18 August

デジタル技術の導入による企業の変革を目指す「DX投資促進税制」についてチェックしましょう

掲載日:2021年08月18日   
税務ニュース

令和3年度税制改正により、デジタルトランスフォーメーション(以下「DX」という。)投資促進税制が創設されました。経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」によると、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義され、単なるIT化やデジタル技術の活用とは異なり、デジタル技術の導入による企業の変革を指しています。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大等によって、日本のデジタル化の遅れが顕在化し、DXへの取り組みは急速に関心を集めることとなりました。ウィズコロナ・ポストコロナ時代を見据え、デジタル技術を活用した企業変革のための投資を後押しすべく、このDX投資促進税制が創設されました。DXを進める企業にとっては、この税制を活用することで節税効果を受けつつ、設備投資を行うことができます。

1.制度概要

DX投資促進税制は改正産業競争力強化法に基づき、部門・拠点ごとでない全社レベルのDXに向けた計画を主務大臣が認定し、デジタル技術を活用した関連投資に対して、投資額の3%又は5%の税額控除もしくは30%の特別償却の措置が講じられています。適用期限は令和5年3月31日までの2年間の時限立法となっており、この期間においてのみ税制優遇を受けることができます。

対象となる設備は、ソフトウェア・繰延資産(クラウドシステムへの移行に係る初期費用)・器具備品・機械装置(ソフトウェア・繰延資産と連携して使用するものに限る)とされ、投資額は、売上高比の0.1%以上が下限で、300億円までの投資が対象となります。

出典:経済産業省 「令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について」P6

2.認定要件

DX投資促進税制の適用を受けるには、改正産業競争力強化法に基づく「事業適応計画(仮称)」を主務大臣に提出し、認定を受ける必要があり、認定を受けるにあたっては、デジタル(D)要件、企業変革要件(X)の2つの要件を満たす必要があります。

出典:経済産業省 「令和3年度(2021年度)経済産業関係 税制改正について」P6

デジタル(D)要件について

デジタル(D)要件は、データ連携・共有、レガシー回避、サイバーセキュリティについての要件で、次のすべてを満たす必要があります。

  1. 他の法人等が有するデータ又は事業者がセンサー等を利用して新たに取得するデータと既存内部データとを合わせて連携すること
  2. クラウド技術を活用すること
  3. 情報処理推進機構が審査を行う認定(DX認定)

このうちDX認定とは、2020年に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認定制度であるDX認定制度を受けることを指します。

DX認定制度は、情報処理推進機構(IPA)が、国の策定した企業経営における戦略的なシステムの利用の在り方についての指針を踏まえ優良な取り組みを行う事業者の申請を受けて審査し、認定する制度で、審査期間は約3カ月、認定の有効期間は2年間となっています。

出典:独立行政法人情報処理推進機構 「DX認定制度 申請要項(申請のガイダンス)」P14

企業変革(X)要件について

次に企業変革(X)要件は、ビジネスモデルの変革、アウトプット、全社戦略についての要件となり、次の要件すべてを満たすことが必要です。

  1. 商品の製造原価が8.8%以上削減されること等
  2. 生産性向上や売上高の上昇の目標を定めること
    ・計画期間内で、ROAが2014年~2018年平均を基準値として1.5%ポイント向上
    ・計画期間内で、売上高伸び率≧過去5年度の業種売上高伸び率+5%ポイント
  3. 投資総額が売上高比0.1%以上であること

なお、ROAとはReturn On Assetの頭文字で、総資産利益率又は総資本利益率と訳され、利益を総資産で除して計算される指標であり、企業に投下された総資産が利益獲得のためにどれほど効率的に利用されているのかを表します。

上記の要件を満たした事業適応計画を提出し、主務大臣の認定を受けることでDX投資促進税制の適用を受けることができます。DX認定等、計画書を提出にあたり時間を要するものもあり、事前の計画、準備が必要となっています。

まとめ

コロナ禍により企業を取り巻く経営環境は目まぐるしく変化しており、このDX投資促進税制の適用を受けるかどうかを問わず、自社の生産性を高め、企業が継続・発展していく上でDXは必要不可欠といえます。また、DX認定制度を行うIPAにおいて、DXの推進具合を自己診断することもできます。これにより、他の企業と自社の状況を比較し、分析結果を活用することで、今後の経営判断を検討することができます。税制の適用を受けること目的にするだけではなく、DXを推進するきっかけになると思われます。

令和3年度税制改正ではこのDXだけでなく、カーポンニュートラルに対する投資促進を優遇する税制も設けられています。これらの制度を活用することで、設備投資をより有利に行うことができるため、一度検討されてみてはいかがでしょうか。

ABOUT執筆者紹介

代表社員税理士 伊勢 文郎

税理士法人マスエージェント

税理士法人マスエージェント代表社員税理士。「プロの仕事でお客様に感動して頂く」をスローガンに、分かりやすい説明と提案で顧客からの信頼も厚い。情報発信も積極的に行い、セミナー講師も多数努める。座右の銘は「プラス発想・勉強好き・素直・感謝」。

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