10月から『健康保険被扶養者(異動)届』の添付書類が変更になりました
社会保険ワンポイントコラム
家族を健康保険の扶養に入れる際に提出が必要となる『健康保険被扶養者(異動)届』。本年10月から、この届に書類を添付するルールが大きく変更されたことをご存知だろうか。具体的には、扶養をする者とされる者の「身分関係」や「生計維持関係」について、原則として添付書類に基づく事実確認により認定を行う方式に変更されている。代表例をいくつかご紹介しよう。
家族を扶養に入れる場合は「身分関係」の証明が必要
たとえば、会社員である夫が専業主婦の妻を健康保険の扶養に入れるとする。この場合、従前であれば夫と妻の「身分関係」が確認できる公的な書類の添付は求められなかった。しかしながら、本年10月からは原則として戸籍謄本、戸籍抄本または住民票記載事項証明書を『健康保険被扶養者(異動)届』に添付することにより、夫婦の「身分関係」を証明しなければならない。
もしも、戸籍謄本等の添付を省略したいのであれば、事業主が戸籍謄本等により両者の「身分関係」を確認する必要がある。その上で、提出する『健康保険被扶養者(異動)届』に社員である夫と扶養認定を受けたい妻の2人分のマイナンバーを記載し、さらに事業主が「身分関係」を確認した事実を『健康保険被扶養者(異動)届』に記載することが、添付書類を省略できる条件とされている。
家族が別居している場合は「仕送り額」の証明が必要
次に、会社員であるが子が別居する親を健康保険の扶養に入れるケースを考える。子が別居する親を健康保険の扶養に入れるためには、扶養認定を受けたい親自身の収入が子から受け取っている「仕送り額」よりも少ないことが条件とされている。ただし、従前の取り扱いでは「仕送り額」は原則として自己申告でよく、証明書類の添付は求められなかった。
しかしながら、本年10月からは扶養認定を受けたい対象者が16歳未満の場合や、16歳以上の学生でない限りは、預金通帳や現金書留の控えのコピーを添付して「仕送り額」を証明しなければ、扶養は認められなくなっている。
『健康保険被扶養者(異動)届』の添付書類の変更は、不正に扶養認定を受けて利益を享受しようとする“悪質な行為”を防止するための制度改正である。この届については本年3月に大幅な様式変更が行われてまだ半年程度であるため、人事労務部門にとっては変更続きで頭の痛いところだが、間違うことのないように正確な手続きをしていただきたい。
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