選ばれる企業になるために多様な働き方を認めませんか
社会保険ワンポイントコラム
内閣府の「高齢化の推移と将来推計」によると、少子高齢化の進行により、日本の生産年齢人口(15~64歳)は1995年の8,716万人をピークに減少しており、2021年には7,450万人、2050年には5,275万人に減少すると見込まれています。生産年齢人口の減少により、労働力の不足の深刻化が懸念されています。※1
今までは、男性、正社員、終身雇用、場所や時間制約のない社員で構成されていましたが、これからは、雇用形態や働き方の異なる社員が増え、時間・場所に制約があり、従来なら辞めていた社員も働ける環境にしていかなければなりません。
そのためには、正社員、アルバイト社員、パートタイム社員という働き方だけではなく、「多様な働き方」を認める必要があります。多様な働き方には、例えば、以下のような契約があります。「正社員」の中には、今までのフルタイム正社員の他に限定正社員や短時間正社員などに分けられます。例えば、時間の制約があって週40時間働けなくても、正社員と同等の業務を任せることができる人材には、短時間正社員として勤務していただくということです。
フルタイム正社員
1週間の所定労働時間が40時間程度(1日8時間・週5日勤務等)で、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結した正社員のこと
限定正社員(勤務地・職務・勤務時間など)
転勤範囲が限定されていたり、転居を伴う転勤がない正社員や、担当する職務内容が限定されている正社員、勤務時間が限定されている正社員のこと
短時間正社員
フルタイム正社員と比較して、1週間の所定労働時間が短い正規型の社員であって、次のいずれにも該当する社員のこと
- 期間の定めのない労働契約(無期労働契約)を締結している
- 時間当たりの基本給及び賞与・退職金等の算定方法等が同種のフルタイム正社員と同等※2
主な契約 | 区分(例) | |
---|---|---|
委任契約 | 役員 | |
雇用契約 | 執行役員 | |
正社員 | フルタイム正社員 | |
限定正社員(勤務地・職務・勤務時間など) | ||
短時間正社員 | ||
無期(転換)社員 | ||
嘱託社員 | ||
契約社員(有期契約社員) | ||
パートタイム社員 | ||
アルバイト社員 | ||
出向社員 | ||
派遣社員 | ||
業務委託契約 | 事業主 | |
インターンシップ契約 | インターン(就業体験をする実習生) |
雇用契約の場合は、多様な働き方を認めることで、労働条件や労働時間の管理も多様化します。正社員と同等の業務とは何かを明確にするためには業務分析をする必要もあり、それぞれの違いをきちんと制度化する必要があります。それらは、人事管理・就業管理・業務管理などのシステムを導入することで、効率的に管理していきましょう。
効率化することで、最低でも現在の10人分の業務を2050年までに7人分の業務にすることが可能であれば、生産年齢人口の減少にも対応できる企業になるでしょう。
※1 内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」高齢化の推移と将来推計
※2 厚生労働省「多様な働き方の実現応援サイト」短時間正社員とは
ABOUT執筆者紹介
特定社会保険労務士 出口裕美
2004年に社会保険労務士事務所を開業。出産を機に、育児と仕事の両立のためテレワーク(在宅勤務)を開始。2014年に社会保険労務士法人出口事務所に法人化。2017年にテレワーク(サテライトオフィス勤務)を開始。2020年に新型コロナウイルスの取り組みの様子をメディアにて紹介。
経営者と社員が継続的に安心して働ける環境を構築するため、インターンシップ、ダイバーシティ(雇用の多様化)、テレワーク、業務管理システム等を積極的に導入し、また企業への導入支援コンサルタントとしても活動中。
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