03 March

【とにかく早いうちに登録申請書の提出を】備えあれば憂いなし!今から始める「インボイス制度」への対応

掲載日:2022年03月03日   
税務ニュース

消費税の実務について、インボイス制度と呼ばれる「適格請求書等保存方式」が2023年(令和5年)10月からスタートします。当制度は必ず適格請求書発行事業者登録をすることが前提となっており、すでに事業者登録の申請が受け付けられています。

<インボイス制度 事前準備の留意点>

  • とにかく早いうちに登録申請書の提出を!
  • 売り手事業者としてインボイス交付に対応できる体制づくりを!
  • 買い手事業者は継続的な取引先に事業者登録やインボイス交付方法などの事前確認を!

申請から登録までのイメージ

  1. 登録を申請できるのは、消費税の課税事業者のみです。ただし、免税事業者であっても登録を受けようとする課税期間において課税事業者となるときは、申請書を提出できます。
  2. 適格請求書発行事業者の登録申請書』の提出はe-Taxの利用が推奨されていますが、郵送でも可能です。郵送の場合の宛先は、各国税局の「インボイス登録センター」となります。
  3. 付与される登録番号は、法人の場合は既存の「法人番号」、個人の場合は登録センターが定めた13桁の番号となり、必ずアルファベット“T”の文字が接頭されます。
既存の法人番号がある法人課税事業者  T+ 法人番号
個人事業者を含む上記以外の課税事業者  T+ 13桁の番号

みんなのインボイスも是非ご利用ください

令和5年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始します。このウェブサイトでは、あなたの会社に適した「インボイス制度の情報提供」と「適格請求書(インボイス)申請登録書」の作成をかんたんに行うことができます。詳しくはこちらをご覧ください。

制度導入までのスケジュール

免税事業者の登録手続が見直されました!

1. 課税事業者となるための取り扱いに関する経過措置

免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、まず課税事業者となる必要があるため、原則として『消費税課税事業者選択届出書』も所轄の税務署に提出しなければなりません。しかし令和4年度税制改正により、経過措置として2023年(令和5年)10月1日から2029年(令和11年)9月30日までの日の属する課税期間 については、『消費税課税事業者選択届出書』を合わせて提出しなくても、登録申請書を提出するだけで課税事業者としても取り扱われることになりました。

2. 簡易課税制度の選択に関する経過措置

簡易課税制度の適用を受けるためには、その適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに『消費税簡易課税制度選択届出書』を所轄の税務署に提出しなければなりません。しかし令和4年度税制改正により、2023年(令和5年)10月1日から2029年(令和11年)9月30日までの日の属する課税期間 については、上記1.の経過措置の適用を受ける事業者は、課税期間の途中であっても事後的に簡易課税制度を選択(『消費税簡易課税制度選択届出書』を提出)することができるようになりました。

売り手側としての事前準備

上述の登録申請書の提出はもちろんのことですが、売り手側の立場として、早いうちから適切なインボイス交付の体制づくりをしておきましょう。

1. おさらい

インボイスは通称名です。正式には「適格請求書等」と名付けられています。特に定められた様式はなく、請求書・納品書・領収書・レシート・契約書など(以下「請求書等」)、書類の名称も問いません。必要な事項が記載された書類であれば、「適格請求書等」に該当します。なお登録を受けた事業者はインボイスを交付しなければならず、また、その写しを保存しておかなければなりません。

インボイスとしての要件を満たすための必要な記載事項
  1. 適格請求書等の発行事業者(売り手)の氏名または名称および登録番号
  2. 課税資産の譲渡等を行った年月日
  3. 課税資産の譲渡等に係る資産またはサービスの内容
    (軽減税率の対象である場合は対象資産または対象サービスである旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した税抜対価または税込対価の合計額および適用税率
  5. 税率ごとに区分した消費税額等
  6. 請求書等の受領者(買い手)の氏名または名称(注)

注:不特定多数の者に対して販売等を行う小売業、飲食店業、タクシー業等に係る取引については省略できます。これを「適格簡易請求書等」といいます。

<適格請求書のイメージ>

2. どんな書類をインボイスとするのか決める

まず売り手側の立場として、買い手に交付する請求書等のうちどの書類(またはデータ)をインボイスとするのか、必要に応じてあらかじめ決めておきましょう。そのためには自身の課税売上(消費税の課税対象となる売上)が発生する場面で、買い手に交付すべき書類(またはデータ)としてどのようなものがあるのかを洗い出しておく必要があります。

3. 取引先へ自身の登録番号を連絡しておく

次に、自身の適格請求書発行事業者の登録番号を継続的な取引先(買い手事業者)にあらかじめ連絡をしておくとよいでしょう。買い手事業者はインボイス制度の導入前から発注システムへの番号入力や国税庁の公表サイトでの確認ができます。

