01 February

いよいよ中小企業も対象に!「時間外労働の上限規制」

update_2020年02月01日   
社会保険ワンポイントコラム

本年4月から、働き方改革の一環で中小企業に対しても「時間外労働の上限規制」が行われる。そこで今回は、2カ月後に迫った中小企業への本規制について、基本的な仕組みを整理しよう。

時間外労働の上限が罰則付きで法律に明記

社員に対して時間外労働をさせられる時間数は、元来、労働基準法内に定めがなく、厚生労働大臣の限度基準告示に従って行政指導が行われていた。法律で定められた基準ではなかったため、罰則による強制力もなかった。

しかしながら、法改正により、労働基準法の中に新たに時間外労働の上限が定められた。そのため、この上限を遵守しなければ法律違反となり、違反行為に対しては6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が設けられている。

時間外は「月45時間、年360時間」が原則の上限

法律に定められた時間外労働の上限は、原則として「月45時間、年360時間」である。従って、企業は36協定を締結して所轄の労働基準監督署に届け出た上で、「月45時間、年360時間」という時間外労働の上限を遵守しなければならない。

実は、この上限時間は、従前の限度基準告示による時間数と同じである。つまり、これまで大臣告示で定められていた時間外労働の原則的な上限が法定され、罰則を設けて企業に遵守を厳しく求めることになったものである。

「特別条項」に上限時間数が新設

さらに、臨時的で特別な事情があり、労使が合意をした場合には、年6カ月を限度に「月45時間、年360時間」の原則的な上限を超えて時間外労働が可能になる。このような仕組みを「特別条項」と呼ぶ。ただし、「特別条項」によって可能となる時間外労働の時間数には、次の3つの上限規制が設けられている。

① 時間外労働が年720時間以内
② 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
③ 時間外労働と休日労働の合計について、隣接する2~6カ月の平均が1月当たり80時間以内

従前は「特別条項」を利用することにより、実質的に上限のない時間外労働が可能であったが、新しい「特別条項」では上限規制が設けられたため、そのような行為が認められない。

また、「特別条項」の①が時間外労働の時間数だけの基準であるのに対して、②と③は時間外労働と休日労働の時間数を合算した基準になっている。新旧制度を比較すると、下図のとおりである。

「時間外労働の上限規制」の中小企業への適用まで、あとわずかである。各企業はしっかりと準備をしていただきたい。

《参考》
厚生労働省働き方改革特設サイト
時間外労働の上限規制
https://www.mhlw.go.jp/hatarakikata/overtime.html

ABOUT執筆者紹介

大須賀 信敬

コンサルティングハウス プライオ代表(中小企業診断士・特定社会保険労務士)

原稿提供元株式会社ブレインコンサルティングオフィス「かいけつ!人事労務」

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