17 June

[起業応援]フードロスゼロ!夫婦二人三脚でシンプルを追求する流山の情熱ベーカリー

掲載日:2022年06月17日   
起業応援・創業ガイド

央製パン堂のパンを持って立つ梅澤夫婦

店の前のインタビュアー

起業応援インタビューの第10回は、千葉県流山のベーカリー『央(なか)製パン堂』です。代表の梅澤様に、開業の経緯やお店のコンセプト、サービス展開についてお伺いいたしました。

現在起業を考えている方は、どのように起業したらよいか、どんな問題があるのか、など様々な不安があると思います。そこでこれから起業する人を応援するためプロジェクトを立ち上げました。起業したてのユーザー様にインタビューさせていただき、役立つ情報をお伝えしていきます。

起業の経緯を教えてください。

プログラマーからパン屋を目指す

社会人になってプログラマーとして三年働いたのですが、激務で一生は続けられないと感じました。もともと料理人を夢見ていたこともあり、独立して店を持つとしたらパン屋さんになりたい、とイメージが持てたのです。

ハード系に惹かれて有名パン屋で修行

そこで専門学校を卒業した後に、「ブランジェ浅野屋」に入社しました。選んだ理由は、ハード系(フランスパンなど、外側が硬くてパリッとした触感のパン)のパンをメインに据えていたからです。当時、ハード系に力を入れているパン屋は珍しかったですし、私自身ハード系が好きだったこともあります。
「ブランジェ浅野屋」は極力機械化せず、手作りにこだわっていましたから、働く上で数をこなす必要があり、効率化とスピードアップを学びました。14年在籍したのち、結婚のタイミングで独立しました。パン屋を1人で切り盛りするのは難しいですが、私がパンを焼いて妻が接客すれば、無理なくお店が回せるからです。

央製パン堂で接客する梅澤様

人口増で勢いある流山で開業へ

埼玉から千葉の柏、我孫子、ありとあらゆる郊外エリアを検討し、100件以上の物件を回りました。最終的に流山を選んだのは、自治体が広報に力を入れていて、人口も順調に増えていたからです。流山市には歴史的建造物での開業を支援する制度があって、古民家での開業も検討しましたが、残念ながら物件に空きがありませんでした。
この場所に決めたのは車で来る際のアクセスが良い点と、裏山の風景が気に入ったからです。新築で家と一緒に建てて、同時に土地やパン用の機械も買ったので、具体的な金額は申し上げられませんが、かなりの出費でした。店舗の開業資金は自己資金(貯金)と妻からの援助、日本政策金融公庫からの借入でまかないました。

お店のコンセプトは?

「シンプル」がコンセプトの店づくり

央製パン堂のコンセプトは「シンプルであること」です。レシピに余計なものは使わない。シンプルなものほど飽きが来ないので、うちのパンもそうでありたいと思っています。
店の外装もコンセプトにのっとって白一色です。ロゴは、デザイナーの従兄弟にデザインしてもらいました。梅澤家の家紋である梅になぞらえて、さらに切ったフランスパンを円形に並べているイメージも持ち合わせています。

宣伝しなくてお客様からお叱りが?

開業時にはHPを作ったくらいで、全く宣伝をしませんでした。夫婦二人でやっている店ですから、大量のお客様が来てもさばききれないと思ったのです。
開業からしばらくして、地域の情報サイトから取材が来て、紹介記事が載りました。それをきっかけに地元の方々にも認知され、口コミも手伝ってお客様は増えていきました。近隣はもちろん、おおたかの森等から車でいらっしゃる方も多くて、リピーターが7割、新規が3割です。私たち夫婦と同じ30代~40代の方が中心ですが、シニアの方も意外といらっしゃいます。

央製パン堂の外観実は、「どうして宣伝しないの?オープンしたって気づかなかった」とお客様から結構お叱りを受けてしまったのですよ(笑)。もっと早く知りたかったと思っていただいていたのかもしれません。

多彩な生地でのシンプルパンづくり

提供しているパンは約30種類と比較的少なめですが、生地は12種類と非常に豊富です。
作りたいパンを、好きなように作っていったらこれだけの種類の生地になりました。具材の入らないプレーンなパンを楽しんでもらいたいとの思いから、生地でパンのバリエーションを増やしています。
特に売れ行きが悪い商品は終売することもありますが、そうするとお客様から必ず「〇〇はなくなったの?」と聞かれてしまいます。大規模店ならシビアに各商品の利益率を計算するかもしれませんが、うちは個人店ですから、なるべくお客様のご期待には応えていきたいと思っています。

人気の季節商品で客単価もアップ

季節商品はいつも反響が良くて、いつもの定番にプラスしてもう一品、という形で買うお客様が多く、利益アップにも繋がっています。春はさくらデニッシュ、夏はコーンパンと、一年のスケジュールはだいたい決まっていて、お客様からも季節商品がいつ始まるのか尋ねられることが多く、楽しみにしていただいている方が多いのだと実感できます。

央製パン堂のパン各種

キャッシュレス対応について

キャッシュレス対応は交通系ICカードとクレジットカードで、現在は5割のお客様がキャッシュレスです。手数料3%は店側としては非常に痛いのですが、今時キャッシュレスに対応しないわけにもいかない。自分もお店で買い物をする時は、ほとんど電子マネーを使っていますし、手数料の損失をどうやって補填するかは経営者としての悩みどころです。

経理・会計について

「会計王」の導入経緯

お世話になっている税理士さんに勧められたことがきっかけで、「会計王」を導入しました。独立するまで経理は全くの未経験だったので、わからない単語が多くて、最初はかなり苦労しましたね。現在はレシート等を自分で入力し、税理士さんにチェックを受けて直してもらう形で経理を行っています。

経費削減の工夫は?

