15 May

従業員の子どもの‘’小学校へ入学後‘’ワークライフバランスを実現する上で会社が配慮できることは?

掲載日:2023年05月15日   
社会保険ワンポイントコラム

育児・介護休業法には「育児休業」だけでなく、『子の看護休暇』『時間外労働の制限』『短時間勤務制度』なども定められています。しかしこれらの制度は、3歳に満たない子を養育する場合、もしくは小学校就学前の子を養育する場合となり、就学後については法令義務となっていません。今回は、小学校就学後の子を養育する場合に、会社としてどのような配慮ができるかを解説します。

現状「放課後児童健全育成事業」から

小学校就学後の子を養育する従業員への配慮についてお伝えする前に、まずは「放課後児童健全育成事業」を通じて、就学後のこどもを取り巻く現状をお伝えします。

「放課後児童健全育成事業」とは?

児童福祉法に基づき『保護者が労働等により昼間家庭にいない小学校に就学している児童に対し、授業の終了後等に小学校の余裕教室や児童館等を利用して適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図るもの』として「放課後児童健全育成事業」があります。呼称は『放課後児童クラブ』『学童保育』などが一般的で、地域によって独自の呼称を付けていることころもあります。

今回は、厚生労働省「令和4年放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」の内容をご紹介します。

登録児童数は過去最高。低学年ほど、登録者は多い

時代の変化とともに、こどもの放課後の居場所へのニーズがより高まってきています。
特に、就学間もない小学1年生のニーズが高く、就学前の保育園などから就学後に移行するケースが多いと考えられます。

令和4年登録児童数⇒過去最高値を更新

  • 1,392,158人(前年比:43,883人増)

学年別登録児童数(内訳)

  • 小学1年生:435,938人(31.3%)
  • 小学2年生:384,977人(27.7%)
  • 小学3年生:295,006人(21.2%)
  • 小学4年生:158,215人(11.4%)
  • 小学5年生:77,978人(5.6%)
  • 小学6年生:40,044人(2.9%)

待機児童数が多いのは、小学校3~5年生

小学校低学年についてはニーズが高いこともあり、サービスの提供が安定してきている一方、小学校3年生以降については利用できない児童の割合が多い現状です。

令和4年待機児童数(利用できなかった児童数)

  • 15,180人(前年比:1,764人増)

学年別待機児童数(内訳)

  • 小学1年生:2,117人(13.9%)
  • 小学2年生:1,931人(12.7%)
  • 小学3年生:3,492人(23.0%)
  • 小学4年生:4,556人(30.0%)
  • 小学5年生:2,247人(14.8%)
  • 小学6年生:837人(5.5%)

18時30分を超えて、開所しているクラブが全体の6割超え

18時30分を超えて開所しているクラブは増加傾向にあります。
また、時間にかかわらず、夏休みなどにおいても約97%のクラブが開所しています。

【令和4年クラブの平日の終了時刻】

  • ~17時まで:97か所(0.4%)
  • ~18時まで:4,585か所(17.2%)
  • ~18時30分まで:5,782か所(21.7%)
  • ~19時まで:14,174か所(53.1%)
  • 19時超え:2,042か所(7.7%)

ポイント 会社としての‘’3つの配慮‘’

それでは、従業員のライフバランスを実現する上で、会社としてどのような配慮ができるかを確認していきます。

ポイント①「休暇」への配慮

育児・介護休業法には「子の看護休暇」がありますが、法令では就学前の児童が対象です。特に「こどもの体調が悪くなること」は就学年齢に達したからといって、減るものでもありません。こどもの気持ちが不安定な時期に、保護者がそばに寄り添うことはとても大切です。

例えば、年次有給休暇について時間単位の取得を導入するだけでも、こどもを病院へ連れて行くなど、少しでも時間を有効に活用することができます。さらに「子の看護休暇」の対象年齢を伸ばすなど、会社独自の取り組みを明確にすれば、従業員も安心して休みを申し出ることができる職場風土へとつながります。

ポイント②「出勤・退勤時間」への配慮

「こどもの学校・放課後の時間」と「保護者の出勤時間」が完全に一致すれば、『こどもと保護者が一緒に過ごす時間は最大』になりますが、それを一致させることは容易ではありません。

しかし仮に「30分ずつ出勤・退勤時間を早めることで、こどもと過ごす時間が30分間増える」ことができるとしたら、それはとても大きな効果です。その30分間をどのように活用するかは家庭の事情によりますが、例えばその30分間で一緒に夕食を過ごす時間を確実につくることができたり、その時間の中で、こどもの悩みを聞いたりする余裕が生まれるのであれば‘’とても中身が充実した30分間‘’となります。

「フレックスタイム制」「テレワーク」などさまざまな働き方が推進されている中で、会社がこどもの健やかな成長を願い、就学後も意識して取り組みを行うことが大切です。

ポイント③「採用・異動」への配慮

業種や会社の方針にもよりますが、一般的に採用や人事異動が多いのは『4月』です。慣れない仕事に緊張感を持ち、取り組む時期でもあります。

一方で、こどもが進級・進学をするのも『4月』です。期待に胸を躍らせることもあれば、過度な緊張や不安な気持ちにより体調を崩したり、学校へ行けなかったりすることもあるかもしれません。こどもにとっても、保護者にとっても『4月』は大きな節目となる時期です。そのような状況をふまえ、例えば「育児に専念してきたが、落ち着いてきたので新しい仕事に就こう」という方がいた場合に、正職員になる枠が『4月採用』しかなかったとします。

落ち着いたとはいえ、こどもが進級・進学により、体調を崩すこともあるかもしれません。そのような場合に休みたいと思っても、年次有給休暇が採用後の6か月後にしか取得できないのであれば、休みを申し出ることにも気を遣うものです。就学後のこどもを養育する方にとってみれば、休暇が一番欲しいのは「採用後間もない時期」かもしれません。そのような事情も配慮し、会社独自の取り組みができれば、採用戦略により優秀な人材を獲得する上で、有利に働くことへもつながっていきます。

今回お伝えした‘’3つの配慮‘’は、あくまでも例示です。

「近隣に親戚がいるのか」「ひとり親家庭なのか」「障害のある子なのか」「業種の性質上、働く時間が不定期になってしまうのか」など事情によって、求められる配慮はそれぞれです。

画一的な取り組みだけでなく、一人ひとりのワークライフバランスを実現する上での柔軟な取り組みを心掛けていきましょう。

ABOUT執筆者紹介

社会福祉士・社会保険労務士 後藤和之

ごとう人事労務事務所

昭和51年生まれ。日本社会事業大学専門職大学院福祉マネジメント研究科卒業。約20年にわたり社会福祉に関わる相談援助などの様々な業務に携わり、特に福祉専門職への研修・組織内OFF-JTの研修企画などを通じた人材育成業務を数多く経験してきた。現在は厚生労働省委託事業による中小企業の労務管理に関する相談・改善策提案などを中心に活動している。

原稿提供元株式会社ブレインコンサルティングオフィス「かいけつ!人事労務」

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