固定資産税はクレジットカードの方がいい?2022年お得な払い方を解説
税務ニュース
2022年度の固定資産税の納付が始まります。「現金納付が当たり前」と思われがちですが、実は、現金以外でも納められるのです。むしろ、クレジットカードや電子マネーなど、キャッシュレス決済で払った方がお得かもしれません。
固定資産税とは?納付時期と納付方法を確認
固定資産税は、毎年1月1日時点で所有している建物や土地といった不動産に課される税金です。不動産の所在する市町村(東京23区は東京都)が課税額を計算し、不動産を所有する人に送付します。
納付時期
納付時期は通常、年4回に分かれています。ただし、自治体によって納期は違います。例えば、東京都23区は6月、9月、12月、2月 が納期となっています。一方、八王子市は5月、7月、12月、2月 が納期です。
なお、年4回分の固定資産税は、一括で払っても問題ありません。納期限に間に合えばいいのです。
納付方法
以前、固定資産税の納付方法は現金と口座振替くらいしかありませんでした。しかし現在、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済アプリなどキャッシュレス決済の普及から、他の決済方法も選べる自治体が増えています。ざっと挙げると、次のような納付方法があります。
- 現金
- 口座振替
- ペイジー(Pay-easy)
- クレジットカード
- 電子マネー(交通系カード、nanaco、waon)
- スマホ決済アプリ(PayPay、LINEPay)
そして、さまざまなメリットから、キャッシュレス決済で固定資産税を払う人が増えているのです。
固定資産税をキャッシュレス決済で払うメリット
固定資産税をクレジットカードや電子決済、決済アプリで支払うと、次のようなメリットがあります。
ポイントがつく
多くのキャッシュレス決済は、決済の都度ポイントがつきます。クレジットカードでは、楽天カード なら500円ごとに1ポイント、PayPayカードなら100円ごとに1ポイントつきます。VisaLINE Payカードなら支払額の1%のポイント還元です。
また、スマホ決済アプリでは、LINEPay、auPayいずれも支払額の0.5%がポイントとして還元されます。さらに、LINEPayのようにポイントで税金を支払えるものもあります。
後払い・分割払いが可能
固定資産税の年4回払いは、分割払いの一つです。ただ、支払の際、納める本人に現金がなければ納付できません。
一方、キャッシュレス決済なら、今すぐ現金がなくても決済できます。高額の固定資産税でも、クレジットカードで分割払いにすれば、支払の負担を抑えられるのです。また、PayPayやauPayも後払いサービスを利用すれば、今すぐ現金がなくてもスマホで決済できます。
とにかくラク
現金払いにしても口座振替にしてもペイジーにしても「めんどうくさい」がつきまといます。現金払いやペイジーは、金融機関やATMに行かなくてはなりません。口座振替は、事前に手続きが必要です。また、時間制限もあります。
しかし、クレジットカードやスマホ決済アプリなら、自宅で原則24時間納付できます。クレジットカードは専用画面で入力すれば完了です。スマホ決済アプリは納付書のバーコードを読み込めば払えます。事前手続きもいりません。
固定資産税を現金以外で払うデメリット
一方、固定資産税のキャッシュレス決済には、次のようなデメリットもあります。
手数料がかかる
税金をクレジットカード払いすると、手数料がかかります。東京都23区だと、次のようになっています。
税額 | 決済手数料 |
---|---|
1円~10,000円 | 73円(消費税込80円) |
10,001円~20,000円 | 146円(消費税込160円) |
20,001円~30,000円 | 219円(消費税込240円) |
30,001円~40,000円 | 292円(消費税込321円) |
40,001円~50,000円 | 365円(消費税込401円) |
※以降、税額が10,000円増えるごとに決済手数料73円(消費税別)が加算されます。 |
【引用元】都税クレジットカードお支払サイト(東京都)(追記:令和5年3月31日サービス終了)
なお、スマホ決済アプリは手数料がかかりません。
ポイントがつかないことも
メリットの項目で「ポイントがつく」とお伝えしましたが、ポイントがつかないものもあります。電子マネーのnanacoはポイントがつきません。また、クレジットカードにも、税金払いでポイントのつかないものがあります。
また、現在ポイント還元される決済でも、ある日を境にポイントがつかなくことがあります。PayPayは、2022年4月1日から、税金や公共料金の支払いをポイント付与の対象外としました。
取消ができない
キャッシュレス決済で固定資産税を払うと、取消できなくなります。
クレジットカードはオンライン以外で払えない
クレジットカードでの税金払いは、パソコンやタブレット、スマホでしかできません。自治体の窓口や金融機関、コンビニでの納税には使えないのです。
口座振替と併用できない
口座振替をすでに選択している人は、キャッシュレス決済できません。納付書が送られてこないからです。クレジットカードや電子マネー、スマホ決済をしたいのなら、口座振替を停止する手続きが必要になります。
すべての自治体が対応しているわけではない
キャッシュレス決済を導入している自治体は増えています。しかし、すべての自治体が導入しているわけではありません。
今回ご紹介した決済方法で固定資産税を納めたくてもできないところもあります。地方に自宅や賃貸物件を所有している方は、事前に不動産のある自治体に確認した方がいいでしょう。
キャッシュレス決済を使えば間接的な節税に
固定資産税は、自治体側で土地や建物を評価し、課税額を計算します。評価方法も税率も決まっているため、納税者側では税金を抑えようがありません。
納税額が下がるとしたら、3年に1度の評価替えで評価額が下がったときくらいです。また、コロナ禍が始まった2020年のように、大きな災害があれば減免や納税の猶予で負担を抑えることはできます。どちらにしても自分でコントロールできることではありません。
しかし、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済アプリなら、ポイントをつけることで間接的に固定資産税を抑えられます。わずかな金額ですが、少しでも得したいと思うなら、キャッシュレス決済で納税したほうがよさそうです。
ABOUT執筆者紹介
税理士 鈴木まゆ子
税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒。ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、マネーの達人、朝日新聞『相続会議』、KaikeiZine、納税通信などで税務・会計の記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)。
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