「本社」や「支店」は必要なの?
税務ニュース
そもそも,本社は必要なの?
コロナ禍で、上場会社が次々に本社を売却しているようです。テレワークを実施している会社にとっては、本社がなくても、会社を経営できると気付いたことは、大きな影響力を持ちますね。しかし、本社がどこにもない会社は存在できるのでしょうか?
本社、もっと言えば、「会社」という「場所」は、なんのためにあるのでしょうか?
そもそも会社とは、社員が集まることにより、インスピレーションを得たり、社員同士のコミュニケーションをとったりする社交の場として、存在していたように思います。しかし、コロナ禍となり、社員同士のコミュニケーションをいかにとるか、会社が工夫を重ねた結果、社交の場としての機能は、オンラインで行う会社も増えました。商品開発のインスピレーションも、会社によっては、会議で報告を上げるだけになったところも多いようです。このようにオンラインでできるようになると、特に本社という「建物」を構えなくても会社としての利益をあげることに問題はないようにも思えます。
確かに、社員が集まるという意味での建物が無くても構わないのです。
しかし、会社の住所を特定する意味では、本社は必要なのです。その理由を述べていきます。
1 登記上の本店が必要
会社は登記をすることにより、スタートします。この登記には、本店(本社)の所在地が必要です。つまり、本店(本社)がないと、会社は存在できないのです。ただし、この場所は、個人の自宅でも構わないのです。そこで、本社を代表者の自宅にしたり、登記上の住所にするためだけに小さなオフィスを借りたりする会社もあります。
2 銀行などの第三者に、会社を認識させるために必要
登記後は、誰でも会社の登記簿謄本を見ることができます。会社名義の銀行口座を開設するときに、銀行に届け出る住所は、登記簿上の住所です。また、登記簿をみて、本店の住所地から、会社を知るきっかけになることもあります。
3 納税のために必要
登記上に本店として記載された場所で、納税の申告をします。
これらの理由から、本店は必ずどこかに定めなくてはならないのです。
支店を出したら、登記する必要があるの?
では、「支店」は必要なのでしょうか? テレワークを行っている社員の自宅は、支店に当たるのでしょうか?
支店や営業所については、どのように考えたら良いのでしょうか。
登記上の支店は、独自の経営が成り立つことを意味します。つまり、支店が独自に、取引先になることができ、経理も独立しているかがポイントです。たとえば、チェーン展開するレストランを例にとって考えてみます。各店舗が独自に契約することができるでしょうか。経理が独立していても、独自に契約できる場合は少ないでしょう。そのような場合には、特に支店として登記する必要はありません。営業所も同じです。テレワークを行っている社員の自宅も、支店にする必要はありません。
会社のあり方を見直しましょう
今回、コロナ禍によって、会社の形態が見直されたように、これからも会社の形は変わっていくと思います。株主総会もオンラインで開催できるようになったり、これを機に変更されたところも多いでしょう。会社の機関設計(取締役や監査役などの会社役員)は今のままでいいのか? 取締役や監査役が必要なのか? テレワークをしていても、指揮監督は十分にできるのか? 社外取締役が必要なのか?
コロナ禍をきっかけにして、会社をもう一度見直す機会にしましょう。
ABOUT執筆者紹介
司法書士・行政書士 小平磨弓
司法書士・行政書士 南宇都宮法務事務所
栃木県宇都宮市にて、平成26年開業。相続や売買による不動産の手続き、会社の設立や株式会社の登記の変更、定款変更、裁判書類作成、成年後見業務など、幅広く承ります。「近所の困りごと」のご相談を受けることが多く、和解書や合意書のご提案も行っております。
弁護士、税理士、社労士等と連携し、弊事務所1か所で用事を済ませることができます。
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