16 September

青色申告の提出書類、何がある?個人事業主の確定申告で必要なものを解説

掲載日:2025年09月16日   
確定申告

個人事業主がはじめて確定申告を行う際、気になるのが提出書類です。特に青色申告だと、確定申告書以外にも必要な書類があります。何が必要なのでしょうか。そしてなぜ必要なのでしょうか。この記事では青色申告の基本を振り返りつつ、青色申告に必要な書類をお伝えします。

青色申告とは何か?個人事業主の特典を確認

青色申告とは、一定条件を満たした事業主が行える確定申告の方法を言います。個人事業主(所得税など)と法人(法人税など)のそれぞれにあります。個人事業主の場合、事業所得・不動産所得・山林所得を申告する場合に行えます。個人事業主が青色申告を行うと、主に次のような特典が認められます。

最大65万円の特別控除

青色申告を行うと、必要経費を総収入金額から差し引く以外に、65万円・55万円・10万円のいずれかを事業所得や不動産所得、山林所得から差し引けます。これを特別控除と言います。いくら差し引けるかは、条件によって異なります。

特別控除額 条件1 条件2 条件3
65万円 複式簿記で記帳していること(=確定申告書に損益計算書と貸借対照表を添付すること) e-Taxで確定申告するか、優良な電子帳簿保存をしていること 期限内申告をしていること
55万円 上記以外(紙申告など)
10万円 簡易な帳簿か現金主義で記帳していること 問わない 問わない

30万円未満の固定資産を一時で全額経費に

本来、10万円以上の固定資産を取得し、事業用として使い始めたなら、原則として減価償却をしなくてはなりません。しかし、青色申告をしている場合、固定資産の取得価額が30万円未満なら、事業用とした年に全額を必要経費に計上できます。

家族への給与を必要経費に

本来、家族が仕事を手伝ってくれていても、家族への給与は原則、必要経費にできません。家の中でお金がぐるぐる回るだけだからです。白色申告でも一定額を必要経費にできるという特例はありますが、上限があります。

青色申告なら、事前に届出をすれば、基本的に、その範囲内で家族に支払った給与額を必要経費に計上できます。

赤字を翌年以後3年間繰越か、前年に繰り戻し

白色申告だと、発生した赤字や黒字はその年で完結します。しかし、青色申告ならば発生した赤字を翌年以後3年間繰り越して翌年以後の黒字と相殺することができます。あるいは、前年に繰り戻して黒字と相殺し、納めすぎた所得税の還付を受けることが可能です。

青色申告をする個人事業主の条件とは

個人事業主が青色申告でさまざまな税制優遇を受けるなら、次の条件を守ることが必要です。

青色申告の承認を受けること

開業したら、青色申告の承認申請書を住所か事業所所在地の管轄の税務署に提出しましょう。青色申告をしたい年の年末まで(11月1日以降開業なら翌年2月15日まで)に通知が来なければ、承認されたものとみなされます。

帳簿をつけること

青色申告の制度は「事業主に自主的に記帳をしてもらうこと」が目的でした。そのため、記帳は必須となります。ただし「正規の簿記」つまり複式簿記を必須とするのは65万円控除・55万円控除です。簡易帳簿か現金主義の記帳、あるいは期限後申告となった青色申告は10万円控除となります。

期限内申告をすること

65万円・55万円の特別控除を受けるなら、期限内申告が必須です。1日でも遅れると10万円控除となります。また、赤字を前年に繰り戻して還付を受けるための申告も期限内申告が必須となります。

連続して確定申告書を提出すること

青色申告で赤字を繰越控除するならば、繰越する期間中は連続して確定申告書を提出することが必要です。また、赤字が発生した年については青色申告をすることが求められます。

青色申告での提出書類

青色申告で提出すべき書類は次の通りです。

  • 確定申告書(第一表・第二表など)
  • 青色申告決算書(正規の簿記の原則か簡易簿記なら「一般用」、現金主義なら「現金主義用」。このほかにも不動産所得用などがあります)
  • その他控除証明書など(必要に応じて)
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)

