24 August

夏場の健康被害に要注意! 職場で実践するべき暑さ対策とは?

掲載日:2023年08月24日   
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最高気温が30度後半をマークすることも珍しくない、近年の暑い日本の夏。「猛暑」と呼ばれる厳しい気温で体調を崩してしまう人が増えるこの季節には、従業員を健康被害から守るための暑さ対策が欠かせません。

今回は、職場で取り入れるべき暑さ対策を働くシーン別に解説していきます。

職場の暑さが原因で生じるデメリット

過酷な夏場の暑さは、従業員の働きぶりに悪影響を与えかねないので、しっかりと対策を打たなければなりません。最も注意するべきなのが熱中症です。熱中症とは、気温や湿度が高い環境によって体温調整に不調をきたすことで発生する病気です。

初期症状では、主にめまいや立ちくらみなどが起こり、さらに進行すると体のだるさや頭痛、吐き気といった症状が出ます。重症になると、意識障害や真っすぐ歩けなくなってしまうほどの状態になるケースもあり、最悪の場合は死亡してしまうことも。

毎年、6月から9月にかけて熱中症で緊急搬送される人は数万人出ています。高齢者だけでなく、子供や若い世代の人が熱中症になることも珍しくないので、誰にでも起こり得るものと認識して対策していきましょう。

熱中症以外にも、暑さの影響で集中力が低下し、作業効率や仕事のクオリティが下がったり、暑さで従業員がイライラすることで職場の雰囲気が悪くなってしまったりといった悪影響が起きることが考えられます。

このようなデメリットを避けるべく、暑い夏でも適切な温度で仕事に取り組むための環境整備を進めていくべきです。具体的にどのような方法を実施していけばよいか、働くシーン別に見ていきましょう。

オフィスワークの暑さ対策

まずは、オフィスワークにおける暑さ対策から解説していきます。熱中症は、屋外にいるときだけでなく、屋内でも発生するので、オフィスワークだからといって暑さ対策を怠るのは厳禁です。

当然のことながら、屋内での暑さ対策はエアコンの活用が中心となります。建築物衛生法が定める「建築物環境衛生管理基準」では、居室における温度を概ね18~28℃に調整するように規定しています。エアコンの温度はその範囲内で設定しましょう。

エアコンの温度設定で注意したいのは、快適な温度には個人差があるため、周囲への配慮が必要となる点です。近年では、職位の高い人物がエアコンの温度設定を一存で決定する行為を意味する「エアハラ(エアコンハラスメント)」という言葉が一般的に浸透してきました。このような言葉が広まるということは、それだけ多くの人が職場におけるエアコンの温度設定に不満を感じているのだと考えられます。エアコンの温度設定は誰か一人の好みに合わせるのではなく、同じ室内で働く、できるだけ多くの従業員に意見を聞いて決めるようにしましょう。

「職場はエアコンを点けているが、それでもまだ暑い」という人は、ハンディファンや扇子など、個人でできる暑さ対策グッズの活用をオススメします。逆に寒すぎる場合の対策には、軽く羽織れる上着やストールなどを用意しましょう。

工場・倉庫での対策

工場や倉庫は、熱がこもりやすく、適切な対応をしなければ夏場は室温が50度に達する場合もあります。

工場や倉庫が暑くなりやすい理由は、多くの場合、周囲に建物が密集していない場所を選んでつくられるので、屋根や壁面に直射日光が当たりやすいためです。また、作業の都合上、屋内は広いスペースに仕切りを設けない構造になっていることが多いのも理由のひとつ。そのような空間では、冷やす対象となるスペースが広すぎて、冷房をつけても効果が全体に及びにくいのです。

冷房を効率良く利用するためには、屋内の部屋と部屋との境目にビニールカーテンや間仕切りカーテンを設置すると効果的です。カーテンで空気の移動範囲を制限することにより、冷房を効かせる範囲を狭め、作業スペースだけを効率的に冷やすことができます。

カーテンの設置は、屋内全域を冷やせるような大型の冷房装置の導入と比較して、大幅にコストを抑えて実施できるので、予算に不安があるなら是非検討してください。

カーテンのほかにも、従業員が作業を行う場所の近くに業務用のスポットクーラーを導入するという方法もあります。温度調整の性能でエアコンに劣るとされるスポットクーラーですが、工事不要でどこにでも設置できるので、手軽に好きな場所に移動させられるという点は大きなメリットです。また、ファン付き作業着など、個人単位で使用できる暑さ対策グッズの利用も積極的に取り入れていきましょう。

外仕事の暑さ対策

冷房設備がない屋外での仕事では、より一層暑さ対策が重要です。

外での作業中は極力直射日光を避けるようにしましょう。直射日光が当たると、頭に熱がこもり熱中症が発生しやすくなってしまいます。なるべく、日陰で作業をするように心掛けるほか、日光に晒される場所で長時間作業をする場合は、帽子を被るなどして頭に直射日光が当たらないように対策しましょう。

屋外での作業時は、特に暑さ対策グッズの活躍の場が増えます。建設現場などで働く人にとっては、小型の扇風機のような機械が内蔵されたファン付き作業着は、もはや夏場の必需品といえるのではないでしょうか。作業着を着ない職種の人でも、ポータブルタイプのファンの使用が悩ましい暑さへの対策として有効です。

また、近年夏場に見かけることが増えたクールリングも暑さ対策に効果的。クールリングとは、首に巻くリング状のアイテムです。リングには適性温度を保つ素材が使用されており、多くの商品では28度以下で凍結、28度以上で融解するように設定されています。融解する時に、使用者の首回りの皮膚から熱を奪うため、装着時に冷たさを感じられる仕組みです。

グッズの活用以外にも、こまめな休憩を取り、水分と塩分を定期的に摂取する心掛けも熱中症対策として有効です。汗をかくと、水分だけでなく塩分も体外に排出されます。この時、水分だけを補給していると血液中の塩分濃度が低下し、手足の筋肉に収縮が起こります。これが原因となって熱中症の症状のひとつでもある、熱けいれんが発生するかもしれません。

塩分濃度のバランスを保つためにも、夏場は水分だけでなく、塩分の摂取も心掛けましょう。

 

今回は、職場における暑さ対策について解説してきました。暑い日が続きますが、くれぐれも職場で熱中症患者が出ないように、しっかりと対策をしていくことが重要です。そのためにも、夏の暑さに負けずに仕事に取り組める、環境づくりを進めていきましょう。

ABOUT執筆者紹介

内田陽

株式会社ペロンパワークス・プロダクション

金融系の制作業務を得意とする編プロ、ペロンパワークス・プロダクション所属のライター兼編集者。雑誌や書籍、Webメディアにて、コンテンツの企画から執筆までの業務に携わる。金融関連以外にも、不動産や人事労務など幅広いジャンルの制作を担当しており、取材記事の実績も多数。

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