15 November

なぜ、会社の資金が不足するのか!

掲載日:2020年11月15日   
税務ニュース

決算のたびに「会社に現金が残らない!」という社長様からのご質問があります。とくに、現在のコロナウィルス禍では資金繰り計画の重要性が増します。そのためにも何で会社にお金が残らなくなるのか!という原因を知っておき、そうなる原因を厳しくチェックしていくようにお願い致します。

Q会社で利益が出ているのに、なんで現金がないのでしょうか

利益が上がっているのに、なんで現金がないの?

会社が利益を上げると現金と言う形で還元がされることとなります。100万円で仕入れ130万円で売れば、差額の30万円と言う現金が手元に残ることとなります。しかし、実際には掛けで物を販売し、その代金回収が3ヵ月後となったり、銀行に借入金を返済したりと様々なイレギュラーな取引が出てきます。よく、社長から「利益が出ているのに、なんで現金がないのでしょうか?」などと聞かれます。それは、下記のことについて、ご確認をしてみて下さい。

社長や役員・社員が現金を持ち出す(横領)と【資金は不足】

社長や他の役員が現金を持ち出し、経費にならない支出などをして、会社に領収書を持ってこないと必ず資金は不足します。

これは、自分の遊興費や家庭内支出、他人への貸付、【社員の横領】、裏金資金などなど会社の経費にならない支出を持ち出した場合です。また、このような支出は、決算期末にお金が無いにもかかわらず会計上で過剰に現金が増えてしまいますので、最終的には社長(社員等)への貸付金として処理することになりますから、税務上でも会社が各個人から金利を貰い受取利息として計上しなければなりません。(法人は営利を追求する組織ですから。)また、個人への貸付金は金融機関に対してもとても悪い評価となってしまいます。だって、会社に融資したお金を個人が使い込んでいるという印象しか与えないからです。

とくに、最近では社員の横領にはぐれぐれもご注意をお願い致します。そのためにも日頃から回収管理や社内の現金管理、在庫管理の徹底をお願い致します。

毎月々が”赤字”になっている時には必ず【資金は不足】

会社で出た利益(売上高と解釈)から月々様々な支出をしていきますが、その原資となるものがなければ、支出が出来ませんから、過去のストックに頼らざる得ません。ですから、支出の元となる原資(利益)を確保出来ないと資金不足をまねきます。

販売代金をきちんと”回収出来ていない”とその分【資金は不足】

商品を売ったけど、その代金をきちんと回収していない、またその期間が仕入や外注費の代金の支払をする期間よりも長い場合には必ず資金は不足します。私は、スタッフに「代金を回収して初めて本当の意味での売上ですよ!」と常日頃、お伝えをしております。売りっぱなしではダメということです。

在庫商品が”増えてくる”と【資金が不足】

商品の購入をして、その仕入代金の支払が済んでいるけど、その商品が売れずに在庫となってしまっていると資金は在庫に形を変えますから資金が不足します。要するに、お札が在庫になっている状態です。

売上高の”季節変動”が生じる際に【資金が不足】

売上高が年間を通じて一定であれば生じませんが、売上高が増加する時期と売上高が減少する時期での月々の利益額や損失額は異なってきます。ですから、売上高低迷の時期には利益が出ませんので、資金が不足することになります。

”臨時的な支出”がある時には【資金が不足】

会社の税金の支払いや、従業員に対する賞与の支払いなど高額な支出がある時には資金が不足します。ですから、税金支払いの中でも給料に伴う源泉税や消費税などの預かり税については日ごろから納税資金をストックしておく心がけをお願い致します。

売上が”右肩上がり”で伸びている時には【資金が不足】

売上高が、伸びている時期(右肩上がりで増加中)の時には、それに伴う仕入高や在庫ストックとしての資金も必要になってきますので、必ず資金が不足しがちです。

回収よりも支払いの方が”先行する”と【資金は不足】

例えば、掛け代金の回収サイトよりも仕入れ・外注給料等の支払いが早ければ、回収する前に支払いをしなければなりませんから、その分資金は不足します。

経費にならない”資産を購入する”と【資金が不足】

土地の購入や設備投資や有価証券などを購入した。この場合には、土地や有価証券は経費となりません。(全額資産計上)また、設備投資をした場合には、一事業年度に一括で経費計上が出来ませんので、どうしても購入資金だけが先に会社から出ていってしまうことになりますので、その分の資金が不足します。もちろん、商品開発をしている資金なども通常は開発期間中の支出に関しては経費になりませんから、その額分だけ資金が不足することにもなります。

銀行借入返済をしていると資金が計画通りに残りません

年間の銀行借入金の元本返済額等と年間減価償却費として経費に計上している額とが同額程度で、かつ利益が出ていれば、問題はありませんが、銀行借入金元本返済額の方が多くなると資金が不足します。

最後に…

商品を販売したら、きちんと代金を回収する。そして売上代金を回収してから仕入代金を支払うぐらいの気持ちと、無理のない資産の購入や銀行借入の場合には、きちんとした返済計画を建て、極力短期間で返済してしまうなど、当り前のことを当り前に実行していくことが大前提です。そして、回収期間と支払期間のズレを極力減らすようにお願い致します。これには仕入先や外注先などの協力を受けて、極力回収をしたら支払うという流れをお願いいたします。

高額な資産の購入にもご注意をお願いします。とくに土地などを購入しても、1円も経費になりませんから、そうなると減価償却の対象にもなりませんので、土地購入額分だけ、単純に資金だけが減少することになります!それ以外の資産も耐用年数という国が決めた期間で減価償却費を実施していきますので、資金が出た事業年度に全額が経費になりませんので、ご注意をお願い致します。また、このようなご時世ですから、通帳からお金を降ろしてきたら、経理の方にはきちんと現金出納帳(会計王でも大丈夫です。)をつけてもらい、その資金の管理も毎日残高を合わせるぐらいの気持ちでキッチリするようにお願いいたします。

『なぜ、会社の資金が不足するのか!』でした。

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ABOUT執筆者紹介

税理士 黒川豊

黒川税理士事務所

 

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