オフィスの電気代を抑える方法は? 有効な対応策を解説
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現代人の日常生活は、ありとあらゆる場面で電化製品の恩恵を受けています。当然職場で仕事をする時にも電力は不可欠な存在です。しかし、近年では燃料価格の高騰によって、電気代が悩みの種になっている企業は少なくありません。
この記事では職場の電気代を削減する方法について解説します。無駄を減らしたり、業者を見直したりといった方法で、電気代の負担を軽減できる場合もあるので、対策方法を探している人は参考にしてみてください。
オフィスの電気料金の相場
オフィスではパソコン・電話・コピー機などのOA機器をはじめ、休憩時間に利用するための電子レンジやポットなどさまざまな電化製品が使用されています。ほとんどのオフィスは、一般的な家庭よりもスペースが広いため、照明や空調を広範囲に対応させなければならず、その分電気代が高額になりがちです。
オフィスの電気代は、10坪の広さで1ヶ月あたり約2万円、30坪で約4万円、70坪の場合は約7万円が相場とされています。月々支払っている金額が相場と大きく異なる場合は、一度電気の利用状況を見直しましょう。
ただし、「部屋の陽当たりが悪くて寒いため、暖房の設定温度を高めにしている」といったケースが考えられるように、オフィスの環境によって一概にはいえない場合もあります。
まずは大きな効果に期待できる空調の見直しを進める
経済産業省の資源エルギー庁が2023年6月に発表したデータによると、オフィスビルの電力消費の内訳は、空調が全体の約49%、照明が約23%を占める結果となっています。
このデータをみると、コストカットは最も割合の大きい空調機器の改善から取り組むのが効果的だと判断できます。
空調の電気代削減を手軽に始められる取り組みに、使用時間の見直しがあります。夏場であれば、気温が高くなる昼頃から夕方にかけての時間帯は冷房を控えめにするといった方法が考えられるでしょう。
ただし、コスト削減を意識するあまりに真夏や真冬に空調の使用を極端に控えてしまうと、オフィスで働く従業員の体調が崩れる原因になりかねません。社員が会社の方針に対して不信感を抱く原因になるため、度を超えた節電にならないよう注意しましょう。
また、空調のメンテナンスがコスト削減につながる場合もあります。空調のフィルターにほこりがたまると、空気の通り道が塞がれてしまい、空調が効きづらくなってしまいます。そうなると、室内を適温に保つために、空調の設定温度を必要以上に高くしたり低くしたりして、電力を余分に消費する要因になりかねません。節電の観点からも、フィルターの掃除は定期的に行いましょう。
使用している空調が古い製品の場合は、買い換えを検討してみるのもひとつの手です。最近の空調は、高い省エネ性能を持つ製品が多いので、買い換えにより月々の電気代を大幅に減らせるでしょう。
空調以外の設備も使い方を改善すればコスト削減につながる
空調以外にも、消費電力全体の2割以上を占める照明も、電気代削減に乗り出したい項目です。照明に蛍光灯を利用しているオフィスは、LEDへの変更が効果的。LEDの消費電力は蛍光灯の1/3程度のため、大きなコスト削減が見込めます。さらに、蛍光灯の寿命は6000時間から13000時間が目安ですが、LEDは約40000時間とされており、買い換えの手間も削減できます。LEDへの交換工事にかかる費用は、1カ所3000〜5000円が相場とされています。
また、天井に照明を設置するための機具があるすべての箇所に、照明を取り付けているオフィスは少なくないでしょう。しかし、すべての箇所に照明を取り付ける必要はないので、明るさに支障が出ない範囲で利用する照明の数を減らせば、消費電力の削減に効果的です。
ほかにも、上で紹介した経済産業省の電力消費の内訳データでは、複合機が全体の7.3%、パソコンが全体の6.6%を占めていました。両者を合算すると全体の約15%に昇るので、OA機器もあなどれません。
OA機器の電力削減への取り組み例に、パソコンのディスプレイの明るさを調整する方法があります。明るさを100%から40%にまで落とすと、モニターの消費電力を20%程度抑える効果が見込めるといわれています。明るさを最高値にしなくても問題ないという社員がいれば、その分削減につながるので、一度ディスプレイの明るさの調整を社内に促してみましょう。
電力会社を変更する場合はなるべく1年の様子見期間を持つ
2016年4月の「電力の小売全面自由化」により、電力業界に新規の業者が参入しました。既存の業者から、これらの新電力企業に乗り換えると、電気代を削減できる場合もあるでしょう。
電力会社の変更で注意したいのが、オフィスの電気の使用傾向を把握しないまま、業者の変更を進めてしまうと失敗する可能性が高くなる点です。そのため、新しく移転した場合などは、少なくとも1年間は業者を変更せずに様子を見てみましょう。
1年間同じ電気会社を利用し続けると、月ごとの消費電力と金額の推移から年間を通した使用傾向のデータを取得できます。このデータを基準に考えると、別の電力会社に見積りを取る際に、乗り換えをするとどれぐらいコストを削減できるかが、より現実に近い数値で計算しやすくなります。
もちろん、1年を待たずに電力会社を変更することも可能です。しかし、電気の利用実績の情報が十分に蓄積していない状態で急いで変更に踏み切ると、「春と秋はお得になったが、空調を多用する夏と冬は以前より割高で、年間でかかるトータルの電気代は高くなった」といった、結果として損するパターンも考えられます。
そのため、移転したてのオフィスでは、業者変更を焦らずに、まずは事例をつくることを優先しましょう。
ABOUT執筆者紹介
内田陽
金融系の制作業務を得意とする編プロ、ペロンパワークス・プロダクション所属のライター兼編集者。雑誌や書籍、Webメディアにて、コンテンツの企画から執筆までの業務に携わる。金融関連以外にも、不動産や人事労務など幅広いジャンルの制作を担当しており、取材記事の実績も多数。