基本とするものでした。これがもうすぐ解除されて「普通の暮らし」ができるようになるのです。イスラエルも同じです。

コロナワクチンは今まで実用化されていなかった技術を用いて作成されたため、当初懐疑的な議論もありました。しかし、昨年末に2つの別々の会社が大規模な試験での極めて高い有効性(発症を95%防ぐ)を示した論文を発表しただけでなく、実際に打ち始めたところ患者が減ってきています。今や予防効果を疑う医療関係者はほとんどいません。日本でも2月より医療関係者に、4月より高齢者に予防注射が始まりやがて範囲を広げていくことになっています。ただ、会社で働いている方の多くは持病がない64歳以下の方でしょうから、社員の皆さんがワクチンを打つのは今年後半になると思います。

2.接種翌日には出勤できない可能性がある

多くの方は副反応が心配であろうと思います。今日本で認可されているワクチンは3週間の間隔をあけて2回打ちます。打った時に血圧が下がったり息が苦しくなったりする症状(アナフィラキシー)が出る方がきわめてまれにいらっしゃいますが、適切な医療により全く後遺症なく改善します。アナフィラキシー自体は、どんな予防注射でも薬でも食べ物でも起こりうるので、医師は対処に慣れています(例えば蜂に刺されることによるアナフィラキシーでは日本で年間10人以上の方が亡くなっていますが、ほとんどは医師のところまで運ぶ時間がなかった例です)。コロナワクチンの場合、日本では今までにのべ190万人が接種し、うち100例弱のアナフィラキシーが報告されていますが、亡くなった方は一人もいません。

むしろ会社で問題なのは、打った翌日くらいに熱やだるさが出ることです。この副反応は1回目より2回目の接種により強く起こり、しかも若い方ほど強く出るようで、翌日は39度の発熱が出てとても仕事などできないという方も稀にいらっしゃいます。2-3日で軽快するので心配はないのですが、会社においては接種翌日にはその方が出勤できない可能性があることを頭において業務内容を決めておく必要があります。

3.ワクチン接種は強制しない

ところで、現在日本が導入しているワクチンはファイザー社のもので、他にモデルナ社とアストラゼネカ社という2つの会社のワクチンを認可する予定になっています。このうちファイザー社とモデルナ社のワクチンは同種の製法で作られているのですが、アストラゼネカ社のものはまた別の製法で作られています。そして、アストラゼネカ社のものはどうやら効果においては他の2社にやや劣り、またごくまれではあるものの致命的な副反応がでることがわかってきました。とはいえ、メリットはリスクを上回り、実際英国ではアストラゼネカのワクチンが広く使われています。

また、新しいワクチンであるため、将来に何が起きるかはまだわかりません。例えば新型コロナの2度目の流行が起きて再度ワクチンを打った際の副反応・効果や、10年後に起きる副反応など、未知の部分が大きいと言えます。ただし、動物実験の結果などから、今のところそこまでおそれる必要はなさそうです。

副反応が心配、妊娠中であるなどいろんな観点から検討した結果、ワクチンを打たないことを選択する方はかならずいらっしゃいます。会社としては全員に打ってもらいたいと思うのは当然ですが、医療を受けるというのは何よりも本人の意志が尊重されるべきであり、社命で打つことを強制するなどというのはご法度です。また、打たないことを選択した社員が周りから白い目で見られないような雰囲気を醸成することも必要だと考えます。

ABOUT執筆者紹介

神田橋 宏治

総合内科医/血液腫瘍内科医/日本医師会認定産業医/労働衛生コンサルタント/合同会社DB-SeeD代表
 
東京大学医学部医学科卒。東京大学血液内科助教等を経て合同会社DB-SeeD代表。
がんを専門としつつ内科医として訪問診療まで幅広く活動しており、また産業医として幅広く活躍中。
 
原稿提供元株式会社ブレインコンサルティングオフィス「かいけつ!人事労務」
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