25 October

営業なしで売上倍増!19年続くタケイファームのレストラン取引、その秘密とは?

掲載日:2024年10月25日   
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レストランとの取引の近道!それは農家の情報発信!

現在、タケイファームでは栽培した野菜の95%を直接レストランへ販売しています。過去の販売チャンネルは、「ECサイトでの野菜セットの販売」「百貨店への卸し」「マルシェの出店」そして、「レストランへの出荷」の4つがあったのですが、「レストランへの出荷」の1本に絞ったことで、労働時間は半分となり売り上げは2倍になりました。

僕が初めてレストランと取引を始めたのは2006年11月、知人の紹介でした。あれから19年、レストランへ野菜を販売していますが今まで営業をしたことはありません。というのも前職が自動車の販売会社で、営業が嫌で仕事を辞め「農業で営業はしない」と決めていたからです。営業をせずにどうやってレストランと取引が始まったのかと疑問に思う人も多いかもしれませんが、その答えは「情報発信」です。

情報発信でチャンスを掴む!取引につながる2つの実例

情報発信するメリットの例を2つ紹介します。

1 タケイファームの取引先に都内のホテルがありますが、注文は購買課から連絡が入ります。購買課は、ホテル内にあるレストランのシェフから欲しい食材の手配を頼まれ、それを探し発注する流れとなります。八百屋や問屋にない野菜はネットを使って探しますので、どんなに素晴らしい野菜を作っていても、購買課の目に留まらなければその野菜はホテルのレストランに届くことはありません。

2 年に何度かテレビの取材を受けています。その際、「なぜタケイファームが選ばれたのか」を聞くことにしています。あるディレクターが、「本来は自分たちで探す必要があるのですが、番組のテーマにあった食材や農家をリサーチャーにお願いして探してもらっています」と言っていました。彼らが探す方法はネット検索がメインとなりますので、ここでも情報発信をしていなければ目に留まらないということになります。

情報発信の大切な3つのポイント

自分の農園の情報発信をするために、Instagram、Facebook、X(旧Twitter)などのSNSやブログ、ホームページを使っている人も多いと思います。2006年、僕が情報発信をするために選んだのはブログでした。このブログは8年間毎日書き続け、総アクセス数は142万を超えています。記事を読んだシェフから、ブログ内のお問合せフォームで問い合わせが入るようになりそれが取引に繋がりました。当時は、ホームページを作るお金がありませんでしたので、無料で発信できるブログを始めたことで数多くのシェフと知り合うことができたのです。

スペインの三ツ星「Azurmendi」のエネコ・アチャシェフが畑に来ました

1. 目的を持ち情報発信をする
最初は種まきや畑で起こったことなどの農作業日記が中心でした。毎日更新することを決めていたため、内容はその日の日記のようなものでした。2年ほど経った時、「今書いていることは、農家が見たらおもしろいかもしれないが、売り上げにつながらない」ということに気づき、それからは品種の紹介や野菜の食べ方、野菜雑学など、野菜を買う人が興味を持つようなHow to系の記事を多くしていきました。

この結果、アクセス数も伸び、レストランや一般消費者からの注文が入るようになり、メディアからの取材も増えていったのです。情報発信において大切なことは 「誰に向けて書いているのか」を意識することです。タケイファームはレストランへ向けて発信していますが、Instagramの記事は英語で書いています。その理由は、ミシュランシェフは外国人が多いためです。

インスタは英語で投稿

2. キャラクター設定をする
SNSでキャラクターにブレがある人を多く見かけます。親近感なのか、気さくな言葉遣いをしているかと思えば、翌日の記事では口調が敬語に変わっているのです。です・ます調でいくのか、くだけた口調でいくのか、文章や言葉遣いはキャラクター設定をする上でとても重要です。誰に向けて発信するのかによって、僕でいくのか、私でいくのか、俺でいくのかも変わります。自分自身をどのような人間として語るのか、ブレないキャラクター設定をすることで物事もスムーズに伝えやすくなります。

僕はというと、客となる可能性があるレストランへ向けて発信していますので、「野菜にギャグはいらない」「職人気質」「プロの農家」というイメージが伝わるようにしています。野菜セットなどファミリー層が対象であれば、「今日は息子がニンジン掘りを手伝ってくれました」のような和気あいあいの画像を付ける記事は大正解だと思いますが、ミシュランシェフにとっては購買意欲がなくなってしまう記事でもあるのです。

イメージもできるだけ固定した方がよいです。僕がメディアに出たり、畑に見学者が来たりするときは、黒のTシャツにカーゴパンツを着用するようにしています。相手が画像や映像を見た瞬間に「タケイファームの武井さんだ」と認識しやすいためです。

作業着でイメージを固定する

3. 情報伝達効率が高い写真
SNSの最強ツールは写真です。文章だけでは記事を読んだ人の数だけたくさんのイメージが出てきますが、写真が一枚あれば同じように伝えることができます。写真は情報を発信するために欠かせないのです。ジャガイモの写真が必要な場合、20カットほど撮影しその中から一番良いものを選びます。今のスマホのカメラは機能も充実し手軽に質の高い写真を撮れますので一眼レフなども必要ありません。
スマホでの撮影テクニックはこちらで解説していますので是非ご覧ください。

20カットの中で選んだジャガイモ画像

畑に種をまくことと同じくらい、情報発信の持つ意味は大きいのです。「誰に向けて何をどのように情報発信するか」を頭に入れて記事を書くことでその記事の持つ力は大きく変わります。

ABOUT執筆者紹介

武井敏信

タケイファーム

タケイファーム代表。「営業はしない」がポリシー。今まで350種類を超える野菜を栽培し、年間栽培する野菜は約140品種。独自の販売方法を生み出し、栽培した野菜の95%をレストランへ直接販売している。趣味は食べ歩き。一般社団法人Green Collar Academy理事。青山学院大学ABS農業マーケティングゲスト講師。京都和束町PR大使。

 

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