10 November

今、注目の「リカレント教育」!~厚労省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を解説~

掲載日:2023年11月10日   
社会保険ワンポイントコラム

厚生労働省(以下、厚労省)ホームページでは「学校教育からいったん離れたあとも、それぞれのタイミングで学び直し、仕事で求められる能力を磨き続けていくことがますます重要」として、このような社会人の学びを『リカレント教育』と呼ぶと示されています。

今回は推進策の一つとして、厚労省が策定した「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」の内容とともに、職場でのリカレント教育を推進するためのポイントを解説します。

「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」とは?

厚労省では、労働政策審議会(人材開発分科会)における検討・審議を経て「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」を令和4年6月に策定しました。厚労省ホームページからもダウンロードできます。ガイドラインでは、職場において取り組むべき事項をまとめただけでなく、公的な支援策の内容・利用方法や学び・学び直しに取り組む企業事例についても紹介されています。

また、令和5年8月には「職場における学び・学び直し促進ガイドライン特設サイト」が開設され、学び・学び直しに関する情報を得られやすい環境も整い始めています。ここからは特設サイトおいて、職場における学び・学び直しにおいての「基本的な考え方」として示されている‘’3つのキーワード‘’の内容を掘り下げるとともに、それぞれにお勧めしたい公的支援策を併せてご紹介します。

キーワード① 自律性・主体性

厚労省特設サイトでは「企業・労働者双方の持続的成長のためには、労働者の自律的・主体的、そして継続的な学び・学び直しの促進が重要となります。」と示されています。

会社は法令遵守・DXの加速化・SDGsに関する取り組みなど、時代の変化とともに求められることが多岐にわたり、それを全部把握するだけでもたいへんな労力となってきています。そのため、企業が職業訓練を行うだけでは、必要な取り組みが追い付かなくなったり、必要な視点が欠けてしまったりする恐れがあります。また労働者も会社が実施する‘’ 企業主導型の学び‘’だけでは、モチベーション向上を図ることが難しいという側面もあります。

労働者の‘’自律的・主体的な学び‘’が得られれば、労働者が会社へ必要な取り組み・必要な視点を提案するなど、業務の効率化へと結びついていきます。また労働者自身にとっても‘’自律的・主体的な学び‘’が、自らの職業人生を構築する機会として、仕事に対するやりがいを持って能力を十分に発揮できることにもつながっていきます。

お勧めの公的支援策①:雇用保険給付「教育訓練給付金」~従業員へ「教育訓練給付金」の存在を伝えることから始めてみよう!~

『教育訓練給付金』は、厚生労働大臣が指定する教育訓練(対象は約15,000講座)を修了した際などに、受講者(従業員)の受講費用の一部が支給される雇用保険の給付のひとつです。

「雇用保険=失業保険」というイメージがあり、『教育訓練給付金』を知らない従業員はいないでしょうか。また『教育訓練給付金』の存在を伝えていても、それを忘れている従業員はいないでしょうか。学びの場面を周知する際には、ぜひ『教育訓練給付金』も併せて周知することで、「会社に雇用されているからこそ、利用できる給付」ということを従業員が実感できる機会とし、自律性・主体性を促進していきましょう。

キーワード② 労使の協働

厚労省特設サイトでは「学び直しを一層促進するためには、経営者の基本認識の共有や、経営者や現場のリーダーによるサポートや支援が重要となります。」と示されています。

先ほど‘’ 企業主導型の学び‘’だけでは、労働者のモチベーション向上を図ることが難しく、‘’自律的・主体的な学び‘’が必要とお伝えしました。しかし‘’自律的・主体的な学び‘’だけを強調しすぎると、会社が従業員へ学びのすべてを一任しているように捉えられる恐れがあります。

だからこそ‘’ 企業主導型の学び‘’と‘’自律的・主体的な学び‘’の両方が必要です。
‘’ 企業主導型の学び‘’を通じて、「会社として、どのような人材を求めているのか」を従業員へ伝えていくことも大切であり、だからこそ『労使の協働』が必要になっていきます。

お勧めの公的支援策②:会社への助成金「人材開発支援助成金」~助成金利用を促進するため、令和5年度に制度が見直されました!~

「人材開発支援助成金」は、全部で7つのコースがあります。下記コースの詳細・他コースの概要などについては、厚労省ホームページをご覧ください。

『人材育成支援コース』は、従業員に対して所定の要件を満たした訓練を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。「雇用形態」「OFF―JTの最低訓練時間」などの助成要件について、令和5年より制度が利用しやすいものとなりました。

『教育訓練休暇等付与コース』は、有給教育訓練等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し、訓練を受けた場合に助成されます。労使が協働するためのきっかけとして、助成金を活用し、訓練のための時間確保について検討することも一つの方法です。

キーワード③ 学びのプロセス

厚労省特設サイトでは「雇用形態等にかかわらず、学びの目標の擦り合わせ、学びの機会の確保、また学びの実践や評価といった「学びのプロセス」を踏まえることが望ましいです。」と示されています。大切なことは、会社の思いが込められた‘’ 企業主導型の学び‘’、そして労働者の思いが込められた‘’自律的・主体的な学び‘’が両輪になることです。

‘’ 企業主導型の学び‘’と‘’自律的・主体的な学び‘’の目標が大きく異なれば、会社にとっては労働者へ学び・学び直しを推進する意義が無くなりますし、労働者にとってもモチベーションの低下、さらには仕事を辞めることにもつながりかねません。だからこそ面談などの場面で、目標の擦り合わせをし、それを実践し評価する「学びのプロセス」が必要になっていきます。

さらにはそのような場面の積み重ねが、学びの気運を高める職場風土が醸成され、会社にとっても労働者にとっても持続的な成長を促す好循環へとつながっていきます。

お勧めの公的支援策③:「生産性向上人材育成支援センター」~事業主を支援するさまざまな取り組みを活用しよう!~

「生産性向上人材育成支援センター」は、全国にあるポリテクセンター(職業能力開発促進センター)などに設置された、中小企業等の生産性向上に向けた人材育成を支援するための総合窓口です。事業主を支援するため、次のようなさまざまな取り組みを行っており、「学びのプロセス」をつくるきっかけとして活用できます。

  • 従業員の能力開発に関する相談(人材育成プランの提案 など)
  • 在職者訓練(能力開発セミナーの実施、訓練コースの提案 など)
  • 生産性向上支援訓練(DXの推進に資する人材の育成支援 など)
  • 職業訓練指導員の派遣や施設設備等の貸出(研修開催の提案 など)

参考資料

ABOUT執筆者紹介

社会福祉士・社会保険労務士 後藤和之

ごとう人事労務事務所

昭和51年生まれ。日本社会事業大学専門職大学院福祉マネジメント研究科卒業。約20年にわたり社会福祉に関わる相談援助などの様々な業務に携わり、特に福祉専門職への研修・組織内OFF-JTの研修企画などを通じた人材育成業務を数多く経験してきた。現在は厚生労働省委託事業による中小企業の労務管理に関する相談・改善策提案などを中心に活動している。

原稿提供元株式会社ブレインコンサルティングオフィス「かいけつ!人事労務」

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