04 August

生成AIとは何か?現在の実用例と社会への影響

掲載日:2023年08月04日   
IT・ガジェット情報

「生成AI」というフレーズが、2023年に入ってから急速に広まりました。このフレーズは、抽象的で理解しにくいものに感じられるかもしれませんが、既に私たちの日常生活に密接に結びつき、その影響は日々拡大しています。

OpenAIが開発し昨年公開された言語モデル、ChatGPTはその最たる例で、その能力は驚くべきものです。このAIは、ニュース記事などの文章自動生成、ユーザーとの自然な対話、研究レポートの作成といった多様なタスクを簡単にこなすことができます。筆者も既に生成AIの無い日常など考えられないほどに活用しています。生成AIが、既にこんなにも高度なレベルに達していると考えると、その可能性は無限大といえるでしょう。

しかしながら、生成AIが具体的に何であるか、どのように機能するのか、そしてそれが可能にする未来はどのようなものか、といった問いに対する理解は一般的にはまだ浅いものです。今回は、それらを解明し、生成AIの基本から未来への影響までを掘り下げて参ります。

生成AIは既に現代社会に根付き、さまざまな分野で活躍しています
(画像はAiジェネレーターで作成したもの。生成AIをイメージしている。)

AIの基本理解 – 人工知能から生成AIへの進化

AI、つまり人工知能とは、コンピュータやコンピュータ制御のシステムが、通常は人間が行うような知的な活動(学習、理解、判断、問題解決など)を行う能力を備えたシステムのことを指します。人工知能は、統計的な分析から機械学習、そして深層学習といった進化を経て、現在の形に至っています。

人工知能の重要な一環である機械学習は、データから自動的にパターンを学び、その結果から予測や決定を行う手法です。一方、深層学習は、機械学習の一部で、人間の脳が情報を処理する方法を模倣した人工ニューラルネットワークに基づいています。これにより、AIは複雑なパターンを認識し、解析することが可能になりました。

そして現在、注目を集めているのが、これらの技術を駆使し、新しい情報を自動的に生成する「生成AI」です。これまでのAIが、あくまで人間が用意した情報に基づいて行動を決定する「反応型」であったのに対し、生成AIは「積極的に情報を創出する」点で画期的な存在となっています。

生成AIは、テキスト、音楽、画像、ビデオなど、あらゆる種類のデータを生成することが可能であり、その応用範囲は非常に広いです。OpenAIの言語モデルChatGPTは、この生成AIの一例で、ユーザーの入力に対して、有意義で一貫した応答を生成することができます。

生成AIが変革する世界 具体的な実用例と生成AIサービス

「生成AI」の力を理解したところで、次に、現在のところ、どのような実用例があるのかを見てみましょう。AIの応用範囲はその柔軟性と広範な能力により、既にさまざまな生成AIサービス、ツールが公開されています。以下では、生成AIがどのように活用されているのか、また、現在提供されている生成AIサービスの一例を、文書作成、画像生成、音楽作成等の分野を中心にそれぞれご紹介します。

文書作成と生成AI

まず、文書作成です。自動記事生成という分野で生成AIは大いに活躍しています。一部のニュースサイトでは、AIがスポーツの試合結果をまとめたり、株価の動きを報告する記事を自動生成することがあります。また、企業が内部報告書や営業レポートを作成する際に、生成AIを用いることで、時間と労力を大幅に削減することが可能になっています。現在、最も話題になっているChatGPTも文書作成に長けた生成AIです。

生成AIの代名詞とも言えるChatGPT 文書作成のみならず、ビジネスのさまざまな現場で活用できるだろう

 

画像生成と生成AI

次に、画像生成です。AIは、既存の画像を学習し、新たな画像を生成することができます。例えば、AIがファッションデザインを生成したり、住宅の内装デザインを提案したりすることも可能です。また、AIは極めてリアルな人間の顔も生成できます。この技術、映画制作やゲーム開発等の現場で役立てられています。この分野は多数の生成AIサービスも存在し、Stable Diffusion、 Bing Image Creator、Midjourneyなど無料で利用できるサービスが多数展開されています。これらを活用すれば、誰でも簡単に美しい画像を生成することができるのです。特別な知識は必要ありません。

Stable Diffusion Onlineならブラウザ上でも手軽に利用できる

 

音楽生成と生成AI

最後に、音楽生成です。AIが独自のメロディやハーモニーを作り出し、音楽作曲を助けることができます。これはプロの音楽家だけでなく、音楽作成の初心者にも役立ちます。一部のAIは、ユーザーの好みを学習し、それに基づいて個別の音楽を生成することも可能です。筆者は音楽経験もなく、楽譜も読むことができませんが、生成AIによる音楽ジェネレーターを使って数多くの楽曲を生み出して楽しんでいます。