4. 現行のシステムを改修する、または対応システムを新規に導入する

そして経理・受発注のアプリケーションやレジなど、日ごろからシステムを利用して請求書等を発行し、買い手に交付している場合は、これらの記載要件を満たし、写しを保存できるようにシステムを改修する必要があります。改修できないのであればインボイス交付に対応できるシステムを新規に導入しなければなりません。インボイス制度の導入前から登録番号等が記載された「適格請求書等」を発行しても差し支えないので、制度導入後の不手際を防ぐためにも、できる限り早いうちからシステムを改修または新規に導入して運用しておくことが望ましいでしょう。

買い手側としての事前準備

買い手側の立場からとしても、消費税の申告計算のルール上、インボイスを適切に受領し、保存しておくことが仕入税額控除の要件となっているため、やはり事前の準備は欠かせません。

1. 売り手側に事業者登録の有無とインボイスの様式・受領方法を確認しておく

インボイス制度の導入後に混乱したり不手際を起こさないように、売り手側(仕入先)が適格請求書発行事業者であるのかどうか、インボイスの様式はどのように更新されるのかを確認しておきましょう。売り手側は、インボイス制度導入の機会に交付方法を変更することも考えられるので、買い手側としての受領方法も合わせて確認するようにしておいてください。なお先方へ差し障りなく確認するために、自身の登録番号をお知らせしておくとよいでしょう。

<登録番号確認文書のイメージ>

2. 売り手側が非登録事業者である場合の対応

売り手側(仕入先)が適格請求書発行事業者でない場合、たとえ課税取引であっても、買い手側に係る消費税の申告計算において、仕入税額控除の対象とはならないのはすでにご案内のとおりです。その場合には、事前に売り手側との間で取引価格の協議をしておかなければなりません。

<売り手が免税事業者・買い手が課税事業者の場合の影響>

例)本体価額が1万円である取引の場合

  消費税等1千円の支払いを継続 本体価額のみの支払いに改定
売り手(免税事業者) 売上:1万1千円(影響なし) 売上:1万円(利益が減少
買い手(課税事業者) 1千円が仕入税額控除できない分、仕入額が値上げされたことになる(利益が減少 仕入税額控除できない1千円を支払わなくて済む(影響なし)

ただし、免税事業者からの課税仕入については経過措置があります。インボイス制度の導入後6年間は、登録番号が記載されていなくても区分記載請求書等保存方式(現行制度)と同様の記載事項が満たされた請求書等とこれに係る帳簿を保存しておけば、一定割合(下記の表を参照)の仕入税額控除が認められます。ただし、2029年10月からは適格請求書等の要件を満たさない取引については全額控除することができません

経過措置期間 仕入税額控除額の割合
(前半3年間)
2023年10月1日~2026年9月30日
80%
(後半3年間)
2026年10月1日~2029年9月30日
50%

インボイス制度のスムーズな運用には業務のデジタル化を!

インボイス制度が導入されると、仕入税額控除の計算に必要な書類と必要ではない書類を区分けしなければならず、紙の請求書等で処理していると業務が煩雑になります。アナログ方式でやりとりしている事業者は、インボイス制度の導入を機会に電子データでやりとりする方法を検討すべきでしょう。

折りしも改正電子帳簿保存法では、電子取引についてデータのまま保存することが義務づけられており、印刷紙による保存が認められません(ただし、2023年末までの宥恕措置として、やむを得ない事情がある場合には印刷した書面による保存ができます)。インボイス制度に対応している会計システムや販売管理システムのほか、Web上で請求書等の受け渡しができるクラウドサービスの活用を検討しましょう。

近年、国内ではインボイス制度の導入を見越して、政府と民間企業が協働して電子インボイス推進協議会(通称 EIPA:エイパ)を立ち上げ、国際規格「Peppol:ペポル」に準拠した電子インボイスを国内の標準仕様にすることを策定しています。

この機会に請求業務から経理業務へ一貫して効率化できることを目指して、今のうちから業務の完全デジタル化に向けて取り組んでいきましょう。

インボイス制度とは何か? 具体的な対応方法は?登録事業者になるには? 人気税理士 西原 憲一 先生がインボイス …
ABOUT執筆者紹介

税理士 西原 憲一

西原会計事務所

大阪市生まれ。大阪市立大学 商学部 卒業。監査法人系税務コンサルティング会社に勤務。

2000年3月 西原会計事務所を開設。2002年3月 FP総合事務所 ユナイテッド・エフピー・ファームを設立。2007年6月 株式会社UFPFに組織変更し、代表取締役に就任。

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