29 April

SNSや広告から反応がない…集客がうまくいかない時のチェックポイント

掲載日:2022年04月29日   
中小企業おすすめ情報

皆さんは集客のためにどんなことをしていますか?

ホームページやSNSで情報発信するほか、SNS広告やリスティング広告、チラシのポスティング、看板、雑誌広告など、色々な方法がありますね。しかし「広告を出しても反応がない」とか「結局は口コミに頼るだけ」といった声をよく聞きます。ここでは、集客がうまくいかない時に点検すべきチェックポイントを解説します。

集客がうまくいかない時にありがちな判断ミス

広告の反応が悪いと、多くの方は「広告媒体に問題がある」と考えがちです。例えばネイルサロンを営む方が「チラシのポスティングは効果ないよ。やってみたけど全然反応がなかったもの。」と言ったとします。どう思いますか?「へえ、そうなんだ。やっぱりポスティングなんて時代遅れなのかな」と思いますか? 思うように売れないと広告媒体のせいにしたくなるものですが、本当の問題は別のところにあることが多いです。

広告媒体を問題視する前に、点検すべきチェックポイントがある

集客がうまくいかない時は、下図のように点検を進めると本当の問題を見つけることができます。

ここで大切なのは、チェックポイントの順番です。最初から広告を問題視するのは得策ではありません。

最初に見るチェックポイント「①商品力と販路に問題はないか」

最初にすべきことは広告の点検ではなく、「売り物そのもの」の点検です。
具体的には次の2つを点検します。

  • 「そもそも、この売り物には、商品力があるのか?」(注1)
  • 「そもそも、今の販路は、この売り物に適しているのか?」

(注1)「商品力があるか」というのは、「価格と質のバランスが、競合品よりも優れているか」ということです。質より低価格で勝負する商品もあれば、質で勝負する高価格品もあるので、商品力は一概に「安いほど良い」「質が高いほど良い」とは言えず、価格と質のバランスで決まります。

以上2つを点検した結果、次のような状態であることが分かったとします。

  • サービスAは、同じような品質の競合サービスと比べて、高額である
  • 商品Bは、同価格帯の競合品と比べて、使い勝手が悪い
  • 商品Cは、普通は百貨店に置いてありそうな物なのに、庶民的なスーパーで売っている
  • 商品Dは、手触り等を試しながら買いたい物なのに、ECサイトだけで売っている

売り物がこのような状態では、どんなに良い広告を出しても売れません。広告以前の問題ですから、広告費をかけるだけ無駄です。実は「集客できない」と悩む方の多くが、このような状態のまま広告を出しているのです。

思うように売れない時は、広告のせいにする前にまず「売り物自体の商品力と販路」に問題がないか、点検しましょう。

次に見るチェックポイント「②広告の内容に問題はないか」

チェックポイント①に問題がなければ、チェックポイント②に進みます。
ここでは、広告の内容を点検します。具体的には以下のことを点検します。

  • 「その広告で、商品・サービスの内容と価格が簡単に分かるか?」
  • 「その広告で、商品・サービスの良さ(他との違い)がきちんと伝わるか?」
  • (無形サービスの場合)「サービス提供者の写真や経歴、提供場所の写真があるか?」

以上のことをクリアするのは意外に難しいものです。そもそも「何屋さんなのか」が分からない広告もあります。

時流に合わせた新しいサービスの場合は特に、分かりやすい広告を作るのは難しいです。一般的な商品・サービスと違って人々に予備知識がないので、説明の難易度が上がるのです。例えばユニークな子育て支援サービスや、シェアリングサービスなどが該当します。

商品内容・サービス内容が明確な広告であっても、「他と比べて何が良いのか」が端的に伝わる広告は少ないものです。そもそも事業者自身がきちんと競合調査をしていないケースも多いです。

また、サロンや教室など無形のサービスの場合は「売り物の姿かたち」を見せることができないので、「そのサービスを、どんな人が、どんな場所で提供してくれるのか」が分かる写真や説明が必要です。商品広告の場合の商品写真と同じくらい、必要です。

広告の内容に以上のような問題がある状態では、広告の媒体を変えても改善しません。広告媒体を見直す前に、広告の内容を点検しましょう。

最後に見るチェックポイント「③広告媒体に問題はないか」

チェックポイント①と②に問題がなければ、チェックポイント③に進みます。
ここでいよいよ広告の媒体を点検します。

インターネット上で提供する商品・サービスの場合は、当然ながらネット広告の影響が大きいです。一方、実店舗で提供する商品・サービスの場合は、商圏となるエリア内でお客様を獲得する必要がありますから、局地的な広告活動、つまり近隣へのポスティングなどが重要となります。また、通りがかりに買うような商品の場合は、看板や店構えが重要ですね。

このように、広告戦略の一般論や流行に左右されることなく、ご自身の商品・サービスの特性を考えて、それに合った広告媒体を冷静に選びましょう。また、新規客獲得のための媒体とリピーター獲得のための媒体は、区別して使い分けましょう。

マーケティングの4P

広告の反応が悪い時に「商品内容」までさかのぼって点検するような「そもそも論」の検討は、日ごろスピーディーに経営を展開する方には、なかなか実行しにくいかもしれません。しかし検討の観点が偏ると、正しい経営判断ができません。

マーケティングの基礎知識としてよく登場する「4P」という言葉を知っていますか?これは、売り方を考える4つの切り口のことで、「4P」はこれらの頭文字を取ったものです。

  • Product(商品・サービス)
  • Price(価格)
  • Promotion(プロモーション)
  • Place(売る場所・販路)

こうした枠組みを使って検討することで、必要な観点を漏らさず検討することができます。

今回ご紹介したチェックポイントも、この4Pをベースにしたものです。
今回取り上げたチェックポイント①は「Product(商品・サービス)」「Price(価格)」「Place(売る場所・販路)」、チェックポイント②と③は「Promotion(プロモーション)」の切り口です。

スピードを重視するあまり偏った判断をすると、却って無駄な費用や労力をかけてしまいます。日ごろから「そもそも論」を避けることなく、急がば回れで正しい判断ができる経営者になりたいですね。

ABOUT執筆者紹介

経営コンサルタント 古市今日子

株式会社 理 代表取締役
経済産業大臣登録 中小企業診断士

外資コンサルティングファームなどで16年間経営支援の経験を積み、2016年独立。
事業再生に携わるほか、自治体の経営相談員や創業支援施設の経営指導員などを務める。
中小事業者・起業希望者の経営相談への対応件数は年間約200件

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