パンの機械は高価なものが多いので、メンテナンスをこまめに行って壊れないようにしたり、簡単な故障なら自分で直すこともあります。機械の修理には数万から数十万もかかりますから、修理が一回分減るだけで大幅に節約できます。
あと、夏場はクーラーがフル稼働で電気代がかさむので、太陽光パネルを屋根に取り付けて自家発電を行っています。この太陽光発電による電気代の削減額は7年間で100万円と、それなりに成果は出ていますね。

様々なサービス展開を

便利な予約システムで利便性アップ

央製パン堂では、店舗に来る時間と購入するパンをオンラインで事前予約できるシステム「STORECRAFT」を導入していて、これが非常に便利です。平日は5~6件、土曜は20~30件もの予約が入ります。
パンの焼きあがりのピークが11時なのですが、その時にお客様が殺到して並んでいることが多いんですね。お客様は「STORECRAFT」で予約して、ピークを避けて来店すれば並ばなくて済みますし、店側は事前準備ができて助かります。ですので、なるべく「STORECRAFT」を使っていただけるよう、お願いしております。

フードロス対策で廃棄分をゼロに!

他にも、フードロス対策で「あれこれ便」というサービスを行っています。閉店時にお送りできるパンが残っていたら、冷凍して、その詰め合わせをお送りするサービスです。閉店前等に割引価格で売ると、お客様は安売りパンが目当てになってしまいブランド力が低下してしまう。それよりは、遠方の方にも楽しんでいただけるよう宅配便形式にしよう、というアイディアです。

パンとご夫妻を描いた絵と置物

お客様側は受け取る日程を指定できませんが、それでも非常に好評で、常連様が注文してくださる他、遠方のご友人や親せきにプレゼントする方もいらっしゃいます。「あれこれ便」のおかげで、現在はパンを全く廃棄していません。手塩にかけたパンは一つたりとも捨てたくないですから。

起業を目指す方へ

70%で無理なく経営を続けよう

起業したら、とにかく時間がないですから、起業前にやりたいことは全部やっておきましょう。特にパン屋は早朝からの作業が当たり前ですから、勉強会に行きたい、話題のパン屋に行ってみたい、そう考えていてもなかなか実現できませんから。
それから、最初から100%の力を出し切らないことも大切です。70%で止めておきましょう。100%を続けると、いつか限界が来て倒れてしまいます。実は私も開業二年目に入院してしまって、それをきっかけに営業時間を二時間短縮しました。それでも売り上げは全く減らなかったですし、自分がパンを焼けなければ売上ゼロになってしまいますから、それ以来決して無理はしないように心がけています。

生き物であるパンを扱う喜び

パン作り歴20年の私でも、パンは奥が深すぎて、未だに4割くらいしか理解できていないと感じますね。パンは酵母の力を使う生き物ですから、同じレシピで作っても同じにはならないし、毎日違った顔を見せる。それが、ケーキなどのお菓子とは大きく違う点です。
生き物だからこそ、思い通りに仕上げるのは大変です。けれど、その見極めに成功して美味しそうなパンが焼けると嬉しいし、お客様に褒めてもらえるともっと嬉しい。楽しくて辞められない仕事だと、心から感じています。

オーブンの前でパンを焼く梅澤様

「シンプル」を追求した素敵な外観・内観、取材に応じていただいた梅澤ご夫婦の温かい人柄も相まって、何度でも立ち寄りたくなるお店でした。人気のバゲットも含めて取材後に何点か購入させていただきましたが、本当に美味しいパンで大切に味わっております。(インタビュー担当)

ご協力いただいた会社

会社名 央製パン堂株式会社
開業 2015年5月27日
所在地 千葉県流山市中307-3
ホームページ https://nakaseipando.com/
電話番号 04-7150-2066
事業内容 パンの製造・販売
営業時間 9:00~15:00
定休日 毎週日曜日・月曜日
お使いのソフト 会計王会計王
かんたん!なのにしっかり会計。お客様満足度№1の会計ソフトです。「らくらく仕訳入力」や自動集計で業務を効率化。電話サポートを含む15ヵ月間のバリューサポート付きです。

取材にご協力いただける方を募集しています

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<要件>起業5年以内でソリマチのソフトを使用したことがある方
(起業から5年以上経過していても起業当時のことをお話いただける方なら歓迎です)

お問い合わせ先 ソリマチ株式会社 東京本社 TEL:03-5475-5301
受付時間 平日9時00分~16時00分

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