【創業ガイド Vol.03】5分でわかる!法人設立する際に決めること
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法人を設立する際に、決めることがあります。法人設立の際には、定款をつくり認証を受け、登記をする手続きが必要です。したがって、ここに記載する内容が、最初に決めていくべきことになります。
※定款とは会社のきまりで、「会社の憲法」などと言われています。定款の認証は、合同会社は不要です。
会社設立にあたって、最初に決定しなければいけないこと
- 会社の種類
- 会社名(商号)
- 本店所在地
- 代表
- 設立日
- 決算月
- 資本金
- 出資者
- 事業目的
会社種類
株式会社にするのか、合同会社にするのか、一般社団法人にするのかを決めましょう。会社の種類により、見え方や設立コストが異なります。それぞれの特徴を掴みましょう。こちらの記事で、詳しく解説していますので、ご覧ください。
会社名
まず、会社名を決めていきましょう。会社名のことを「商号」と呼びます。その際の注意点が2つあります。
①著名な企業名は、「不正競争防止法」にあたり、使用できません。
例えば、「フジテレビ」「東芝」など著名な企業と同じ商号は使用できませんし、全く同じでなくても紛らわしい、その著名な企業やその商品を連想させるような商号は避けましょう。登記はできたとしても、後々法的なトラブルになる恐れがあります。
②商標登録されている商品名を商号(会社名)に使用しない
他人が「商標」として登録している名前や商品名を「商号」(会社名)にするのは、やめましょう。
この登録商標については、「特許電子図書館」で確認することができます。ちなみに余談ですが、自社の商品名やサービス名を他社にまねされないように「商標登録」することを視野に入れておくこともオススメです。
①②が注意点になりますが、ここに該当しないものであれば、たとえば、個人事業を引き継いで法人にする方は、個人事業時代の屋号を使うこともできます。
会社名を決めるポイント
会社名は、これからの期待も膨らみ、色々考えすぎて決まらないなんて方も多いのではないでしょうか。最終的には、ご自身が気に入った会社名(商号)にするのが一番ですが、悩んだときは、こんな視点も是非取り入れてみてください。
- 印象に残るもの 聞いた瞬間に印象に残る
- 語呂がよい
ずっと事業を行っていく名前ですので、しっかり悩んで素敵な会社名を決定されてください。
前株か後株にするのかも決めよう
「前株」か「後株」かにするのを決めるとは、どういう意味かというと、例えば、株式会社Aにするのか、A株式会社にするのかということです。前株か後株かで損得はありません。言葉の響きで決める方もいますし、私の個人的な見解ですが、後株の方が歴史の長い会社が多い印象があります。
本店所在地
本店所在地は、登記事項です。シェアオフィスやバーチャルオフィスは、銀行口座を作る際に、住所に実態がないという見方をされ、口座開設できないこともあります。また、賃貸物件でお住まいの住所を登記をした場合に、事業用の利用が禁止と規約にあった場合、注意をされたり、最悪の場合退去勧告を受けたりすることもありますので、確認してからにしましょう。
代表は誰にするか?
誰が、代表になるのかを決めましょう。株式会社の代表は、代表取締役で、合同会社の代表は、代表社員になります。
設立日
設立日は、平日のみです。また、会社設立まで最短でも、1週間程度はかかると考えてください。明日設立したいと思っても、それは現実的ではありません。会社設立までに用意するものや必要な手続きがあるからです。
決算月
決算月を決めていきましょう。つぎの3つの避けてほしいポイントがあります。
① 繁忙期は避けましょう。
経理事務作業が追いつかないし、また、繁忙期はどんと売り上げが上がる時期なので、納税がいくらになるのか予測しづらいというデメリットがあります。そのため、繁忙期は避けましょう。
② 資金繰りが苦しい月
決算月から原則2ヶ月以内に法人税や地方税を納付することになります。したがって、納税資金を工面する必要がありますから、資金繰りが厳しい月を決算月にするのは避けましょう。
③ 3月決算はなるべく避ける
3月決算の会社が多いからという理由で3月決算にするのは、避けましょう。3月決算の会社が多いということは、その時期税理士事務所はとても忙しい時期です。また、上場企業なども3月決算が多いので、そちらにかかりきりで小規模な会社にしっかりと時間をさけないということも考えられます。ですので、特別な事情があり3月決算である必要があるという場合でなければ、3月決算は避けましょう。
資本金はいくらにする?
最低資本金制度が撤廃されたため、1円から資本金にすることができます。資本金としてまとまった金額を設定すると、その後そのお金は使えなくなると考えて、極端に少額な資本金にされる方もいます。でも、資本金は、会社を運営していく元手になるものです。その中から会社設立費用を捻出し、残りのお金を使って、今後の事業運営をしていくことができます。極端に少ないと、銀行口座開設や銀行融資の際に不利になることもありますので、ある程度まとまったお金を資本金にしていきましょう。
設立後最低6カ月間は、万が一売上が1円もあがらなくても事業が続けられる金額を、資本金の最低金額の目安としてください。
また、設立1期目は、基本的には免税事業者(消費税を納める義務のない者)になりますが、1期目から資本金を1,000万以上にすると、消費税法上の新設法人に該当し、1期目から課税事業者になるので注意しましょう。
出資者
出資者はお金を会社に対して差し出すため、当然、会社の経営について意見を言う権利を持ちます。株式会社の場合は、所有する株式数に比例して、会社の決定権をもつことになります。
もし、Aさんが代表取締役に就任したとしても、会社の株式を100%Bさんに所有されていた場合、その会社のオーナーはAさんではありません。Bさんがオーナーになりますので、経営方針が合わない場合などいつでもAさんを解任することができます。
ですので、最初は小規模で経営していき、その際に、自分がリーダーで1番の決定権を持っておきたければ、自分が100%出資をして代表取締役になるのがよいでしょう。
事業概要
どんな事業をするのか目的を決めていきましょう。会社は定款に定めた目的以外を行うことができません。したがって、実際に行う業務より少し広く、将来行う可能性のある事業範囲を設定するのがおすすめです。
ただし、あれもこれも書きすぎると、実際になにをやっている会社なのかわからなくなるので注意しましょう。
注意すべきポイントは、許認可が必要な事業は、必要な事業目的を入れてないと、登記はできたものの、その後許認可がおりなくて、事業のスタートが遅れるようなトラブルになるケースがあるということです。そうならないように、慎重に決定しましょう。
ABOUT執筆者紹介
税理士 吉村知子
ビジネス拡大のため、開業してから法人化を目指す個人事業主や法人のための税理士として、ともにビジネスの飛躍を目指す経営のサポートを行う。また、法人や個人事業主の顧問契約だけでなく、個人事業主向けの講座を開講。確定申告をゴールとしながら、経営者として必要となるお金の知識を学ぶオンラインプログラムが大好評。
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