ネット炎上!~そのときあなたの会社はどうする?
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会社でブログを開設していたり、社員が個人的にSNSやブログなどで会社の様子を書いていることがあります。その記事が炎上したら、会社はどのような対応をできるでしょうか。
令和4年にプロバイダ制限責任法が改正になったことは、話題になりました。今回はその内容をご紹介します。
1.事前対応について
会社の社員が、個人的にSNSやブログを書いている場合に、会社はどのくらい介入できるでしょうか。
まずは、会社の就業規則の一環として、SNSガイドラインなどを作成することが考えられます。社員の中には、どこまでSNSで公表して良いものか、わからない方もいるでしょう。社員の意識としては、「このくらいは大丈夫だろう」と思っても、実際は大事に発展する場合もあります。たとえば、取引先の会社の近くで撮った写真や、プライベートで取引先の方と一緒にいた写真をアップされることで、写り込みによる競合他社への情報流出や、取引先からのクレームにつながることもあります。
このような事態を防ぐため、会社が社員のSNSに注意を払わなくてはなりません。
社内でSNSに対する共通の認識を統一する意味でも、ガイドラインを設ける必要性があるのです。ガイドラインの内容に、会社が定期的に個人のSNSをチェックすることも明記しておけば、社員の意識も変わってきます。どこまでチェックするか、写真や記事をアップする際の注意点など、話し合いで決めていくことが重要です。
2.炎上後の対応
では、実際に炎上した場合には、どのように対応すべきでしょうか。
例えば、会社の開設しているSNSが炎上した場合には、その内容を削除し、会社として謝罪文を掲載するなどの対応が必要です。ここまでの対応を素早くできるようにしましょう。また、炎上したのが、社員個人が開設しているSNSだった場合にも、会社側で内容を確認の上、削除を求めたり、内容によっては、会社として謝罪が必要な場合もあります。
どちらの場合にも、SNSは簡単に拡散されます。拡散した先のデータを消去することは非常に困難なため、削除や謝罪は素早く行うことが求められます。この辺りの対応も、会社で複数名の担当を決めておかれたほうがいいでしょう。
3.悪質な攻撃について
こちら側に非が無いにも関わらず、悪質な攻撃を受ける場合もあります。
その場合には、裁判所に訴えを提起し、攻撃している人を特定し、損害賠償を請求することができます。これについて、令和4年10月に改正プロバイダ責任制限法が施行され、それまでは発信者を特定するまでに2回の裁判が必要とされていましたが、1回の裁判で行うことができるようになりました。また、日本にプロバイダ会社の営業所や事務所が無い場合でも、主たる業務担当者の住所地があれば、その住所地を管轄する地方裁判所に攻撃者を特定する情報を開示するよう、裁判で請求することができます。
しかし、これらの情報も時間が経つと消去されることが多いため、素早く対応することが必要です。
4.ネットへの対応のポイントは?
ネットへの対応で、必要なことは、慎重さと早さです。
情報をアップする際には、十分に内容を検討しましょう。できれば、複数人で確認するくらいの慎重さがあると安心です。また、もしも炎上してしまった場合には、素早く削除し、拡散を防ぎましょう。気付かないうちに内容が一人歩きしてしまうこともあります。誤解が解けるまでには、長い時間を要することもあります。それでも被害に遭ってしまった場合には、裁判所を使うことが有益です。
攻撃してきた相手も、匿名を利用して攻撃している場合が多いものです。会社に対して意見を言うのなら、ネットで大勢の人に向けて発信する必要もありません。会社に被害を与えた場合には、その責任をとらなくてはならないのです。誰もが、知りたい情報を得るために、ネットを使います。会社としても、こんなに便利なツールはありません。だからこそ、きちんと対処方法を知っておきたいものです。
ABOUT執筆者紹介
司法書士・行政書士 小平磨弓
司法書士・行政書士 南宇都宮法務事務所
栃木県宇都宮市にて、平成26年開業。相続や売買による不動産の手続き、会社の設立や株式会社の登記の変更、定款変更、裁判書類作成、成年後見業務など、幅広く承ります。「近所の困りごと」のご相談を受けることが多く、和解書や合意書のご提案も行っております。
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