01 November

リモート社員への手当・経費はどう支払えばいい?【社内ルールを決めておこう】

掲載日:2021年11月01日   
税務ニュース

1.はじめに―リモートワークの普及で気になる手当や経費―

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がリモートワーク・テレワークを推奨するようになりました。このトレンドは、ウイルス感染が落ち着いても大きく変わらないことが予想されます。リモートワークの期間が長くなるにつれて、リモート社員への手当や経費の支給について気になってくるのではないでしょうか?

「リモートワーク・テレワークに伴う経費はどの範囲まで支給すればいいの?」
「在宅勤務手当はどんな扱いで支給すればいいの?」

このような疑問を持つ方に向けて、この記事ではリモート社員に手当や経費を支払う際の注意点について解説します。在宅勤務手当などの支給についてお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。

2.在宅勤務手当は給与として扱う

社員に在宅勤務手当を支給する場合、通常の給与と同じ扱いであり、社員は所得税の課税対象となります。というのも、通勤手当などと違い使途をはっきりと限定できないからです。手当の額は一律とするのが一般的です。また、パソコンなど在宅勤務に必要なものを現物で支給する場合も、「現物給与」として課税対象になります(ただし、貸与であれば非課税です)。

在宅勤務手当を支給することで、後述のようなリモートワークの経費を算定する手間を省略できます。しかし、在宅勤務手当は業務上必要な費用として実際に使われなかった場合でも返還する必要はありません。そのため、どのくらいの額が妥当か、社内であらかじめしっかりと検討し、ルールを決めておきましょう。

3.リモートワークの経費として扱える範囲は?

在宅勤務手当を支給する方法に対し、リモートワークにかかる経費の実費を支払う方法もあります。この場合、後述する条件を満たしていれば、社員の所得税は非課税、会社は経費として計上できます。

リモートワークの経費として扱える範囲として、代表的なものを以下に挙げます。

・パソコンや周辺機器(本体の費用)

リモートワークの際、私用のパソコンを業務に使うとセキュリティ上問題があるため、会社のものを貸与しているケースが多いでしょう。その場合、貸与するパソコンや周辺機器、スマホ等の本体の費用は全額経費として扱えます。

・文房具などの事務用品

在宅勤務で使用するペンやノートなど、文房具類の費用も会社側が経費として負担します。従業員が購入した際に領収書をもらっておき、それをもとに会社側が清算するようにしておくと分かりやすいでしょう。

・通信費

無線LANや光回線の月額使用料、スマホのデータ通信料なども経費の対象です。ただし、自宅のインターネット回線などはプライベートでも利用するため、後述するようにどの程度企業が負担するのか、割合を算出する必要があります。

・水道光熱費

在宅勤務の場合、水道光熱費も経費として扱えます。たとえば仕事中に冷暖房や照明、パソコンなどを使うことで当然電気代などがかかるからです。ただし、これもプライベートと仕事で厳密な線引きはできないため、負担割合を決めておく必要があります。

このほか、業務で使用した郵便代や交通費なども経費の対象となります。その場合も、領収書は必ず確認できる方法を決めておきましょう。

4.リモートワーク経費の算定はどうすればいい?

仕事で使う文房具の購入など、領収書の金額そのものが経費になる場合は分かりやすいですが、通信費や水道光熱費などは、仕事で使用した経費を合理的に算出する必要があります。国税庁によれば、この場合の「合理的」な計算には、以下の式を使うとされています。

【インターネットなどの通信費・月額使用料】

参照:国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf 

なお、上記算定式の「1/2」とは、24時間のうち平均睡眠時間を8時間と仮定し、残り16時間のうち労働時間を8時間としたときに、1日のうち労働時間の占める割合を表したものです。

 

【電気料金】

参照:国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf 
※1/2の考え方は通信費と同様

以上のような式によって経費を算出した場合、その金額を企業が負担しても、従業員に対する給与として課税しなくていいとされています。

5.リモート社員へ手当・経費を支払う際は社内ルールを明確に!

在宅勤務をはじめ、リモートワークをする社員に手当や経費を支払う際には、事前に社内で支給のルールを決めておくことが大切です。というのも、これまで見てきたように経費の計算は複雑であるため、どこまで会社が負担するのか明確にしておかないと社員側とトラブルになる可能性があるからです。

具体的には、課税対象の在宅勤務手当として一律に支払うのか、もしくは費用の実費を負担するのか、といった点を明確にしておきましょう。就業規則などに在宅勤務に関する規定を盛り込んでおき、手当の額や経費の負担内容、さらに在宅勤務の頻度や労働管理に関するルールなども記載しておくのが理想です。のちのち社員側とトラブルにならないよう、必ず書面でルールを設定しておきましょう。

6.まとめ―適切なルールづくりで快適なリモートワークを―

この記事ではリモートワークに伴い、手当や経費をどのように支払えばいいのかについて解説しました。ポイントをまとめると以下のようになります。

  • 在宅勤務手当として一定額を支払う場合は、給与扱いで社員は所得税の課税対象となる
  • 経費の実費を負担する場合、会社側は経費、社員の所得税は非課税となる
  • ただし、通信費や光熱費などは合理的な算出が必要
  • 手当や経費を支払う際には、事前に社内ルールを明確にしておくことが大切

社員の意見やリモートワークで実際にかかる費用などをよく検討したうえで、適切なルールを整備しましょう。

ABOUT執筆者紹介

伯母 敏子(うばとしこ)

 

税理士。大学卒業後、大手リース会社の営業職、税理士事務所への転職を経て、平成28年4月に税理士登録、平成29年11月に独立開業。YouTube「ゆるふわチャンネル」は登録者数15,000名。各種媒体への執筆、セミナー、オンラインサロン運営など幅広く経理・税務関連サポートサービスを行う。

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