01 May

税務の災害対応-新型コロナウイルスについても適用できるのか?

update_2020年05月01日   
税務ニュース

本稿、執筆している時点で、世の中はコロナウイルス関連一色です。

そんななか税務関連では、令和元年所得税の確定申告の期限が従来3月16日(3月15日が休日のため翌日)だったものが、1か月延長されました。所得税だけではなく、同じ申告期限の贈与税や3月31日期限の個人消費税の申告期限についても同様に4月16日でした。それに伴う届出書関係も1カ月延長されています。ここで知りたいのは法人の税務申告についてです。5月は3月決算法人の法人税、消費税の申告期限でこれを読んでいる方の中にも、決算申告作業で忙しくなっている方も多いのではないでしょうか。

所得税申告に関しては、その時期に多くの納税者が税務署に出向き申告・相談をすることから、税務署が感染を拡げる場になることを懸念したための措置が取られ一律に申告期限が延長されたのです。これに対して法人申告の場合は、3月決算企業が多いとはいえ個人所得税に比べると数自体が少ないこと、そもそも税務署に来署する人数が少ないことから、一律の取扱いについては見送られているようです。

税の一般的な決まりを規定している国税通則法では、災害など納税者の責めに帰さないやむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出又は納付等の期限までに、これらの行為をすることができないと認められるときは、その理由がやんだ日から2か月以内に限り、その期限が延長されるとしています。そして、その延長の方法ですが、自動的に確定申告・納税期限が延長される地域指定と、申請により延長を受けることができる個別指定があります。今回の所得税の場合については、一律で指定されたケースになりますが、法人税の申告については個別で対応することになります。

災害その他やむを得ない理由とは、「申告等」の不能に直接因果関係を有するおおむね次に掲げる事実とされています。

(1)地震、暴風、豪雨、豪雪、津波、落雷、地滑りその他の自然現象の異変による災害
(2)火災、火薬類の爆発、ガス爆発、交通途絶その他の人為による異常な災害
(3)申告等をする者の重傷病、申告等に用いる電子情報処理組織(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律第三条第一項に規定する電子情報処理組織をいう。)で国税庁が運用するものの期限間際の使用不能その他の自己の責めに帰さないやむを得ない事実

もちろん、この延長は、申告期限だけでなく納付期限についても適用されることになります。今回のコロナウイルスに関しては、例えば社内に感染者が出たため決算書等の申告書類の作成ができない状況になってしまった、5月に予定していた株主総会をコロナウイルス対策のため開催することができず決算等が確定しなかった、会社がコロナウイルスの対策で休業中である等の理由が考えられます。国税庁のHPにおいても以下のようなケースが“やむを得ない理由”として認められるとされています。

1.体調不良により外出を控えている方がいること
2.平日の在宅勤務を要請している自治体にお住いの方がいること
3.感染拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている方がいること
4.感染拡大防止のため外出を控えている方がいること

また、上記のような理由以外であっても、感染症防止の影響を受けて期限までに申告・納付が困難な場合には、個別に期限の延長が認められます。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/index.htm

直接的にコロナウイルスの影響を受けている場合はもちろん、感染拡大防止措置のためということも認められるのです。税務関係の申請書類は基本的に事前に税務署等に提出することが求められますが、今回のケースでは、作成・提出できるようになった時点で申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記して提出しても認められることになっています。この取り扱いは、法人税だけでなく、消費税、源泉所得税に係る各種申請や届出など、申告以外の手続きについても、個別に期限延長の取扱いが可能となっています。

また、肝心の納税ですが、こちらも原則として“申告書等の提出日”ということになります。新型コロナウイルス感染症の影響により、期限内に申告・納付することが困難な法人については、申告・納付ができないやむを得ない理由がやんだ日から2か月以内の日を指定して申告・納付期限が延長されることになります。

実務的な対応としては、法人の申告書等を作成・提出することが可能となった時点で、上記文言を記載したうえで申告・納税を行うことになります。具体的な手続きが始まるのは申告する時点からとなりますので、その点は安心です。ただし気を付けなければならないのは、この手続きはあくまで税務署に対するものだということです。つまり、都道府県の法人地方税や事業税、市町村の法人地方税については、別途手続きをしなければならないということです。具体的な対応方法については、各地方税の自治体HPで確認するとよいでしょう。

ABOUT執筆者紹介

税理士 出口 秀樹

出口秀樹税理士事務所

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