災害と税務(2)
税務ニュース
現在、政府や国会では、被災された方、援助される方への対応として様々な特例措置を講じております。
(1) 災害による申告・納付期限の延長について
今回の東日本大震災を受けて国税庁では国税通則法第11条に基づき、申告・納付の期限延長の対象地域の指定を告示しました。
これにより平成23年3月11日以後に到来するすべての税目の申告・納付期限が自動的に延長されます。告示された対象地域は青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県の5県となります。
また対象地域外においても災害その他やむを得ない理由によってそれらの行為が行えないと認められた場合は納税地の所轄する税務署にて所定の手続きを行うことで2ヶ月間の延長を受けることができます。
▼[国税庁HP]東北地方太平洋沖地震により多大な被害を受けた地域における申告・納付等の期限の延長の措置について
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/index.htm
▼[国税庁HP]災害を受けた場合について
http://www.nta.go.jp/taxanswer/saigai/saigai.htm
(2) 寄附金控除(義援金)の税務上の取扱いについて
東日本大震災による被災者支援策として、税制面から緊急に対応すべき国税関係の措置を取りまとめた「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」が4月27日に可決・成立し、同日、公布・施行されました。義援金が国や地方公共団体に拠出された場合は税務上で優遇措置を受けることができます。
たとえば法人が義援金を寄附した場合、「国等に対する寄附金」か「指定寄附金」としていずれも支出額は全額損金算入されます。
また個人の方の場合には、東日本大震災に係る寄附金を支出した場合の税制上の優遇措置が、以下のとおり拡充されました。
イ.所得税の寄附金控除を拡充
- 平成23年・24年・25年分の大震災に係る寄附について、寄附金控除の控除可能限度枠を総所得の80%(現行:40%)に拡大
- 次のロの指定寄附金について、税額控除制度を導入(税額控除率40%、所得税額の25%を限度)
ロ.次の寄附金については、寄附金控除等の対象となる寄附金として指定されました
- 東日本大震災に関して中央共同募金会が募集するボランティア団体等向けの寄附金
- 東日本大震災の被災者支援活動を行う認定NPO法人が募集する寄附金
▼[国税庁HP]寄附金・義援金
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/gienkin/index.htm
▼[財務省HP]東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案要綱
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/177diet/ss230419y.htm
(3) 雑損控除の措置
雑損控除、災害減免法の緊急対応の特例措置が講じられています。現行では、災害よって住宅・家財等それらに生じた損失は、その年の所得について雑損控除又は災害減免法による所得税の減免措置のどちらかを選択することができます。
今回の特例措置では、さらにその損失額を平成22年分の損失とみなして、これらの制度を適用することや、雑損控除については、控除しきれない損失の5年繰越(現行3年)を可能とする特例措置が講じられています。