採用のポイント!面接で「採ってはいけない人材」を見極めるコツ
社会保険ワンポイントコラム
様々な企業へ研修に伺う中で、よく聞く悩みの一つが「若手が育たない」ということです。そこには世代間ギャップや育成システムの欠如等、別の課題もあるものの、入口段階である採用の影響は大きく、ここで失敗すると後々大きな損害をもたらします。「採ってはいけない人材」とは、企業存続の上で悪影響を及ぼす可能性のある人材をいいます。職場の上司の仕事を阻害し、周りの人間のモチベーションを下げ、企業ブランドを傷つける、そのような人材はあらかじめ採用しないよう気をつける必要があります。今回はどのような人材に注意が必要なのか、またその見極め方についてお伝えします。
問題と感じる社員の共通点
大学生の就活支援をしている中で感じることは、内定を取れる学生は何社も内定を取り、逆に取れない学生は全く取れないという二極化です。それぞれ企業が求める人物像は異なるはずなのに、どうしてこのようなことが起こるのでしょうか。それは企業側が欲しい人物像に共通点があるためです。また、どの企業でも「問題と感じる社員」にも共通点があります。
当たり前の行動ができない人材
まず、社会人としての当たり前の行動ができない人材です。新入社員研修で徹底する「挨拶、返事、姿勢」、幼い頃から身につけておくべき基本を、今から身につけることは容易ではありません。また、約束を守る、時間を守る、嘘をつかない等、当たり前のことこそ後から変えることが難しいと感じています。
他責思考の人材
続いて「他責思考」の人材です。何か問題が起きると、その原因を全て他人や環境のせいにし、たとえ自分に非があっても認めず責任転嫁をする。他者の悪いところを探し、自分を正当化する。また、どんな指導をしても反論や言い訳をする。そのような姿勢は周囲のモチベーションを阻害します。
また、「自己否定」をする人材も同様に、周囲にマイナスの影響を与えます。自分の限界を考えずにたくさんの仕事を受けて、どれも完成させることができず、心身共に疲労し出社できなくなってしまう。「自分はどうせできない」と悲劇のヒロインを演じてしまい、周りの人間が仕事を頼むことに罪悪感を感じてしまう。このような周囲から「面倒くさい人」と受け止められてしまう人材は、なかなか他者と信頼関係を築くことができません。
上記はどの企業にも共通した項目ですが、企業ごとに「採ってはいけない人材」を設定することも大切です。「求める人物像」の設定をしている企業は多いですが、同様に自社の社員、お客様に合わない人物像も言語化します。過去に自社で採ってはいけなかった、トラブルメーカーとなってしまった社員の特徴はどのようなものでしょうか。具体的に抽出してみましょう。
採ってはいけない人材を見極める方法
では、これらの「採ってはいけない人材」はどのように見極めたらよいのでしょうか。一般的に採用では書類選考、適性検査、数回に及ぶ面接(個人、集団)のステップを踏みますが、何か一つで判断できるというものではありません。あらゆる方面から検討することが必要です。
書類選考
内容はもちろんのこと、提出期限や手書きであれば丁寧さ、写真からは身だしなみ等もわかります。足切りとして活用する企業が多く、最近では書類選考に変えて動画選考を行う企業も増えています。
適性検査
適性検査にもたくさんの種類がありますが、それぞれ判定できるポイントが異なるため、自社で何を把握したいのか明確にしてから選ぶ必要があります。「ストレス耐性」等、足切りとして活用する企業も多いです。
面接
面接では担当者による一次面接、役職者による二次面接、役員による最終面接、その間にグループ面接をふくむ企業もあります。大事なことは、どの段階で何を見極めるのか明確にしておくことです。その定義をしている企業は少ないのが現状です。
また、面接で「採ってはいけない人材」を見極めるために何を聞く必要があるのか。それは相手の過去の経験です。他者とどのような関わり合いをしてきたのか、人間関係構築力を見抜く必要があります。そのために、学生生活やサークル活動、アルバイト等の内容を深掘りしていくことがポイントとなります。面接で確認したいのは、相手の人となりです。思いではなく行動を徹底的に聞き出してください。その人らしさは「過去」にあります。
行動と合わせて、その行動に伴う感情や受け止め方を知ることで、社会人となってからの相手の行動が想定できます。
おわりに
企業側が応募者を見極めようとするのと同様に、応募者側も企業を見極めようとしています。良い採用をするためには、良い組織をつくること、企業の永続的な成長のため人事担当者の果たす役割は非常に大きいものです。
ABOUT執筆者紹介
社会保険労務士事務所サン&ムーン 田中亜矢子
1981年10月生まれ。二児の母。
2004年 愛知教育大学卒業後、岡崎信用金庫へ入庫。
9年間 営業店で投資信託や保険商品のセールスを経験後、人事部へ。5年間 採用、人材育成、労務管理を担当する。
2017年研修講師として独立。
2018年在学中に取得した社会保険労務士の資格を活かし、岡崎市で社労士事務所を開設。
専門分野は採用コンサルティング、社員教育、人事評価制度構築。
みんなが笑顔で自分らしく働き続けることのできる社会の実現に取り組む。
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