銀行員から美容師への転身〜溢れ出る好奇心からIT導入で心地良いサロンへ~
みんなの経営応援通信編集部
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髪のケアにこだわり、お客様の7割がリピートに
「Le Plaisir(ル・プレジィール)」の特徴を教えてください
「Plaisir」は、仏語で「喜び」という意味です。扱いやすく喜んでいただけるヘアスタイルと、楽しく癒される時間を過ごしていただきたいと思っているスタッフの集まっているサロンです。お客様は20代後半から60歳ぐらいまで、働いていらっしゃる方が比較的多いように思います。
また、10年以上ずっと通ってくれている方も多いです。髪を綺麗にするケアに力を入れていて、メニューを豊富に揃えています。今は2人の店なので新規が少ないこともありますが、年平均で7割、月によっては100%近いリピート率の時もあります。ケアサービスにご納得いただけることが多くて、おかげさまでお客様のほとんどがリピーターになってくれています。
シャンプー時、顔に被せるガーゼの種類も充実しているそうですが
12種類のアロマのフェイスガーゼをご用意しています。人気があるのは柑橘系、特にグレープフルーツが1番人気ですね。たまにアロマの香りが強い「イランイラン」を選ばれる方もいます。細かいサービス一つであってもお客様との会話が生まれると良いと考えています。
着物の着付けもスタッフさんと一緒にマスターしたと聞きましたが?
スタッフの竹越が開業3年目ぐらいの時に、着付けを習うことになったんですが、自分も習ってみようかなと。「良い着付け」と「悪い着付け」の違いがわかり、視点が一緒になる方がいいなと思いまして。竹越の腕前は凄くて、お茶会で着物が大好きな年配の女性に「あなた、着付けうまいわね」と大絶賛いただいています。締め付け過ぎず、緩過ぎず、適度な調整ができるのだと思います。
「蛙の子は蛙」 楽しく働く母の姿を見て、三代目を継承!
美容室を開業した経緯を教えてください
長岡市内の高校から東京の大学(国際経済学部)に進学したのですが、バブル崩壊の後で、就職活動していた大企業が、潰れたりする不安定な時代でした。父は会社員で工場勤務、母は美容院をやっていました※。安定した金融機関がいいなと思い、地元新潟にUターンし地方銀行に就職しました。でも仕事の価値観と葛藤し、就職した銀行もわずか2年で辞めました。
※今も長岡市内で「さいとう美容院」を営業中
「蛙の子は蛙」 なんでしょうね。人に喜んでいただけるのが仕事だと思っていました。
銀行員時代はミスが起きた時などに、お客様より銀行本意で価値基準がなんととなく違うなと。当時は日本で、高齢者にローンとセットで保険に加入したりすることが社会問題になっていたり、どこかで自分が目指している仕事と違うなと気づきました。自分はそんな現実に直面している一方で、実家に帰れば母がゲラゲラ笑いながら美容師で楽しそうに仕事しているわけですよ(笑)
で直ぐに仕事を辞めて美容師を目指したのですか?
実家が美容院をやっているから美容師というわけではなく、最初はマッサージなど他のサービス業も検討しました。ただ最終的に一番しっくり感じたのが美容師だったんです。それで(学校が始まる直前の)3月に銀行を退社し、美容学校を探しました。自分としては実家から通える新潟の美容学校でもいいかなと思っていたんですが、母に相談したら「男なんだから東京に行け」と(笑)学費は自分の貯金で賄いながら親には仕送りをしてもらいました。当時の美容学校は1年間だけだったのと、卒業後は東京の美容室で修行したいと考えていたので東京の美容学校を学びました。
齊藤家は2代続けて美容師に?
いえいえ、自分で3代目になります。祖母が明治時代に長野に蚕業に働きに出て、戻ってくると女性は家庭を守るのが一般的な時代だったのですが、うちの祖母は「私は貧乏がいやだ」と(笑) 当時は髪結いのところに弟子入りして、髪結いができるようになったと聞いています。店を持ったのは昭和に入ってからで、今と違って警察署の開業届が残っています。昔は、お客様のところに行って結ってくるという感じが多かったそうです。長岡の別の場所にあったのですが戦災で焼けて、今でも母が店を構えている場所へ。昔は東京と長岡の移動も8時間ぐらいかかる時代だったので東京帰りだと(最新技術を持っていると)評判がよく、東京で修行した母は人気が凄かったらしいです。毎日よく働いていました。もしかしたら母は自分も東京で美容を学んだ経験があるので、息子も東京へ送り出してくれたのかもしれませんね。
東京での修行時代は辛かったですか?
いえ、仕事以外にもカットの専門誌でやっているコンテストに応募したりなどして積極的にやっていました。賞をいただいたりして、同じテーマで応募している美容師のアイデアや出来栄えも刺激を受けました。今と違い、審査委員のコメントも辛口が多いのですが、それも含めて仕事の励みにもなりましたね。
店長は好奇心旺盛で、変な人(笑)
(スタッフの竹越さんに聞きました)店長の齊藤さんはどんな人ですか?
すごく面倒見がいいです。私はこのお店のオープニングスタッフから応募して初めて齊藤さんに会ったのですが、仕事からプライベートまで気をかけてくれます。(仕事終わりに夫と迎えに来る)子供の遊び相手だけではなく、私が風邪の時には玄関に食料を届けてくれたこともありました。
あとは「変わっている人」ですね。なんでも興味があって、なんでも試してみたい人なんだと思います。
竹越さんにとって仕事で大切にしていることは何ですか?
