新型コロナウイルスで加速した中小企業が取り組むべき「デジタル化入門」
中小企業おすすめ情報
コロナウイルスの影響を受け始めてから早2年、中小企業の経営は難しい局面を迎えている事と推察されます。とりわけ「デジタル化」については多くの会社様が変革を迫られておりたくさんのお問い合わせを頂いております。そこで本稿では、中小企業が取り組むべき【デジタル化入門】をテーマにポイントを解説していきます。
デジタル化の目的が重要です!
まず、ご注意いただきたいのはデジタル化する目的を明確にする事です。業務フローは千差万別で、システムも数多あります。当たり前なのですが、新しいシステムを導入する事が目的なのではなく、業務を効率化して「新たな価値を生み出すこと」が目的のはずです。
道に迷ってしまう会社様の多くが目的を見失って、システムを導入する事が目的になり、迷子になって成果に辿りつけません。繰り返しになりますが、効率化の先にある「新しい価値」を見据えて実行すべきです。
システム導入による業務効率化を阻害する要因
それではシステム導入による業務効率化を阻害する要因を考えてみましょう
①業務フローの見直しをセットで実施しない
そもそもアナログだろうとデジタルだろうと、無駄な業務フローをいくら続けていても業務は一向に改善しません。そもそもいらなくなったフローはないでしょうか?
新しい事を始める前に「やらない事」を決めましょう。新しい事を一つ始めるのであれば、やめる事を二つ以上意識的に決めるべきと考えます。
②多くの場合、社長(上長)が問題
上記業務フローの見直しにも通じますが、現場スタッフが業務フローの見直しをしづらい理由の第一が「社長が始めた制度だから」というものです。社長本人も自分が始めた事も忘れているような制度だったとしても、スタッフは社長の思い入れがあるものだと勝手に思い込んでいるものです。
また、社長が決裁してしまった「特例」が業務フローを複雑なものにしていないでしょうか?本来はこの流れが正解だが、特例のA社だけは別の流れになってしまっている・・・中小企業あるあるですよね?
③専門家を入れる事も検討すべき
一方で、社長自身はPCも苦手・・・なのに、デジタル化に成功している企業もあります。全てを理解しようとせず、上記の目的を伝え続けるのが社長の役割とおっしゃっていました。デジタル化には様々なメリットがありますが、変革を起こすためには専門家の力も不可欠だと思います。場合によっては、専門の担当者を内部に置く事で革新を起こしている事例もございます。また、実際に現場スタッフの中にシステムに詳しい適任者が眠っているかもしれません。
デジタル化のメリット
入門編という事から既に普及が進んでいる、ビデオ会議システム(zoom等)・ビジネスチャット(chatwork等)・ドキュメント管理システム(dropbox等)・クラウド型会計ソフト(MA1等)のメリットについてご紹介させて頂います。
キーワードは「情報共有スピードの革新」です
①移動時間を超えるビデオ会議システム
zoomに代表されるビデオ会議システムは、コロナ禍において普及が進みました。社内の打合せだけでなく、社外との打ち合わせ、さらには作成した資料の内容を解説する動画をzoomの録画機能で作成し、社内に共有やセミナーに活用することが出来ます。この動画資産はyoutubeでアップする事も可能ですので、研修資料ではなく広告資産という位置付けにもなります。
自社または上司が持つ情報・ノウハウを共有するスピードが飛躍的に改善します。特定の場所に行かないといけない縛りは、我々に大きな制約を課していた事に気づかされますね。自分だけでなく相手の移動時間も奪っていたのです。ビデオ会議システムの導入により自由度が増す事は間違いありません。
②郵便<FAX<メール<ビジネスチャット
chatwork等のビジネスチャットは、メールよりもさらに簡易に情報伝達が可能になります。伝えて、相手が受け取った事を確認するだけのコミュニケーションは、毎回返信のメールを作成せず、リアクションボタンをクリックするだけで解決します。
一番有効なのは、グループチャットです。特定の業務に関係する人を全員そのグループに入れる事で、情報伝達・ファイル共有が一瞬で可能になります。
臨時的な業務は、レスポンスのスピードを求められるケースが多い事から、臨時のチャットグループを組成する事で、担当者個人に負担をかけずチーム戦を展開する事でき、さらには相手の満足度を高める事が出来るのです。
③メール添付よりも安全なファイル共有
Dropbox等のデータストレージサービスによるファイル共有も一般化してきました。共有フォルダにファイルを共有する事で、メール添付よりも安全なやり取りが可能です。また、お互いに情報を更新したいファイル(例えば進捗確認用のリストが入ったエクセルファイル)を共有し、それぞれの空き時間に作業する事で、業務を効率的に進める事が可能になります。
④クラウド会計で意思決定スピードが飛躍的に上がる
ソリマチのパートナー会計事務所経由で提供しているMA1等のクラウド会計ソフトも、導入が促進されています。銀行口座やクレジットカードの明細を会計ソフトに取り込むことで入力時間や転記ミスを削減する事が出来ます。また、複数の拠点や複数人が関わっている場合等にも有効です。場所や人に縛られないためテレワークには欠かせないツールとなっています。
会計ソフトの革新は、財務情報の提供時期を早めてくれます。今まで20日に提供されていた試算表が10日に提供されると、意思決定が10日早まります。そうすると「来月から」改善しようと思っていた事が「今月から」改善しように変わります。これは企業にとって大きな効果があると考えてます。
デジタル化のデメリット
ただし、メリットだけではありません。デメリットもあります。
対面が勝る場合もある
ビデオ会議システムは効率的ではありますが、大事な打合せや商談に際しては対面が勝る場合もあります。雑談や相手の感触を確かめながら進めたい場合にビデオ会議システムではどうしてもワンテンポ遅れたり、画面に映っていない部分で相手の心情が読み取れません。バランスよくその局面においてどちらを選択するかが重要となります。
情報漏洩は要注意
情報共有の利便性とセットで考えなければならないのが、情報漏洩リスクです。共有の相手先を間違えれば信用を失い大きな損失となってしまいます。またIDやパスワードが漏洩してしまうと機密情報が外部に伝わってしまうリスクもあります。
DXを進める事と同時に、情報の取扱いに関する研修や、セキュリティのシステムも見直しながら進めていかなければなりません。
まとめ
以上の通り、デジタル化のポイントを解決させて頂きました。まずはデジタル化の目的を明確にしましょう。システムを入れる事が目的となってしまうと成果に繋がりません。どんなに素晴らしいシステムも成果が出なければ現場は使ってくれません。そして、社長が示すのはこの目的です。新しい事を始めるためには、やめるべき事もセットで伝えるようにしましょう。くどいですが、社長自身が使いこなせる必要はないのです。
最後に、組織で解決する事が重要です。上記のシステム一つだけでも導入し、使いこなせば「情報共有のスピード」は改善されます。これはチーム戦と相性が良く、飛躍的に効果を発揮します。情報伝達、情報共有だけでなく情報資産が広告資産になる事、デジタル化には今後の経営にとって重要な要素がまだまだ眠っていると考えています。
ABOUT執筆者紹介
代表社員税理士 米田明広
2013年に税理士登録し、あすか税理士法人最年少役員就任。2018年に株式会社エネックスを設立、中小企業のコスト削減提案を行っている。現在は、税務会計だけでなく事業承継やM&Aといった戦略策定、システム導入による業務フロー改善といった業務を通じて、北海道の中小企業の経営課題を解決すべく活動している。
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