26 July

中小企業にお勧めの「従業員」に関する2021年度(令和3年度)の助成金について<後編>

掲載日:2021年07月26日   
税務ニュース

「中小企業にお勧めの「従業員」に関する2021年度(令和3年度)の助成金について<前編>」に続いて、後編をお送りします。従業員のキャリアアップや人材開発関連、新型コロナウイルス関連の助成金にも触れています。コロナ禍で非常に話題になった「雇用調整助成金」や、働き方改革を推進する「働き方改革推進支援助成金」などをご紹介します。
※助成金の受給要件は主要部分のみを記載している場合もございます。申請にあたっては、受給要件を満たしているかどうかを別途必ずご確認ください。

【雇用維持関係】雇用調整助成金

概要

景気の変動、産業構造の変化などの経済上の理由で、事業活動の縮小を余儀なくされた場合、休業、教育訓練または出向を実施することで、労働者の雇用の維持を図る場合に賃金・休業手当等の一部が助成されます。また、教育訓練を実施した場合は、教育訓練費が加算されます。

主な受給要件

一般事業主が受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要です。

(1) 生産指標の減少
最近3か月の生産量、売上高などの生産指標が前年同期と比べて10%以上減少していること。

(2) 労働者数が増加していないこと
扉用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者数の最近3か月間の月平均値の扉用指標が前年同期と比べ、中小企業は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと(大企業は5%を超えてかつ6人以上)。

(3) クーリング期間制度を満たしていること
過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から1年を超えていること。

(4) 一定の基準を満たすこと
実施する雇用調整(休業、教育訓練、出向)が一定の基準を満たしていること(一部)。

① 休業
労使間の協定(労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には労働者の過半数を代表する者との間で書面により行なう必要がある)で、所定労働日の全1日にわたって実施されるものであること。ただし、当該事業所の対象労働者(被保険者)全員について一斉に1時間以上実施されるもの(短時間休業)であっても可。

② 教育訓練
①と同様の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とし、受講者は当該受講日において業務(この助成金の対象となる教育訓練を除く)に就かないものであること。

③ 出向
対象期間内に開始し、3か月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること。

(5) 休業規模要件を満たしていること
中小企業の場合、判定基礎期間での対象被保険者に係る休業等の実施日の延日数が、対象労働者に係る所定労働延日数の1/20以上の場合のみ対象となる(大企業は1/15以上)。

(6) 教育訓練の要件

  • 事業所内訓練、事業所外訓練ともに全1日または半日(3時間以上で所定労働時間未満)にわたり行なわれるもの
  • 助成対象とならない教育訓練の判断基準は以下のとおり(一部抜粋)

① 職業に関する知識、技能または技術の習得または向上を目的としていないもの
② 職業人として共通して必要となるもの
③ 趣味・教養を目的とするもの
④ 通常の事業活動として遂行することが適当なもの
⑤法令で義務付けられているもの ほか

支給頷

事業主が支払った休業手当等負担額の相当額に、助成率(中小企業は2/3) を乗じた額になります。なお、教育訓練を行なった場合は、これに日額1,200円が加算(2021年5月1日現在で8,370円が上限)されます。休業・教育訓練の支給限度日数は、その初日から1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分(上限日数)です。出向の場合は最長1年の出向期間中について受給できます。

【労働時間等の設定改善】働き方改革推進支援助成金

概要

働き方改革推進支援助成金は、中小企業における労働時間の設定の改善の促進を目的とし、生産性を高めながら労働時間の縮減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業・小規模事業者や、傘下企業を支援する事業主団体に対して助成されます。
今年度は一部のコースについて名称が変更され、4つのコースに分かれています。

1.労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間の短縮や、年次有給休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む際、外部専門家によるコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた事業主に対して、その経費の一部を助成

【助成率】

・3/ 4(事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は4/5助成)

【上限額】

成果目標の達成状況に基づき、最大200万円(一定要件の場合は最大440万円)
※詳細についてはホームページ等で要確認

 

2.勤務間インターバル導入コース

勤務間インターバル制度を導入する際、外部専門家のコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた場合に、その経費の一部を助成

【助成率】

・3/ 4(事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円超の場合は4/5)