素直に、お客様が満足されるのがうれしいですね。2回目に来ていただいただけで、まず嬉しいです。着付けも次回に感想を聞くことが多いですね。あと、お客様がお店の訪問を重ねると、(お店に)馴染んでくれている様子がわかり、こちらも楽しくなるんです。お客様にとっては自然と、意識していない言葉なのかもしれませんが、「こんなに美容師さんと喋ったのは初めて」「いい話聞いちゃった~」とか、そういったやり取りが自分にとっては励みになりますし、とても特別な言葉になっています。
やっぱりMoneyLinkですね。あれは本当に最高ですよね。
デジタル化を意識した試みがあれば教えてください
お店のLINEアカウントを作ったり、随分前からタブレット端末でお客様が好きな雑誌を読めるようにしています。また料金の決済ではPayPayでのお支払いも可能で、特に若い層のお客様に喜んでいただいています。
経理業務はどうされているんですか?
最初はソリマチさんの会計ソフトではなく、他社のソフトを使っていました。いくつかの事柄が重なったんですが、第一に、できたら地元のものを使いたいなと※。次に、お願いしていた会計事務所の方に、ソリマチさんならインポートが簡単だからと言われたり、ソリマチ製品を導入している会計事務所に勤めていた知り合いから「教えてあげられるよ」と言われて、そうこうしていたら約10年以上前になりますが、会員番号1000人目のお客様がたまたまソリマチの社員さんだったんです。そこまで偶然が重なったら、ソリマチさんのソフトに替えようと思いますよね。困ったらなんでも聞けるじゃないですか(笑)
※長岡市はソリマチグループ創業の地
便利な機能があれば教えてください
やっぱり「MoneyLink」(マネーリンク)ですね。あれは本当に最高ですよね。比較的私はパソコンオタクなので、ある日、会計王のメニュー画面にMoneyLinkが現れて、「なんだこれは!」と。
使用頻度は確実に月1回、最近は月末と振込日の10日の2回は最低でも会計王とMoneyLinkで経理をやっていて、何かあればもう1回で、多い月で3回ぐらい使っています。年にすると20回以上30回未満の利用ですかね。会計王での仕訳登録が本当にスムーズです。細かいこと、今年の税制などはわからないので、会計士の人にデータをエクスポートして渡して、お願いしています。自分である程度記帳をすると顧問料は低料金で済むのでいいですね。減価償却は会計士に任せて、在庫は自分でやっています。お店で使うものなど棚卸ししています。
MoneyLinkを使うと記帳がすごくラクなので経理に対する抵抗感が下がるばかりか、12月になっても申告に向けてやることがないんです。冬に趣味のスキーを満喫できるのはMoneyLinkのおかげですね!
MoneyLinkには銀行口座をいくつぐらい登録しているのですか?
便利なんで(笑)A銀行のお店の口座、自分の口座、貯蓄用の口座、B銀行、C銀行、あとクレジットカード1枚を登録しています。通帳記入は普段やっていないですが、業務には全然支障がないですね。記帳せず、まとめて窓口で一度に印刷してもらうほうが便利なんです。
PayPayの売上は月に1回の入金頻度を選択しています。頻度良く振り込まれるとその分、メイン口座への他行振替に費用が掛かるので月に1回で十分ですね。
他にIT導入して工夫していることはありますか?
お店の電話もスマホにしています。迷惑電話や間違い電話が多く、その度に仕事の手が止まってしまうので、スマホならブロックしやすいので便利です。そのうち片耳にBluetoothイヤホンを付け、電話対応しながらカットするかもしれませんね。あと、最近は(施術中に)自分のスマホを見られるお客様も多くなりましたね。自分のSNSアカウント、今の人達は自分のアカウントに流れてくる情報が気になるみたいで。iPhone,Androidの充電器など取り揃え、ちょっと気のきくサービスも心掛けています。
バランスの良い生活が保てるように力を入れていきたい
経営上の悩みは何でしょうか?
人材ですかね。男女問わず、スタッフを迎えたこともあるのですが、家庭の事情や人生の方針転換などの理由で長続きしなかったので。それ以外は特に経営の悩みはないです。
基本、仕事が楽しいですね。日々お客様との出会いや新たな会話がありますし、例えば、お客様から「昨日、交通事故起こしちゃって~」なんて話でも、本当は暗い出来事でも口に出してくれることでお客様の心が整えば本望ですし、私もいろいろなお客様の、いろんな話題ができるこの仕事が好きです。
今後の展開について教えてください
自分がいなくてもスタッフ(竹越)がラクに休めるようにしたいですね。母親としても休みたい時もあるでしょうし、バランスの良い生活が保てるように、経営者として力を入れていきたいですね。
取材を終えて
齊藤さんの人への興味・新しいモノが好きな好奇心と、竹越さんの穏やかな雰囲気で満たされているお店だと感じました。
仕事を通じてお客様のヘアスタイルを変えるだけでなく、心の状態も変えられるという職業であることを、齊藤さんの親子三代のルーツをお聞きして気づかされたように思います。
店名の「Plaisir」は、仏語で「喜び」という意味の言葉だそうですが、このお店で2人に出会えたお客様は、施術と会話を通じて日頃の悩みから解き放たれることで、どちらかというと「うれしい!」という感覚に近い体験をされているのかもしれません。
(ソリマチ取材班)
※取材の際には新型コロナウィルス感染症予防対策に注意して実施しております。
今回ご紹介したお店の情報
店舗名 | Le Plaisir(ル・プレジィール) |
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所在地 | 新潟県長岡市曙3‐4‐23 |
電話番号 | 070-4414-1040 <map> |
営業時間 | 10:00~20:00(カット・カラー・シングルメニュー 最終受付19:00) |
定休日 | 毎週月曜日・第1火曜日・第3月曜日 |
「Le Plaisir(ル・プレジィール)」様お使いのソフト
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