19 July

過度の節税は認めない! 中小企業投資促進税制、中小企業経営強化税制の見直しから読み取る、改正に込められたメッセージ

掲載日:2023年07月19日   
税務ニュース

中小企業が一定の機械等を取得したケースなど、設備投資が多額となったときに特別償却又は税額控除の適用を受けることができる、「中小企業投資促進税制」及び「中小企業経営強化税制」。中小企業にとっては設備投資をすることで税制上の恩恵を受けることができ、会社の成長段階においてメリットの多いこれらの特例は、時代の流れに沿って微調整を加えられながら、定期的に適用期限が延長されています。

その「中小企業投資促進税制」及び「中小企業経営強化税制」の適用期限が令和6年度末まで延長された際に、注目すべき調整が加えられたことをご存じでしょうか?それは「コインランドリー業」「暗号通貨のマイニング業」はこれらの税制の対象から除外するというものです。

※コインランドリー業は中小企業経営強化税制と中小企業投資促進税制の両方から、暗号通貨のマイニング業は中小企業経営強化税制から適用除外となります。

「節税商品」VS「国税」イタチごっこの歴史

なぜコインランドリー業と暗号通貨のマイニング業は対象から除外されるのでしょうか?それは、これらが「節税商品」として販売されていることが一部で広まっているためです。

全額を損金として節税を図る目的で多く生み出された生命保険を封じるために行われた、2019年の税制改正。少額のレンタル用資産を大量に購入することで損金を作り出すことを封じるための2022年の税制改正。

ともに「節税商品」として一般化したものに「待った」をかける、個別かつ具体的にターゲットを絞った税制改正でしたが、今回の改正もまさしく特定の「節税商品」に「待った」をかける内容となっています。

節税商品の是非

節税商品は、中小企業の経営者からはとても魅力的なものに見えるようです。税金を払うくらいなら、投資にお金を回したい。しかし、期末まで時間がない中で、本業に関わる投資を一朝一夕では判断できない。そこで、パッケージ化されている節税商品の出番というわけです。

予算に応じて節税に資金を投下し、翌年度以降で収益を上げて回収していくというものが大半で、とりあえずやろう、という判断がしやすいため、決算期末で利益が出ている会社向けに多く販売されていた商品が「コインランドリー業」「暗号通貨のマイニング業」用の機械・設備でした。

しかし、節税を切り口に、特定のそれらを販売する事業者が節税商品を販売することで、事実上は本来税金となるはずだった資金をかすめ取っていく・・・過去の改正からも、国税の視点からはこれを許さないと見ている節があります。

事実、これらは節税商品と言えど、実態は単なる事業投資です。回収が約束されていないものであり、その節税商品を販売した企業の運営がうまくいかなかった場合には、「投資の失敗」という税金の支払いよりもはるかに嬉しくない結果となってしまいます。

今後の税制改正は?

今回の改正では「コインランドリー業」「暗号通貨のマイニング業」が取り上げられましたが、同様の手法にて、パッケージで販売されている節税商品はまだまだ見受けられます。これらを利用する場合には、あくまでも事業投資となるものが大半であり、投資そのものに失敗の可能性があることや、さらに継続的な投資が前提となるものは、税制改正があった場合にその継続可能性に問題がないことなどを良く検討する必要があります。

もちろん、制度の趣旨に則り、本業が成長するための事業投資を行うことが最も良い制度の活用方法であることは言うまでもありません。まずはその可能性がないかを早期から検討することが重要です。

しかし、突発的に期末に利益が発生する場合などでその検討に十分な時間が確保できないケースもあるでしょう。その場合に限り、節税商品を利用するのか、納税をするのか、いずれが会社にとって本当に意義があるのかを見極める必要があると言えます。

今後も制度の隙間を縫って新たな節税商品が開発されることが予想されます。それに対し、どのように税制改正が行われ、さらにどのような新商品が開発されるのか・・・?熾烈なせめぎあいから目が離せません。

ABOUT執筆者紹介

秋田谷紘平

税理士法人 スバル合同会計

1997年、定時制高校を卒業。2005年、税理士試験合格。
2011年より、税理士法人スバル合同会計東京事務所所長に就任。
一般的な会社設立や、法人・個人の税務顧問に加え、不動産、相続、資産運用等も含めた総合的なコンサルティングを得意とし、セミナー講師や書籍の執筆活動、不動産投資、株式投資、仮想通貨投資等、自らの経験を基にした副業に関する税務にも精通する。x

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