10 March

withコロナで進む「ペーパーレス化」-人事労務関係書類の注意点について確認しましょう-

掲載日:2021年03月10日   
社会保険ワンポイントコラム

新型コロナウイルス感染予防対策で、国は在宅勤務(テレワーク)を企業に推進し、後押しするため「脱はんこ」指針も公表した。企業においては、ペーパーレス化が加速しているが、人事労務関係書類について、ペーパーレス化ができるのかという相談が増えている。今回は人事労務関係書類のペーパーレス化について解説する。

人事労務関連書類をペーパーレス化する際の注意点とは

労働基準法第109条では、「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない」と定めており、同法120条第1号においてこれに違反した場合は30万円以下の罰金を科すとされている。なお、5年という期間については、令和2年4月1日の労働基準法の改正に伴い適用となるが、当分の間は経過措置で3年とされている。

上記の書類の保存については、2005年の行政通達において電子データで保存することが認められるところとなっている。(平成17.03.31基発第0331014号)
電子データで保存に際しては、以下についても留意すべきとされているので確認しておきたい。

  1. 記録された保存義務のある画像情報について、故意又は過失による消去、書換え及び混同ができないこと。また、電子媒体に保存義務のある画像情報を記録した日付、時刻、媒体の製造番号等の固有標識が同一電子媒体上に記録されるとともに、これらを参照することが可能であること。
  2. 同一の機器を用いて保存義務のある画像情報と保存義務のない画像情報の両方を扱う場合には、当該機器に保存義務のある画像情報と保存義務のない画像情報のそれぞれを明確に区別する機能を有していること。
  3. 電磁的記録について、保存義務のある画像情報を正確に記録することが出来ること。
  4.  電磁的記録に記録された保存義務のある画像情報を、法令が定める期間にわたり損なわれることなく保存することができること。
  5.  電磁的記録を圧縮した場合等の保管システムについて、記録された画像情報を正確に復元することが出来ること。

人事労務関連書類の法定保存期間及びその起算日は

人事労務関係書類を電子データ化すると、今度は保存期間が気になるところである。主な文書の保存期間については紙での保管と相違なく、次の表とおりである。

なお、令和2年4月1日の労働基準法の改正に伴い賃金に関する書類について、保存期間の起算日が明確化されているのであわせて確認しておきたい。例えば、賃金計算期間を毎月末日締め、賃金支払期日を翌月10日と定めているケースでは、タイムカード等、賃金計算に係る記録の保存期間は翌月10日から起算して5年(当分の間は3年)となるので、留意する必要がある。

【表:主な人事労務関連書類の法定保存期間】

保存期間 保存期間 保存期間
2年 2年 雇用保険に関する書類(被保険者に関する書類は4年) その完結の日
健康保険・厚生年金に関する書類 その完結の日(退職日等)
4年 雇用保険の被保険者に関する書類 その完結の日(退職日等)
5年
(当分の間3年)
労働者名簿・雇い入れ・退職に関する書類 労働者の死亡・退職・解雇の日
賃金台帳・出勤簿・タイムカード 当該賃金支払期日

労働条件通知の電子化も解禁

労働基準法第15条に定める雇い入れの時の労働条件の明示については、これまで「書面による交付」が必要であった。2019年4月1日からは労働者が希望した場合は、FAX、電子メール等で明示できるようになった。LINE等のSNSメッセージ機能での明示も可能であるが、出力して書面を作成できるものに限られるため、できればPDF等にてのファイル添付による明示がよい。また、「労働者が希望した場合」である必要があるため、後日トラブルとならない為には、労働者が希望したことが確認できる記録は残した方が望ましい。
そして、「受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信」の送信の方法とすることができるとされているため、本人宛に直接送信することが必要だ。

就業規則はどうなのか?

就業規則の周知方法については労働基準法第106条第1項に定めがあり、「常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付すること」等によって、労働者に周知させなければならない。」とされている。また、平成9年10月20日の通達により、電子データとして必要なときに容易に取り出せその方法が周知されている場合は、イントラネット等での掲載が就業規則の周知義務の要件を満たすものとして取り扱うこととされた。従業員からすると、鍵をかけた戸棚の中に就業規則が保管されてあるよりもイントラネット等でいつでも閲覧できる方が便利なようだ。就業規則についてもぜひペーパーレス化を検討して頂きたい。

withコロナ時代、企業のペーパーレス化はますます進むだろう。生産性の向上も見込める為、クラウドサービス等を利用してぜひ人事労務関係書類のペーパーレス化も進めて頂きたい。

ABOUT執筆者紹介

社会保険労務士法人SOPHIA 代表
松田 法子

原稿提供元株式会社ブレインコンサルティングオフィス「かいけつ!人事労務」
 
本記事「withコロナで進む「ペーパーレス化」-人事労務関係書類の注意点について確認しましょう-」はいかがでしたか?

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