中小企業のセキュリティ対策とは?現状・サイバー攻撃の種類も解説
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デジタル化が進む現代において、情報漏えいやシステムダウンなどの脅威は増加の一途をたどっています。サイバー攻撃やデータ漏洩といったリスクは、企業の信頼性や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、適切なセキュリティ対策とデータ保護戦略を構築することが不可欠です。
本記事では、中小企業が実践すべき具体的なオンラインセキュリティ対策と、データ保護のための戦略について詳しく解説します。
中小企業のオンラインセキュリティの重要性
中小企業にとって、オンラインセキュリティは事業継続のために欠かせないものです。サイバー攻撃の増加に伴い、セキュリティ対策が不十分な企業は深刻な被害を受けるリスクがあります。
たとえば、ランサムウェアによる攻撃を受けた場合、業務システムが暗号化され、全てのデータにアクセスできなくなります。これにより、業務が停止し、身代金を支払わざるを得ない状況に陥ることがあります。この結果、多額の経済的損失を被り、顧客の信頼を失う可能性があるでしょう。
また、フィッシング攻撃によって従業員の認証情報が盗まれた場合、不正アクセスにより顧客データや企業の機密情報が漏洩するリスクがあります。これにより、法的な罰則を受けるだけでなく、顧客からのクレームや信用の低下が発生し、ビジネスの継続が難しくなることがあります。
中小企業のオンラインセキュリティ対策の現状
IPA(独立行政法人情報処理推進機構)は2017年4月から中小企業が情報セキュリティ対策に取り組むことを自己宣言する制度「SECURITY ACTION」を運用しています。2023年10月にはこの自己宣言を行った事業者(以下「宣言事業者」)が30万者を超え、制度への高い関心が示されています。
1年以内に情報セキュリティ対策を実施した、あるいは実施を予定している事業者が60%以上にのぼり、SECURITY ACTION宣言が継続的なセキュリティ対策への意識向上に貢献していることが確認されました。
特に「従業員に対する情報セキュリティ対策ルールの教育」(30.7%)や「クラウドサービスやウェブサイトで利用している外部サービスの安全性、信頼性の確認」(24.1%)が主要な取り組みとなっています。
また、実感できた効果については「経営層の情報セキュリティ対策に関する意識の向上」(23.0%)、「従業員による情報管理や情報セキュリティに関する意識の向上」(22.8%)、「取引先からの信頼性の向上」(13.2%)でした。
情報セキュリティ対策を進める上での最大の問題点は「情報セキュリティ対策を行うための人員が不足している」(38.6%)であり、次いで「情報セキュリティ対策の知識をもった従業員がいない」(33.3%)、「従業員の情報セキュリティに対する意識が低い」(31.9%)が続きます。
サイバー攻撃の主な種類
セキュリティ対策を行う際は、サイバー攻撃の種類を把握しておくことが大切です。サイバー攻撃の種類について、例を交えて詳しく見ていきましょう。
フィッシング攻撃
フィッシング攻撃は、信頼できる機関を装ったメールやWebサイトを通じて、個人情報や機密情報を盗み取る手法です。企業の機密データが漏洩するリスクが高まります。
たとえば、銀行からの重要なお知らせを装ったメールを受け取ったとします。そのメールには、緊急のアカウント確認を求めるリンクが含まれており、従業員がリンクをクリックすると、本物そっくりの偽の銀行ウェブサイトに誘導されます。従業員がここでログイン情報を入力すると、その情報が攻撃者に渡ってしまいます。
ランサムウェア
ランサムウェアは、感染したシステムのデータを暗号化し、解除のために身代金を要求するマルウェアです。中小企業がこれに感染すると、業務が停止し、大きな経済的損失を被ることになります。
たとえば、システムにログインしようとすると、全てのファイルが暗号化され、アクセスできなくなり、画面には「ファイルを復旧したければ、ビットコインで身代金を支払え」というメッセージが表示されます。
このような状況では顧客データ、財務記録、プロジェクトファイルなど、すべての重要なデータにアクセスできないため、通常業務が続けられません。従業員は仕事ができず、顧客対応も滞り、深刻な経済的損失を被ることになります。
マルウェア感染
マルウェアは、コンピュータやネットワークに悪影響を与える有害なソフトウェアの総称です。ウイルス、トロイの木馬、スパイウェアなどが含まれ、システムの破壊や情報漏洩を引き起こします。
たとえば、インターネットからダウンロードした無料ソフトウェアにトロイの木馬が仕込まれており、インストールと同時にトロイの木馬がシステムに侵入したとします。トロイの木馬は、バックグラウンドで機密情報を収集し、攻撃者に送信する機能を持ちます。
