Metaの新しいSNS、Threadsとは何か?
IT・ガジェット情報
7月5日、Meta社(旧 facebook)CEOマーク・ザッカーバーグ氏は、テキスト共有アプリ「Threads(スレッズ)」を発表しました。「クリエイターでも、気軽に投稿したい人でも、リアルタイムの近況や他の利用者との会話を楽しめる新しい場を提供する。オープンで相互運用可能なソーシャルネットワークがインターネットの未来を形作る。」という発表のもとスタートしたThreadsですが、一部では「X(Twitter) キラー」とも呼ばれることも。
イーロン・マスク氏のTwitter(現 X)買収から約1年。相次ぐ仕様変更、名称変更により一部のXユーザーが強烈に不満を漏らす中、スタートしたMetaの新しいSNS、ThreadsはどのようなSNSなのでしょうか?詳しく解説して参ります。
Threads(スレッズ)とは?
Metaの新しいSNS「Threads」は、Twitterに対抗する形で開発されたとも噂されています。無料で利用することができる会話ベースのプラットフォームで、短いテキストを共有することを主な焦点としています。500文字までの文章に加え、5分以内の写真や動画の共有が可能。サインアップにはInstagramアカウントが必要ですが、独立したプラットフォームとして機能しており、100カ国以上でiOS、Androidのアプリを提供しているほか、最近ブラウザ上でも利用できるようになりました。
仕様変更が相次ぐTwitterからの移行先として注目を集め、サービス開始から僅か5日でユーザー数1億人を突破。OpenAIのChatGPTの記録を上回り、史上最速で成長したアプリとなりました。この背景には、Instagram アカウントを通じて簡単にサインアップできる仕組みが功を奏したことや、実際にTwitterから流れたユーザーの影響もあったでしょう。
筆者も初日からアカウントを立ち上げ、利用してみましたが、短期間で開発されたとは思えないほど洗練されており、非常に使いやすく良くできたSNSだと感じました。それと同時に、イーロン・マスク氏による買収前のTwitterに似ている印象も受けました。
正直な感想は、
「Twitterの機能をそのままに、Instagramのデザインで作ったSNS」
同じように感じた方も多いのではないでしょうか?
Threadsの特徴と基本機能
ThreadsはかつてのTwitterと同様に実にシンプルで機能がコンパクトにまとまっているSNSです。ここではその基本機能をご紹介しましょう。まずはアカウントの立ち上げ方から説明して参ります。
Threadsにサインアップする方法
先に述べた通り、独立したプラットフォームとして機能していますが、サインアップにはInstagramアカウントが必要です。Threads単独でアカウントを立ち上げることができません。これを面倒と捉える人も少なくないと思いますが、当然メリットも存在します。Instagram との連動のおかげで、ユーザーはInstagramのフォロワーやフォローを引き継ぐことができます。これにより、ゼロからのフォロワー獲得の苦労が軽減され、スムーズに他のユーザーとのコミュニケーションを開始できます。
Threads アプリをインストールして Instagram の認証情報でログインするだけ
Threadsのシンプルな基本機能
Threadsの基本機能はシンプルでわかりやすく整備されています。
- テキスト投稿(最大500文字)、写真共有、および最大5分間の動画を共有
- 5つのタブが存在: フィード、検索、新規投稿、アクティビティ、プロフィール
- ユーザーはフォロワーと他のユーザーの投稿をフィードタブで確認可能
- 検索タブで他のユーザーのアカウントを探せる
- 新規投稿タブでThreadsに投稿できる
- アクティビティタブではフォローリクエスト、いいね、リプライ、リポスト等を確認できる
- プロフィールタブでは自分のスレッド(会話)、返信、再投稿プロフィールを見ることができ、編集も可能
これらの基本機能を通じて、Threadsはユーザーがコンテンツを共有し、他のユーザーと交流することができます。今後、機能の変更、追加も次々行われることでしょう。
現在のX(旧 Twitter)やfacebookと比較しても、機能が絞られておりシンプルな構造
ThreadsとX(旧 Twitter)との相違点
比較されやすいThreadsとX(旧 Twitter)ですが、主に以下のような違いがあります。