注意点

青色申告では次の点に注意しましょう。

青色決算書の添付が必要

青色申告は原則、正規の簿記の原則(複式簿記)に従って記帳をしていることが大前提となります。その証拠となるのが貸借対照表と損益計算書です。仮に簡易簿記や現金主義で記帳を行っているとしても、その記帳の証拠として損益計算書は必要となります。

つまり貸借対照表や損益計算書などの決算書は「私は自発的に帳簿をつけ、売上や経費を自己管理できていますよ」という証拠であり、報告書なのです。この報告をして初めて青色申告のさまざまな特典を受けられます。

帳簿も一定期間保存

記帳した帳簿などの保管も必要です。各帳簿についての保管期間は次のようになっています。

納税の期限は申告期限と同じ

所得税の納税は申告期限と同じ翌年3月15日となっています。申告も納税も、この期限を守って正しく行いましょう。

これからはじめて確定申告をする人にぴったりなのが、ソリマチの青色申告専用の会計ソフト「みんなの青色申告」です。発売から30年を誇る青色申告ソフトで、最新の法改正にも対応しています。

みんなの青色申告_体験版

直感的に操作できるデザインなどで多くのユーザーに愛されています。まずは30日間の無料体験で試してみてください。

ABOUT執筆者紹介

税理士 鈴木まゆ子

税理士・税務ライター|中央大学法学部法律学科卒。ドン・キホーテ、会計事務所勤務を経て2012年税理士登録。ZUU online、マネーの達人、朝日新聞『相続会議』、KaikeiZine、納税通信などで税務・会計の記事を多数執筆。著書に『海外資産の税金のキホン』(税務経理協会、共著)。

 

【個人事業主向け青色申告ソフト】みんなの青色申告

はじめての青色申告にオススメ!AI自動仕訳や充実したサポート体制など、簿記に詳しくない方でもスムーズにお使いいただけます。発売当初から改良を重ね、初心者からベテランまで、どなたでも使いやすい製品です。

 

お客様満足度No.1・法令改正に対応した財務会計ソフト「会計王」はこちら

  • おんすけ紹介ページ

Tag

最新の記事

2025年09月16日青色申告の提出書類、何がある?個人事業主の確定申告で必要なものを解説
2025年09月15日【2025年度(令和7年度)税制改正】個人事業主はいくらまで稼げば無税?知っておきたい非課税の上限
2025年09月12日経営相談の現場から[シリーズ第15回]いつまでたっても起業に踏み出せない
2025年09月10日押さえておきたい重加算税実務の背景
2025年09月09日青色申告をするなら開業届は絶対必要?提出期限やメリット、注意点を個人事業主向けに解説
人気記事ランキング
2025年04月23日 特定親族特別控除とは?大学生が150万円まで稼いでも63万円控除できるの?扶養控除との違いや課税リスクも解説
2025年07月10日 定額減税、まだ終わってない?2025年度(令和7年度)住民税の決定通知書で確認すべきこと
2024年03月01日 結局、一番得する社長の役員報酬額はいくらなのか!?
2024年10月30日 なんでうまく充電できない?USBケーブルと充電器のトラブル
2021年11月22日 共働き夫婦の子供はどちらの扶養? 令和3年8月からの健康保険の新基準を解説します。
2024年04月05日 フリーランス・クリエイターが立替払いした交通費等は源泉徴収が必要?
2022年08月24日 【インボイス制度】登録されているか確認する方法&公表サイトではどんな情報が公開される?
2024年12月04日 「NISAなどの金融所得があると社会保険料が増やされる」って本当?
2024年10月23日 【インボイス】消費税の2割特例、こんなはずでは…ありがちな誤解を4つ解説
2024年11月20日 【年末調整】定額減税で変わる源泉徴収票&控除済み及び控除されていない定額減税額の確認方法

カテゴリ

お問い合わせ

お問い合わせ

当サイトへのお問い合わせはこちらよりお願いします。