その結果、顧客データや社内の機密情報が漏洩し、顧客からの信頼が失墜する恐れがあります。
また、従業員がウイルスに感染したメールの添付ファイルを開いたことで、ウイルスがシステム全体に拡散し、ファイルが破壊されるケースもみられます。重要なデータを失って業務が停止し、顧客対応にも大きな支障をきたすことになりかねません。
データ漏洩
データ漏洩は、企業の機密情報や個人情報が外部に流出することを指します。不適切なアクセス制御やセキュリティの欠如が原因となることが多く、信用の失墜や法的な問題を引き起こす可能性があります。
たとえば、不適切なアクセス制御のためにデータ漏洩が起きた場合、内部の従業員が不正に顧客情報にアクセスし、外部に持ち出すことが考えられます。顧客情報が第三者に売却されることで、顧客から信頼を失い、サービスを継続できなくなることになりかねません。
中小企業のオンラインセキュリティ対策
中小企業は、次のようなオンラインセキュリティ対策を実施することが大切です。
強力なパスワードポリシーの導入
パスワードは、オンラインセキュリティの基本です。中小企業は、強力なパスワードポリシーを導入し、従業員に複雑なパスワードの使用を促すこと大切です。たとえば、数字と記号を組み合わせた12文字以上のパスワードをルールに定めましょう。
また、定期的にパスワードを変更するルールを設けることも有効です。仮にパスワードの情報が漏れたとしても、実際に悪用されるまでにはタイムラグがあります。定期的にパスワードを変更すれば、流出したパスワードを悪用できなくなり、被害を未然に防げる可能性が高まります。
定期的なソフトウェアアップデート
ソフトウェアのアップデートは、セキュリティホールを修正し、最新の脅威に対応するために重要です。すべてのデバイスとアプリケーションが最新バージョンに保たれていることを確認しましょう。
定期的なソフトウェアアップデートを怠った場合、古いバージョンのソフトウェアに存在するセキュリティホールを悪用され、サイバー攻撃を受ける可能性があります。
すべてのデバイスとアプリケーションの更新を自動化し、常に最新の状態に保つことで、手間をかけずにセキュリティ性を維持できます。
ファイアウォールとアンチウイルスソフトの使用
ファイアウォールとアンチウイルスソフトは、外部からの攻撃を防ぐために不可欠です。これらのセキュリティツールをインストールし、定期的に更新することで、システムを保護しましょう。
ファイアウォールは、内部ネットワークと外部インターネットの間に設置されるセキュリティシステムです。不正なアクセスや通信を検出し、ブロックする役割を果たします。具体的には、ネットワークトラフィックを監視し、許可された通信のみを通過させることで、外部からの攻撃や不正アクセスを防ぎます。
アンチウイルスソフトは、コンピュータやネットワークに侵入したウイルスやマルウェアを検出し、除去するためのプログラムです。定期的にウイルス定義ファイルを更新することで、新たに登場したウイルスにも対応できます。
アンチウイルスソフトはリアルタイム保護機能を持ち、ファイルがアクセスされるたびにスキャンを実施してマルウェアの侵入を防ぎます。
従業員教育と意識向上
従業員の教育は、セキュリティ対策の効果を高めるために不可欠です。定期的にセキュリティトレーニングを実施し、フィッシングメールの見分け方や安全なインターネットの使い方を教えることで、従業員のセキュリティ意識を向上させましょう。
たとえば、毎月従業員向けのセキュリティトレーニングを実施します。実際のフィッシングメールの例を使い、従業員にどのように見分けるかを学習させましょう。また、安全なパスワードの作り方や共有しないことの重要性、セキュリティソフトの利用方法についても指導します。
リスク対策としてセキュリティ向上が必須
現代のビジネス環境では、サイバー攻撃やデータ漏洩のリスクが日々増大しています。中小企業がこれらの脅威から身を守るためには、セキュリティ対策を強化することが不可欠です。強力なパスワードポリシーの導入、定期的なソフトウェアアップデート、ファイアウォールとアンチウイルスソフトの使用、従業員教育と意識向上など、包括的なセキュリティ対策を実施することで、企業は自らを守り、顧客や取引先からの信頼を維持することができます。
セキュリティ向上は単なるコストではなく、企業の持続的成長と競争力を支える重要な投資であることを認識し、積極的に取り組みましょう。
ABOUT執筆者紹介
加藤良大
フリーライター
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歴11年フリーライター。執筆実績は23,000本以上。
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