東日本大震災から12年。社員の安全確保や事業継続に役立つ「防災アプリ」とは
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企業の経営においては、災害時の対応を考えることも大切です。防災マニュアルの整備など着手すべき施策はいくつも考えられますが、まずは社員ひとりひとりに「防災アプリ」の利用を勧めてみてはいかがでしょうか。この記事では社員の安全確保に役立つ防災アプリの基本や、用途別に代表的なアプリを紹介していきます。
防災アプリは「通知」と「位置情報」を必ず設定!
防災アプリとは一般的に、災害時の情報収集や、家族など身近な人の安否確認などができるスマートフォンアプリのことを指します。災害はいつ、何時起きるか予想がつきません。そのため、どこでも持ち運べるスマートフォンに防災アプリを入れておけば、迅速な災害対応につながるのです。
防災アプリは種類によって、利用できる機能が大きく異なります。また個人向けのほか、企業が社員の安否確認などに活用できる法人向けも提供されています。
このように様々な種類がある防災アプリですが、どのサービスにおいてもあらかじめ行うべき、スマートフォンの設定が2つあります。いずれもiPhone向けの「iOS」では、歯車のアイコンがついた「設定」アプリから設定することができます。
ひとつ目の設定は、防災アプリからの「プッシュ通知」を許可する設定。プッシュ通知とはアプリの最新情報を、スマートフォンの消灯時の画面(ロック画面)や、アプリのアイコン上に自動で表示してくれる機能のことです。これにより災害発生や経過の情報を、アプリ経由で迅速に知ることができます。「設定」アプリから以下のような手順で設定が可能です。
もうひとつは位置情報の取得許可。設定するとアプリがユーザーのいる場所を自動で把握し、滞在地に最適な災害情報を提供してくれるのです。設定手順は次のとおりです。
多機能な個人向け災害情報アプリ「Yahoo! 防災速報」
さて、ここからは防災アプリを用途別に紹介していきましょう。
まず初めは、ヤフー株式会社が提供する「Yahoo!防災速報」。ユーザーひとりひとりに合った災害情報を得ることができる、無料の災害情報アプリです。多機能なのが特徴で、「防災速報」「災害マップ」「防災手帳」という3つのツールを搭載。アプリ画面下部にあるタブにより、それぞれのツールを使い分けて幅広い災害情報を見ることができます。
機能の一つ「防災速報」では、地震・豪雨・津波をはじめとした14種類もの災害情報を確認することが可能です。あらかじめ位置情報の取得許可を設定することで、ユーザーがいる地域の被災状況や、適切な避難情報を優先的に表示してくれます。また、現在地以外にも3地点をあらかじめ登録できます。そのため家族の勤務先を登録しておけば、身近な人の安全確認にも活用できるのです。
一方で「災害マップ」の機能では、画面上に地図が表示され、各地の災害状況を随時確認できます。
最後の「防災手帳」では、災害への備えに関する情報をいつでも閲覧可能。例えば自宅や職場に近い避難場所をあらかじめ登録できる機能があり、自宅や職場に近い場所を登録しておけば、素早い避難行動につながるでしょう。
個人の安否確認に特化した月額課金制アプリ「ココダヨ」
次に紹介するのは株式会社ゼネテックの「ココダヨ」。このアプリは、身近な人の安否確認でとくに役に立ちます。アプリ内でグループを作成し、家族などをメンバーとして招待・追加することで、災害時にその人の位置情報を確認することができるのです。
前述したアプリとは異なり、「ココダヨ」は月額課金制のサービスです。1つのグループにつき、グループ作成者のみ月180〜880円の料金を支払う必要があるので注意しましょう。
グループをつくるにはまず、画面下部の「ホーム」画面から「グループにメンバーを追加する」を選びましょう。メッセージアプリの「LINE」などにより、ほかの人へグループに追加するためのURLと招待コードを送れます。
URLを経由して家族が参加すると、ホーム画面に新たなメンバーとして表示。ユーザーや追加されたメンバーは、「詳細設定」から名前やアイコン画像などをわかりやすく変更できます。
グループにメンバーが追加された後、震度5弱以上の緊急地震速報が発信されると、メンバーそれぞれに安否の報告が求められます。
報告の内容は、ホーム画面でメンバーごとに確認可能。しばらく報告がなかったときは、公的機関へ安否確認の要請をするなど、次の行動に活かすことができます。さらに、地震情報に連動して家族の位置情報が瞬時に共有されます。ホーム画面において、メンバーの名前の右側に現在地の名前が表示されるほか、アプリ内の地図上でも確認できます。
ホーム画面からは「グループチャット」の画面にも移動でき、グループ内でメッセージや位置情報のやりとりできます。災害時の伝言掲示板として活用するとよいでしょう。これらの機能は地震のみならず、警戒レベル3以上相当の大雨情報を検知した際にも活用可能です。
画面下部には「ホーム」以外に、「天気」「災害&警報」といったタブも。これらは前述した災害情報アプリと同様に、各地の天気予報や災害情報、避難所情報などを確認できます。
従業員へ効率的な情報発信ができる法人向けアプリ
最後に法人向けの防災アプリも紹介しましょう。大規模災害が起これば社員の安全確保はもちろんのこと、自社の事業への影響もできるだけ少なくする必要があります。法人向けアプリはこのような対策のため、全従業員に向けて災害速報や安否確認、部署ごとの対応策などを迅速に連絡できるのが特徴です。
また、多くのアプリにおいて安否確認結果を自動で集計する機能が搭載。未回答の従業員には再度、安否確認メールを自動送信するなどの対応ができるサービスも。こうした機能を搭載したアプリには、下記があります。
「Biz安否確認/一斉通報」
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社が運営する安否確認システムで、通信事業者ならではの堅牢な通信基盤が強み。震度7の地震にも耐えるデータセンターを運用し、災害発生時にも安定した稼働が期待できます。
「セコム安否確認サービス」
国内警備最大手であるセコム株式会社のアプリです。大きな特徴として、セコムが災害情報を独自に収集する点があげられます。災害の知識を持った専門スタッフが、公的機関などから入手した災害情報を迅速に確認。情報の精度を慎重に判断しつつ、顧客に向けてスピーディーに発信するのです。
「WowTalk」
平時のビジネスシーンでも活用できる企業内チャットアプリで、ワウテック株式会社が提供しています。付帯する防災機能が充実しており、普段使い慣れているチャットツールから社員の安否を確認できるのが大きなメリットといえるでしょう。
いかがでしたでしょうか。なお、法人向けアプリは基本的に年間あるいは月額課金制となっており、利用する従業員数とともに料金額が大きくなっていくことに注意しましょう。
従業員人数が少数の場合、無料のチャットツールや個人向けの防災アプリでも十分、用に足りる可能性もあります。予算や企業の規模に応じて、適切な防災アプリを導入するようにしたいですね。
ABOUT執筆者紹介
藤田陽司
各種金融系情報誌の編集・執筆業務を行うペロンパワークス・プロダクション所属。株・投資信託、暗号資産、年金などの編集・執筆を担当。不動産メディアの取材記事の企画・コンテンツ制作にも携わる。地方整備局公務員、業界新聞編集記者などを経て入社。建設関連の記事執筆や編集業務の経験を持つ。AFP/2級ファイナンシャル・プランニング技能士。
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