20 June

[起業応援]オーダーメイド車いすで障害福祉と居宅介護を支援する! 人とのお付き合いを大事に

掲載日:2022年06月20日   
起業応援・創業ガイド

起業応援インタビューのこのシリーズの第11回は埼玉県深谷市で、障害福祉機器や介護事業のサービスを行う、『有限会社エス・エイチ・アイ』様です。代表の芝田様に、起業の経緯やこれまでのサービス拡大についてお伺いいたしました。

現在起業を考えている方は、どのように起業したらよいか、どんな問題があるのか、など様々な不安があると思います。そこでこれから起業する人を応援するためプロジェクトを立ち上げました。起業したてのユーザー様にインタビューさせていただき、役立つ情報をお伝えしていきます。

どのようなサービスを行なっていますか?

障害者自立支援法に基づき車いす(電動車いす)のオーダーメイドを主体に福祉機器全般の販売、及び介護保険法における居宅介護サービス(レンタル事業)を行う会社としてスタートしました。2016年には介護保険法による障害者(要介護)を支援する居宅介護支援事業所のサービスも開始しました。社内に介護支援専門員の事務所を置くことで、ケアマネージャーがプランを作成し、各部署が連携を取り合いながら適切な器具や介護支援を速やかに提供することが可能になりました。また、2021年には訪問看護ステーションも開設しました。

起業の経緯を教えてください。

きっかけは車いすに乗った方との出会い

前職で保険代理店をしている際に、車いすの製造・販売に携わっていた方から勧められたのがきっかけです。その方ご自身も車いすユーザーでした。それまで、私は車いす事業に関して全くのド素人でした。
営業に行くと1つの病院につき30~40は受注がある、と聞いていましたが、事業を始めた頃には介護保険の制度ができていて、オーダーメイドの購入ではなく、制度改正等によりレンタル利用が主流になっていました。しかし、介護保険でやっていっても、二番煎じになってしまいもう大手には勝てないので、それならば、障害福祉の方で突き進んでいくしかないと感じました。

会社名の2つの意味

「エス・エイチ・アイ」の由来は、「Soft Human Intelligence」の頭文字の「SHI」で、 「人間にやさしい知性を持って行動しよう」という意味です。私は商社なども経験してきたので、単に指示通り納品するのではなく、色々な見方をして、状況や病名から様々なことを想像して、支援していきたいと考え名付けました。
裏話ですが、実は、私の苗字の「しばた」の「し」という意味もあります。初めに「車いす」などを社名に付けてしまうと事業がそれだけに絞られてしまうので、後々に事業を拡大しても良いような社名にしました。

複数の「実用新案権」で融資を獲得

開業資金として融資を3,000万円受けました。昼夜働き通しても返せる額ではないので、この事業で突き進むしかない!成功させるしかない!と感じました。
制度融資で、まだ誰も扱っていない車いすの仕組みを使った、「実用新案権」を3つ4つ持っていたので、融資も受けやすかったです。そのための図面や文書を作り、特許より比較的簡単に取得することができました。現在、期限は切れてしまいましたが、技術は使ってこそだと思っているので、独占しなくても広がっていけばよいと思っています。

黒字転化で売上1億円を目標に

開業してから5,6年ほどは大赤字で、初めの2~3年はほぼ無収入でした。借金の返済も、また違うところから借金をしてなんとか返すような状況でした。1案件で300万円になるような大きな売上のもあるので、赤字になったり黒字になったりでした。2022年度は、8,000万円ほどの売上になりましたが、帳簿上は赤字になってしまいました。今後は売上1億円を目標に頑張りたいと思います。

ルート営業で顔を覚えて案件を紹介してもらう

開業してすぐに、回復期の病院に営業に行きました。急性期の病院では、3か月ほど治療してすぐ退院または転院することになるのですが、その転院先が、回復期の病院やリハビリ施設、障害者施設です。また、県内には全国から人が集まってくる「国立障害者リハビリテーションセンター」がありましたので毎週訪問していました。毎日ルートセールスをして、顔を覚えてもらって、もうすぐ在宅に切り替える方を紹介していただきました。

車いすレンタルの受注をもらうため、介護プランのキーマンである、ケアマネ事務所を100件ほど回っていました。しかし、すでに2000年から開始されていた介護保険法事業により大手事業所が独占する形で他から入る余地がなかったです。今でこそ厚労省がレンタル価格の上限下限が提示されていますが、当時は基準がなかったので、安ければ安いだけ良いという感覚でした。現在は、自社内にケアマネの事業もあるので、ここでプランを考えることも可能になりました。

これまでお付き合いした方とのつながりを大事に

現在は、HPからのお問い合わせも増えています。また、過去にお手伝いした方へ継続的にご支援させていただいています。個人のお客様も累計で300人以上になりました。製作した後も定期的なメンテナンスが必要ですし、車いすの場合などは6年に1度は作り直しができるので、継続的にお付き合いがあります。