※X Premium(サブスクリプションサービス)やInstagram経由の機能を除く
投稿文字数
- Threads: ユーザーは一度に最大500文字を投稿できます。
- X: ユーザーは一度に最大280文字を投稿できます。
写真投稿
- Threads: 1つの投稿に最大10枚の写真を追加できます。
- X: 1つの投稿に最大4枚の写真を追加できます。
動画投稿
- Threads: ユーザーは最大5分間の動画を投稿できます。
- X: ユーザーは最大2分20秒の動画を投稿できます。
ハッシュタグ
- Threads: ハッシュタグ機能はありません。
- X: ハッシュタグ機能があります。
ダイレクトメッセージ
- Threads: ダイレクトメッセージ機能はありません。
- X: ダイレクトメッセージ機能があります。ユーザーはプライベートメッセージを送信できます。
その他、機能の違いは多々ありますが、主要な機能の違いは上記の通りでしょう。Threadsは写真や動画の共有に対してより寛大であることがわかります。これは、ビジュアルコンテンツを重視するInstagramユーザーにも配慮し、利用しやすい環境を意識したのかもしれませんね。
将来、スーパーアプリ(1つのアプリ内で複数の機能やサービスを統合したもの)を目指すXと、シンプルに機能を絞ったThreadsは似て非なるもの。いまは比較されやすい両者ですが、用途やユーザーの文化も、今後は大きく異なっていくと筆者は予測しています。
Threadsの現在
冒頭でThreadsは「X(Twitter) キラー」とも呼ばれたと述べていますが、少なくとも現時点では、そのような存在となっていません。アプリの使用はピーク時の半分以下に減少し、公開当初、一気に参加してきたインフルエンサーたちの投稿も以前より頻度が減り、お世辞にも勢いを維持しているとは言えません。筆者はなによりもマーク・ザッカーバーグ氏自身のアカウントの投稿頻度の減少が気になってしまいます。
Twitterユーザーが長い年月をかけて積み上げてきたTwitterの文化や、愛着は、簡単には崩れないものなのだと、ユーザー自身も感じているのが現実ではないでしょうか。両者のライバル視は存在するでしょう。しかしながら、今後はその傾向も薄まっていくのではないでしょうか。
まとめ
Meta社が発表した新しいSNS「Threads」は、その名の通りテキスト共有を中心とした会話ベースのプラットフォームを提供しています。そのシンプルかつ洗練されたインターフェースは、一部で「X(Twitter) キラー」とも評され、サービス開始からわずか5日でユーザー数1億人を突破するなど、スタートダッシュには成功しました。
しかし、一時のブームが落ち着きを見せる中で、Threadsと従来のSNSとの持続的な共存や競合について、何をもたらすのか、今後の動向は不明です。ThreadsはInstagramとの連携を活かしながらも、独立したプラットフォームとしての新しい価値とユーザーエクスペリエンスを提供していくでしょう。一方で、X(旧Twitter)も多様化するユーザーニーズに応えるべく、批判を受けながらも新しい機能やサービスを拡充しています。
Threadsのシンプルながらもユーザーに焦点を絞った設計は、将来的にどのようなコミュニティを形成し、どのようにデジタルコミュニケーションのパラダイムに影響を与えるのか。そして、古き良きSNS文化と新しい形のSNSがどのように共存し、ユーザーのコミュニケーションの在り方にどのようなインパクトをもたらすのか。これらは今後のデジタルコミュニケーションの進化を理解するうえで、非常に興味深いポイントです。今後のThreadsの動向に期待したいですね。
ABOUT執筆者紹介
Webメディア評論家 落合正和
Webメディア評論家/Webマーケティングコンサルタント
株式会社office ZERO-STYLE 代表取締役
一般財団法人 モバイルスマートタウン推進財団 副理事長兼専務理事
SNSを中心としたWebメディアを専門とし、インターネットトラブルやサイバーセキュリティ、IT業界情勢などの解説でメディア出演多数。ブログやSNSの活用法や集客術、Webマーケティング、リスク管理等の講演のほか、民間シンクタンク(日本観光推進総合研究所 所長)にて調査・研究なども行う。
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