新様式の『賞与支払届』は正しく提出できていますか
社会保険ワンポイントコラム
7月は多くの民間企業の賞与支給月にあたる。賞与を支給したときは、日本年金機構に『賞与支払届』を提出することが義務付けられているが、この届書は本年度から様式が変更されている。あなたの会社では新様式の『賞与支払届』を正しく作成・提出できているだろうか。
「被保険者用」と「70歳以上被用者用」の“兼用様式”へ
本年3月5日から厚生年金保険や健康保険の各種手続きに使用する届書が一部、変更になった。賞与支給時に提出が求められる『賞与支払届』と『賞与支払届 総括表』も変更されたため、今夏は多くの企業が様式変更後初めての賞与支給事務に取り組んでいる。
新様式の最も大きな変更点は、従来、異なる様式であった「被保険者用」と「70歳以上被用者用」の『賞与支払届』が“兼用の様式”になった点である。つまり、1種類の『賞与支払届』で全ての賞与支給実績が届け出られる方式に変更されたわけである。そのため、一見すると企業側の書類作成負担が軽減されたように思える。しかしながら、新しい『賞与支払届』は記入項目が増加し、記入ルールが分かり辛くなったという問題も生じているようである。
見落としがちな新様式の「備考欄」
“兼用の様式”になった結果、新様式の『賞与支払届』には従来、存在しなかった「備考欄」が設けられた。その結果、今までよりも詳細な情報の記入が必要となる仕組みに変更されている。具体的には、「備考欄」に次のような情報を明記しなければならなくなった。
- 70歳以上被用者に賞与を支給した事実
- 複数の事業所で社会保険に加入する被保険者に賞与を支給した事実
- 同一月内に複数回の賞与を支給した事実
従来にはない記入欄なので、見落としに注意が必要である。
ほかにも、新しい『賞与支払届』には、
- 1千万円以上の賞与支給時の記入ルールが、「9999千円」と記入する方式から実際の標準賞与額を記入する方式に変更された。
- 70歳以上被用者の個人番号(マイナンバー)を記入しなければならなくなった。
- 提出者記入欄の位置が届書の左下から左上に変更された。
などの記入上の留意点も存在する。
本年度は社会保険関係帳票の様式変更後、実質的な初年度に当たる。そのため、企業側の社会保険事務に混乱が生じているようであり、手続き誤りも懸念されている。従って、社会保険に関する各種手続きの際は、例年以上に管轄年金事務所の確認をとることが大切といえよう。