ブラウザベースのAI音楽ジェネレーター、簡単なステップで好みの音楽を生成できる

これらは生成AIサービスのごく一部です。今もなお、新たなサービスが次々と生まれており、生成AIの可能性は無限大です。その柔軟性と創造力は、あらゆる業界と分野で新たな可能性を生み出し、私たちの生活をより豊かにしています。生成AIは、これからも我々の生活を一層進化させ、これまでにない新たな価値を提供してくれることでしょう。

生成AIの未来と可能性、現代社会への影響と新たな課題

生成AIの可能性は、現在のところ無限大と言えます。その未来に向けた展望を語るためには、まずAIがこれまでどのように進化してきたか、そしてその進化が私たちの生活や社会にどのような影響を与えてきたかを理解することが必要です。

これまでの人工知能は主に、人間の決定を補助する役割を果たしてきました。しかし、生成AIの出現により、AIは単なる補助者から創造者へとその役割を拡大しています。文書の生成、画像の創出、音楽の作成といった領域で、AIは人間と肩を並べる存在、いえ、それ以上となりつつあります。そしてこの技術の進化は、教育、経済など、人間社会の様々な分野に対して大きな影響を与えることでしょう。

学校教育は今後大きく変わっていくでしょう。生成AIは個々の学生の理解度や学習スタイルに対応した、パーソナライズされた教材を作成する能力を持っています。これにより、学生一人ひとりが自分自身のペースで学び、自分だけの学習経験を得るような時代も近いでしょう。しかしながら、同時に課題もあります。生成AIの能力が向上したことで、学生が論文やレポートをAIに書かせるという問題が起きています。これでは、本来学生自身が理解を深めるために論文を書くという教育的な目的が達成されているとは言えません。今後、評価方法や教育システムそのものの見直しも必要となるでしょう。

経済分野では、生成AIをベースに新たな商品やサービスが次々に提供されていくことでしょう。あらゆるものが便利になり、効率化されていきます。さらに言えば、人間以上の市場分析能力を持ったAIそのものが事業者として参入してくる可能性すらあります。AIの進化により、新たな雇用の形態が生まれる一方で、一部の労働力が置き換えられるという課題も出てくるでしょう。

そして、社会全体に対しては、AIが創造する新しい情報の所有権や、AIの行動に対する責任の所在といった、倫理や著作権に関する新たな問いが投げかけられます。これらは、私たちが未来の社会を設計する上で、重要な課題となることでしょう。

しかし、生成AIの可能性は無限大です。その力を十分に理解し、適切に制御・活用することで、私たちはより良い未来を創り出すことができるでしょう。そしてそのためには、生成AIについての知識を深め、その活用方法を考え続けることが求められます。生成AIの未来は、私たち全ての手に委ねられているのです。

まとめ

生成AIとは、自ら新しい情報を創り出す革新的な技術であり、その進化はこれまでの人工知能の役割を大きく拡大しています。テキストから画像、音楽、それ以上の分野に至るまで、AIが自動的に生成する情報の質と多様性は、日々向上を続けており、私たちの生活、社会、経済、教育など、さまざまな分野に大きな影響を及ぼしています。

生成AIの活用例は無数にあり、今後の進化によって、私たちの想像がつかないような使い方も生まれてくるでしょう。その可能性は無限大です。あらゆるものがより便利に、効率的になっていくことでしょう。間違いなく、私たちの生活におけるありとあらゆる側面に影響を及ぼしていきます。

しかしながら、生成AIの進化は新たな課題も生んでいます。現代の教育システムとの齟齬、労働力の置き換え、新たな倫理的、法的問題の発生などです。これらの問題は、AIの未来を形成する上で、我々が直面する重要な課題となることでしょう。
しかし、これらの課題は同時に新たな機会でもあります。それは、教育の再設計、労働の再定義、そして新たな倫理規範や法規制の設立など、AIの進化がもたらす可能性を最大限に引き出すチャンスです。

生成AIの進化は止まらないでしょう。これまでにない新しい形の情報生成とその応用は、我々の未来を大きく変える可能性を秘めています。この革新的な技術の可能性を理解し、それを最大限に活用することで、我々は未来の社会をより良いものにしていけるのです。

ABOUT執筆者紹介

Webメディア評論家 落合正和

Webメディア評論家/Webマーケティングコンサルタント

株式会社office ZERO-STYLE 代表取締役
一般財団法人 モバイルスマートタウン推進財団 副理事長兼専務理事

SNSを中心としたWebメディアを専門とし、インターネットトラブルやサイバーセキュリティ、IT業界情勢などの解説でメディア出演多数。ブログやSNSの活用法や集客術、Webマーケティング、リスク管理等の講演のほか、民間シンクタンク(日本観光推進総合研究所 所長)にて調査・研究なども行う。

<著 書>
著者ブログ
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