07 April

【創業ガイド Vol.01】起業のカタチ~「個人事業」と「法人」どっちではじめる?~

掲載日:2022年04月07日   
起業応援・創業ガイド

起業のスタートは個人事業?法人?

「起業しようと思うのですが、個人事業と法人のどっちがいいでしょうか?」
「起業する時に、法人でスタートするメリット、デメリットを教えてほしい」

1番よくいただくご相談です。

結論から言うと、法人にした方が税金面で明らかに有利な場合は法人にしましょう。その次に、その他のメリットとデメリットを比較し、メリットが多い場合は、法人でスタートをするのがオススメです。

税金面で法人の方が、個人事業よりも有利になる場合とは?

まず最初にどのような状態であれば、税金面で「法人」の方が有利といえるのかをみていきましょう。ポイントは、「法人税と所得税の税率の差」にあります。
次の表をご覧ください。左側が所得税の税率で、右側が法人税の税率を表した図になっています。

 <参考>
No.2260 所得税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
No.5759 法人税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5759.htm

 

所得税は超過累進税率で高所得になるほど、税率は高くなる

左の表をご覧下さい。国税庁の所得税の速算表というものを一部抜粋したものになります。所得税の税率は5%~45%と7段階に分けられています。1,949,000円までの部分には5%の税率、195万円以上3,299,000円までの部分には、10%の税率、最高で4,000万円以上には45%の税率がかかります。

法人税は、比例税率(固定税率)で一定である

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一方、右側の法人税は、二段階にはなっていますが、ほぼ一定になっています。所得が高くなっても、税率はほぼ変わりません。

一定以上の所得があれば、法人税の負担が、個人事業主よりも軽くなる

例えば、所得が900万円を超えた場合、左の所得税の所得が900万円を超えたら税率33% 右側の法人税の税率の表では、800万円を超えたら税率23.2%です。

ここで明らかに所得税の税率が法人税の税率を超えますので、所得が900万円を超える場合は、明らかに法人の方が税金はオトク、節税できると考えることができます。この有利不利の判定は、それぞれの扶養控除などの状況にもよりますので、一概には言えず、個別にシミュレーションをしていただくことが必要となります。でも、このように所得税と法人税の税率で、起業する時の所得の見込みで計算して、明らかに法人でスタートした方が税負担が軽くなる場合は、法人からスタートするのもよいでしょう。

法人でスタートする場合のその他のメリット

法人でスタートする場合のその他のメリットをみていきましょう。

①節税がしやすい

役員報酬(=会社経営者への給与)が経費になるというメリットがあります。個人事業主の場合は自分に対して経費を払うという概念がありません。しかし、法人は、役員報酬を払うと、それは経費になります。

この差は大きいです。極端なことを言うと、生活費として払うものが、経費になるのが法人で、自分に対してお金を払っても一切経費にならないのが、個人事業主です。また、倒産防止共済などの制度を活用することにより、経費にしながら、将来の退職金を積み立てる節税の手法などもあります。

②信用力が高い

一般的には、法人の方が、個人事業よりも信用力が高いと言えます。

そのため、

  • 資金調達の際に法人の方が調達しやすい
  • 従業員などを雇用しやすい
  • 大きな取引先と取引しやすい

というメリットがあります。このあたりは、感覚の問題にはなってはしまいますが、でもご自身で置き換えてみたら想像しやすいと思います。

もしあなたがどこかの会社で働くとすれば、個人事業主よりも法人に雇われた方が、より安心できるし、取引する場合も個人事業主よりも法人格があったほうが、より安心できると言えるのではないでしょうか。

法人でスタートする場合のデメリット

法人からスタートをするその他のデメリットをみていきましょう。

①設立費用がかかる

起業するときに、個人事業でスタートするのであれば費用はかかりませんが、法人は設立をするのに、費用負担が生じます。合同会社にするのか株式会社にするのかなど、設立する会社の形態にもよりますし、設立の手続きは、自分ですべて行うのか、司法書士などに依頼をするのかにより、費用は変わりますが、大体20万円以上かかります。

※次回の記事で設立の形態や費用について、詳しくご説明します。

②維持コストが高い

法人の方が個人事業に比べて、維持コストが高くなります。維持コストとは、主には、税理士や会計士に支払う税務申告の報酬などの専門家報酬です。

個人の確定申告に比べて、法人の確定申告は、所得計算が難しいです。個人的な見解にはなりますが、前提として法人税の知識がない方がご自分で法人税の確定申告を正しく行うのは相当ハードルが高いと思います。そのため、専門家報酬がかかります。

法人税の税金の計算や申告を税理士や会計士に依頼した場合の費用は、売上規模や業種にもよりますが、大体年間30万円前後からの報酬になります。

③事務作業が多い

法人は、個人事業に比べて税務署に対して、「法定調書」など報告をすべき書類が多いのでその分、事務負担が増えます。また、法人になると、「源泉徴収」という手続きも追加になります。役員報酬を払う場合も自分1人しかいない場合でも、自分で源泉徴収税額を計算し、納付書を作成し、期日までに納付の手続きを行う必要があります。

※個人事業でも従業員に給与を払っている場合は、源泉徴収の手続きが必要となります。

④社会保険が強制加入

法人は、社会保険の加入が規模によらず強制加入になります。一方、個人事業主は、従業員が5名未満の場合は、加入は任意となっています。

特に、従業員が5人未満の場合は、個人事業なら社会保険に加入する必要がないけれど、法人なら強制加入となるケースがありますので、社会保険料の負担は大きくなります。

まとめ

起業するときに、個人事業でスタートするか、法人でスタートするかの判断は、税金面でどちらが有利か、どちらの方がメリットが多くとれるかで判断されてはいかがでしょうか。

ただし、あまり考えずに、最初から法人にするのはおすすめしません。最近、マイクロ法人の設立など YouTubeなどで流行ってますが、売上や利益がまだ少ないうちは、節税の余地もなく、事務負担が多く、専門家報酬を払うのは、想像以上にきついです。

個人事業から法人にするのは、正直設立費用さえ用意できれば、2.3週間でできてしまいます。
迷う方、明確なメリットが今はまだないという方は、まずは個人事業からはじめて、みるのもよいかもしれません。

あなたの起業が、ご希望に叶った形でうまくいくことを心から願っています。

ABOUT執筆者紹介

税理士 吉村知子

ブログ 起業家の税金の知恵袋

ビジネス拡大のため、開業してから法人化を目指す個人事業主や法人のための税理士として、ともにビジネスの飛躍を目指す経営のサポートを行う。また、法人や個人事業主の顧問契約だけでなく、個人事業主向けの講座を開講。確定申告をゴールとしながら、経営者として必要となるお金の知識を学ぶオンラインプログラムが大好評。

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