キャッシュレス・消費者還元事業について(中小・小規模事業者向け)
税務ニュース
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キャッシュレス・消費者還元事業とは
2019年10月1日の消費税率10%への引上げに伴う需要平準化対策と、キャッシュレス対応による生産性向上や消費者の利便性向上を目的として、消費税率引上げ後から2020年6月末までの9ヶ月間に限定して、消費者がキャッシュレス手段を利用して中小・小規模の小売店・サービス業者・飲食店等で支払をした際に、キャッシュレス決済事業者が行うポイント還元等を国が支援する事業です。消費者への還元率は原則5%ですが、大企業フランチャイズチェーン傘下の中小規模事業者の店舗での購買の場合は2%となります。
中小・小規模事業者が享受する支援内容
キャッシュレス決済端末等の実質無料導入(端末導入費用の1/3を決済事業者が負担することを前提に、残りの2/3を国が補助します。)と、決済事業者に期間中に支払う加盟店手数料(3.25%以下)のうち1/3相当額の補助を受けることができます。
支援対象となる業種・取引は?
基本的にすべての業種・取引が対象となりますが、①風営法上の風俗営業者や暴対法上の暴力団等に関係するもののような社会通念上不適切と考えられる者、②郵便切手類や商品券・プリペイドカード等の譲渡のように換金性の高い取引、③自動車や新築住宅などの別途の需要平準化対策が講じられる取引、④医療・福祉・学校等の消費税非課税取引がその太宗を占めると考えられる者などが行う取引は対象外となります。
また、業者間での取引を繰り返すことによるポイントの不正取得等にも厳しい対応を取る予定となっています。
中小・小規模事業者の範囲
原則として中小企業基本法上の中小企業等となりますが、直近過去3年分の各年または各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える中小・小規模事業者は対象外となります。
中小・小規模事業者の参加方法
クレジットカード・電子マネー・QRコード決済等のキャッシュレス決済手段を提供する事業者のうち、キャッシュレス・消費者還元事業の公募に応じた事業者(2019年6月7日時点で登録済事業者が176社)が代行で申請し、登録を受けることにより参加することとなります。
軽減税率対策補助金との関係
消費税の軽減税率制度に対応するための支援として、軽減税率対策補助金があります。キャッシュレス端末等の導入に関して軽減税率対策補助金の助成を受けると導入費用の3/4を国が補助することとなりますが、軽減税率対策補助金とキャッシュレス・消費者還元事業の補助制度はいずれかの選択適用となります。
キャッシュレス比率の現状と今後について
現在、キャッシュレス決済比率は20%程度といわれていますが、この事業による効果も含めて2025年までに民間最終消費支出に占めるキャッシュレス決済比率40%が目標として掲げられており、将来的にキャッシュレス決済に対応できないとなれば消費者の選択肢から外れてしまう可能性もあります。一方、キャッシュレス化によりレジ締めや現金取扱いに伴うコスト削減による業務効率化が図れますので、キャッシュレス決済への対応もフォローアップしていく必要があるのではないでしょうか。
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