【上限額】

インターバル時間数等に応じて、
① 9時間以上11時間未満80万円(一定要件の場合は最大320万円)
② 11時間以上100万円(一定要件の場合は最大340万円)など

※詳細についてはホームページ等で要確認

 

3.労働時間適正管理推進コース

労務・労働時間の適正管理を推進することを目的として、外部専門家のコンサルティング、労務管理用機器等の導入等を実施し、改善の成果を上げた場合にその経費の一部を助成

【助成率】

・3/ 4(事業規模30人以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円超の場合は4/5)

【上限額】50万円(一定要件の場合、最大290万円)

※詳細についてはホームページ等で要確認

 

4.団体推進コース

中小企業の事業主団体で、傘下企業の労働時間短縮や賃金引上げに向けた生産性向上に資する取組みに対して、その経費を助成

【助成額】

対象経費の合計額または総事業費から収入額を控除した額のいずれか低いほうの額

【上限額】

500万円
都道府県またはブロック単位で構成する中小企業の事業主団体(傘下企業数が10社以上)の場合は上限額1,000万円

※「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、以下(l)の取組みを実施し、(2)を達成した場合に助成額を受給できる

(l)支給対象となる取組み

①就業規則・労使協定等の作成・変更、②研修(業務研修を含む)、③外部専門家によるコンサルティング、④労務管理用機器等の導入・更新、⑤労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新、⑥人材確保に向けた取組み等

(2)成果目標

次のいずれかの目標を1つ以上実施
①36協定の月の時間外・休日労働時間数の縮減
②特別休暇の整備
③時間単位年休の整備

【再就職支援関係の助成金】労働移動支援助成金

概要

労働移動支援助成金は、事業規模の縮小等により離職を余儀なくされる労働者等に対する再就職支援のための措置等を講じる事業主に対して助成金が支給されます。この助成金は「再就職支援コース」と「早期雇入れ支援コース」の2コースがあります。ここでは、再就職支援コースを紹介します。

再就職支援コース

再就職支援コースの支給対象者

次の、①~⑦のすべてに該当することが必要です。

① 申請事業主の作成する「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であること
② 申請事業主に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として継続して雇用された期間が1年以上であること
③ 申請事業主の事業所への復帰の見込みがないこと
④ 再就職先が未定であること、またはこれに準ずる状況にあること
⑤ 職業紹介事業者によって退職勧奨を受けたと受け止めていない者であること
⑥ 申請事業主によって退職強要を受けたと受け止めた者でないこと
⑦ 申請事業主が職業紹介事業者に委託して行なう再就職支援を受けることを承諾していること

再就職支援コースの申請事業主

次の(1)と(2)の要件に該当している事業主であることが必要です。

(1) 人員削減を行なう組織(事業部門、事業所、事業部、企業等のいずれの単位でも可)において、次の① または② に該当する事業主であること

① 売上等の事業活動を示す指標が、対前年比10%以上減少していること(直近1年間の平均や今後3年以内に対前年比10%以上の減少となる見込みでも可)
② 直近の決算における経常利益が赤字であること、または今後3年以内に赤字となる見込みがあること

(2) 中小企業以外の事業主の場合、職業紹介事業者への委託による再就職支援の対象者(再就職援助計画または求職活動支援書の対象者)が30人以上であること

なお、再就職支援の実施について委託契約を締結した職業紹介事業者(関連事業主含む)から、支給対象者の離職日の前日から1年前の日以後、当該支給対象者の再就職援助計画の認定をハローワークに申請または求職活動支援基本計画書を労働局に提出した日までの間に、退職コンサルティングを受けた事業主などは本助成金を受給できません。

支給区分と支給額は、以下のとおりです(1年度1事業所当り500人分が限度)。

再就職支援コースの支給区分

再就職支援 再就職支援を職業紹介事業者に委託して再就職を実現させた場合に助成
  訓練 再就職支援の一部として訓練を実施した場合、助成金を上乗せ
グループワーク 再就職支援の一部としてグループワークを実施した場合、助成金を上乗せ
休暇付与支援 離職決定労働者に対して、事業主が求職活動のための休暇を与えた場合の助成
職業訓練実施支援 離職決定労働者に対して、再就職のため職業訓練実施支援の訓練を教育訓練施設等に委託して実施した場合の助成