障害福祉機器の販売からレンタルへ

介護が必要なご高齢の方だけではなく、障害者、障害児の方にも利用されています。
2002年からの福祉機器販売事業は、療護施設にいる方のメンテナンスを含む車いす製作や回復期の病院から在宅に戻るお手伝い全般を取り扱っています。特に障害者福祉の制度を利用して車いす、ベッド、住宅改修などを取り扱う場合はご利用者様と福祉事務所が契約の主体者になりますので、制度を使うためにいろいろなことを同時に行うことになります。車いすは、寸法や必要な機能を書いて、メーカーに発注します。難しいものは図面を起こして、メーカーさんとやりとりすることもあります。

2年後の2004年には、販売だけでなく介護保険法による福祉用具貸与事業(レンタル)も認可を得て開始しました。こちらは、特段営業活動はしておらず、紹介されたものだけ引き受けています。介護保険のレンタルは基本的には深谷市内だけですが、販売は半径200kmを商圏としています。
障害者福祉の制度を利用して車いすを製作する場合は、ベースが10万円からなので、様々なオプションを付けていくと、15~16万円ぐらいになってしまいます。基本65歳以上で障害を持たれた方は介護保険の制度を利用することになります。オーダー仕様のものを希望する方には、当社取扱の中から特別にレンタルも行っています。当社にないものは、レンタル卸会社から仕入れてレンタルすることが多いです。

介護事業の中心であるケアマネ事務所を設立し事業拡大

2016年に介護保険の相談員、ケアマネージャーの事務所を設立しました。ケアマネは、介護保険制度の中心者で、ケアプランを作成するのが仕事です。病院から退院する際、ベッド、訪問介護、ヘルパー、など必要なものをすべて手配するので、重要な役回りを果たしてくれています。
2018年には、障害者相談支援センターも設立しました。
2021年には訪問看護ステーションも設立しました。こちらも、ケアマネからの指示でどこそこでこういう医療が必要なので行ってください、と派遣されます。ドクターからの指示で行くこともできますが、それは医療保険のみです。介護保険制度の場合は、ケアマネからの指示が必要です。ドクターからの処方箋が出て、バイタルチェックや、注射などの処置を行います。開始してからの1年間で、女性3人のスタッフで30名ほどの利用者に訪問しています。

一度は従業員を雇用したものの・・・

開業時は1人でしたが、2002年中には車いすの方3名を雇い入れました。
車いすを利用している方は当事者目線なので多くのことに気づきます。車いすのメーカーも研究のために車いすの従業員を雇用しているケースが多いのです。
しかし、残念ながら独自で出来ると思ったのか従業員2名は独立(2名とも半年間で廃業)してしまいました。車いすユーザーとお仕事をしていきたかったのですが、結局は1人からのスタートとなりました。

同じ理念を持った仲間とサービス拡大

サービス拡大は、基本的に「人」ありきです。新たに採用募集する際は、基本的にはハローワークです。有料のインターネットの求人サイトも利用したこともありましたが、そこから来る人はまたすぐに条件の良いところを見つけて出て行ってしまいがちです。ヘッドハンティングも試してみましたが、なかなか難しいですね。
結局は今働いている方の紹介が一番多いです。事前に内情を詳しく話してくれているので、採用に繋がりやすいです。

コロナ禍での影響

病院や施設への営業にいっさい行けなくなった。

介護の方は、感染対策という面では苦労しました。しかし、対面で行う必要があるので、あまり影響がありませんでした。
福祉機器の方は、営業先である施設や病院への訪問が不可になってしまい、大きな影響がありました。特に、埼玉県で緊急事態宣言が出ているときには、群馬県への県を跨いでの移動が制限されてしまっていたので営業面では大変苦労しました。
メンテナンスなどで伺う際も、あらかじめ決められた部屋や屋外など密でない場所で修理する必要がありました。

会計・経理について

機器の仕入れや人件費などに経費がかかる

経費がかかるのは、主に福祉機器の仕入れです。外注すると高額な部品は自作したりもします。訪問看護とケアマネは、仕入れはありませんので、人件費だけですね。注射器などは医療保険ですので、ドクターからの支給です。手袋や除菌関連、防護服などは用意する必要があります。
あとは、車両燃料費が月平均十数万円かかっています。社用車は従業員が通勤で利用することを許可していて、そういった面では好評です。

入金サイクルが通常より長い

障害福祉の方は、国や県や市の障害福祉課が窓口で、1か月サイクルで入金されます。障害の程度や所得により個人負担が出ることがありますが、見積もりをした額が全額支払われます。
介護の窓口は介護保険課で、まったく異なります。介護保険制度の方は報酬が2か月遅れて入ってきますが、資金繰りとしては問題ないです。弊社では、ファクタリングなどは利用していませんが、売上が上下するようなところだと大変かもしれません。仕訳をする際も、介護保険の方は売掛を立てずに入金があったときに初めて売上として立てるようにしています。