再就職援助計画等の対象者の再就職支援コースの支給額

  中小企業事業主 中小企業事業主以外
再就職支援(※1) 通常 (委託費用-訓練実施に係る費用-グループワーク加算の額)×l/2【2/3】 (委託費用-訓練実施に係る費用-グループワーク加算の額)×1/4【l/3】
特例区分(※ 2) (委託費用-訓練実施に係る費用-グループワーク加算の額)×2/3【4/5】 (委託費用-訓練実施に係る費用-グループワーク加算の額)×1/3【2/5】
訓練やグループワークの実施を委託した場合
〈訓練〉訓練実施に係る費用×2/3を加算(上限30万円)
〈グループワーク〉3回以上実施で1万円を加算
休暇付与支援休暇(再就職実現時) 1日当り8,000円(上限180日分) 休暇1日当り5,000円(上限180日分)
早期再就職加算1人につき10万円
職業訓練実施支援(再就職実現時) 訓練実施に係る委託費用×2/3(上限30万円)

【 】内は支給対象者が45歳以上の場合
(※1)離職から6か月以内(45歳以上は9か月以内)に雇用保険一般被保険者または高年齢被保険者として再就職することが必要
(※2)特例区分の対象者は別途対象要件あり

早期雇い入れ支援コース

早期雇い入れ支援コースの支給対象者

次の①~③の全てに該当することが必要です。

①離職から3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れられること
②申請事業主に雇い入れられる直前の離職の際に「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者となっていること
③雇用されていた事業主の事業所への復帰の見込みがないこと

早期雇い入れ支援コースの申請事業主

支給対象者となるには、次の(1)と(2)の措置を取ることが必要です。

(1)支給対象者を離職日の翌日から3か月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れること。
※有期雇用契約で雇い入れた後に期間の定めのない労働者として雇い入れた場合や紹介予定派遣で雇い入れた場合には支給対象となりません。

(2)支給対象者を一般被保険者又は高年齢被保険者として雇い入れること。
支給決定時までに事業主都合による解雇等により支給対象者を雇用しなくなった場合は、支給されません。

受給額

令和3年4月1日以降に提出された再就職援助計画等の対象者を雇い入れた場合
※それ以前に提出された再就職援助計画等の対象者については、割愛します。

早期雇入れ支援

(1)通常助成 支給対象者1人につき30万円が支給されます。
(2)優遇助成 生産指標等により一定の成長性が認められる事業所の事業主が、REVIC(株式会社地域経済活性化支援機構)、中小企業再生支援協議会等による事業再生・再構築・転廃業

支援を受けている事業所等から離職した方を雇い入れた場合、支給対象者1人につき40万円が支給されます。さらに、優遇助成に該当する場合であって、雇入れの1年後に賃金が2%以上アップした場合、支給対象者1人につき60万円(雇入れから6か月経過後に40万円(第1回申請)、さらに6か月経過後に20万円(第2回申請))が支給されます。また、優遇助成に該当する場合であって、新型コロナウイルス感染症の影響による事業規模の縮小等により、雇入れた事業所と異なる業種(大分類)の事業所を離職した雇入れ日において45歳以上の者を雇入れた場合には、支給対象者1人につき40万円を加算します。

人材育成支援

早期雇入れ支援の支給対象となる方に職業訓練を実施した場合、以下の額を上乗せして支給します。

訓練の種類 助成対象  支給額(通常助成) 支給額:優遇助成 支給額:優遇助成(賃金上昇区分)
Off-JT 賃金助成 1時間あたり900円 1時間あたり1,000円 1時間あたり1,100円
訓練経費助成 実費相当額 上限30万円 実費相当額 上限40万円 実費相当額 上限50万円
OJT 訓練実施助成 1時間あたり800円 1時間あたり900円 1時間あたり1,000円

まとめ

いかがだったでしょうか。「想像よりも助成金の種類が多くて驚いた」という感想を抱いた方もいらっしゃるかもしれません。非常に様々な助成金がある中で、本当は受給できる要件を満たしているのに、知識がないために受給できなかったというケースもあります。年度によって受給対象が変更となる場合もありますから、常に最新の情報を収集して、賢く的確に助成金を利用していきたいものです。

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ソリマチ株式会社 みんなの経営応援通信編集部

 
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