知人からおすすめされて「会計王」を導入

前に仕事で知り合った中小企業の社長さんから「会計王」を勧められて、使用しています。起業前から他の仕事で使用しており、会計王2から利用しています。会社も今年の5月で開業から20年となりましたが「会計王」は常に頼りになる味方でした。
「会計王」には様々な機能があるので、まだまだ使いこなせていないという気がしています。利用してから7年くらい「振替伝票入力」で入力していましたが、サポートセンターに電話で相談した際に、「1対1の仕訳が多いので簡易振替伝票入力の方があっているのではないか」と教えてもらって、いまは「簡易振替伝票入力」をメインで使用して入力しています。

100件の仕訳がたった数分で

金融明細アプリ「MoneyLink」で足利銀行、りそな銀行と、JCB法人カードの明細を取得しています。カードは1人1枚配布して、ガソリン代の支払いや物品の購入に利用してもらっていますが、カードでの管理は効率化に役立っています。大変便利さを感じています。

月末には役所からの入金がたくさんあり、それぞれ月に100件以上はあります。営業で忙しくて1年近く伝票を溜めてしまったときには特に大変でした。
これまでは銀行の通帳やカード明細を見ながら1件1件入力していたのが、MoneyLinkを利用するようになってからは、MoneyLinkを通して会計王にカードの明細取込もできるのでたった数分で仕訳ができるようになり飛躍的に便利になりました。これが一番のメリットで、大変にありがたいです。MoneyLinkから取り込んだ仕訳は、赤いマークがついているのも、わかりやすくて良いですね。

介護事業で起業したいと考えている方へ

事業を開始するうえで資金繰りは最重要課題

資金の確保は大切です。大変な時期を乗り越えられたのは、銀行からの融資を受けられたからでした。はじめは、銀行からの融資は受けられず、利子の高いところから借りるしかなかったのですが、その融資で高いところの借金は返せました。現在は、銀行とも持ちつ持たれつの関係を築いています。あと大事なのは「あきらめない心を持つ」ということです。目標をもって浮き沈みはあっても一歩一歩着実に前進していくことだと思います。
購入するといくらかかるのか、介護保険制度で補助があるのかなど役所との調整もしなければならないので、制度の知識も必要です。障害福祉は難しい分野です。

利用者に喜んでもらえるのが嬉しい

車いす作りで、利用者にあったものを作って、オーダーメイドでこんな良いものができた、と喜んでもらえるのが一番有難いです。車いすは人間で例えるとその方の「足」そのものになるからです。
福祉は完璧ではありません。既製品でも、オーダーでもどこかは気にいらないところも出てきてしまうかもしれません。それでも介護保険制度を利用できない障害者の方にとって障害福祉は“最後の砦”だと思っています。保険の制度や労災、交通事故の救済、介護保険、など様々な制度もありますが、どこにも頼るところがない人、お金が出るところがない人が最後に頼るのが、障害福祉になると思います。
いろいろな障害を抱えてしまった人でも、職場復帰したり、就職したり、そういう方とのお付き合いをずっと続けてきているし、これからも続けていきたいです。
半分ボランティアみたいなところもありますが、会社としてもきちんと営利を出して「SDGS」持続可能な取り組みをしながら「健康優良法人」としての会社運営をしていきたいと思っています。

取材にご協力いただいた芝田様には、制度のことや起業前の経歴についてもお話ししていただきました。制作中の車いすを見せていただいた際には、機能について目を輝かせてお話しいただき日頃から、使う方の為を想ってお仕事されているのを感じました。(インタビュー担当)

ご協力いただいた会社

 

会社名 有限会社エス・エイチ・アイ
代表者 芝田 英行
設立 2002年5月
所在地 〒366-0810 埼玉県深谷市宿根504番地2
ホームページ https://www.shi-j.co.jp/
電話番号 048-573-8456
事業内容 ・福祉機器全般の取扱・販売・レンタル、オーダーメイド車いすの制作
・障害者相談支援センター(計画相談)
・居宅介護支援(ケアプラン作成・支援の調整装弾・相談)
・居宅介護サービス(福祉用具貸与・訪問看護) など
営業時間 月曜日~土曜日 8:30 (9:00) ~17:30 (18:00)
休日は、日曜・祝・祭日/年末年始(GW・夏季休暇)
お使いのソフト 会計王会計王
かんたん!なのにしっかり会計。お客様満足度№1の会計ソフトです。「らくらく仕訳入力」や自動集計で業務を効率化。電話サポートを含む15ヵ月間のバリューサポート付きです。

取材にご協力いただける方を募集しています

一緒にこれから起業する人を応援しませんか?詳しくはこちらをご覧ください。

<要件>起業5年以内でソリマチのソフトを使用したことがある方
(起業から5年以上経過していても起業当時のことをお話いただける方なら歓迎です)

お問い合わせ先 ソリマチ株式会社 東京本社 TEL:03-5475-5301
受付時間 平日9時00分~16時00分

本記事「【起業応援】オーダーメイド車いすで障害福祉と居宅介護を支援する! 人とのお付き合いを大事に」はいかがでしたか?

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