21 November

目指せ、e-年調! 年末調整の電子化に取り組もう

掲載日:2023年11月21日   
税務ニュース

今年もいよいよ年末調整シーズンに突入しています。年に1度の事務とはいえ、忙しい年末に負担がかかる作業です。ほとんどの方が、できる限り手間や時間をかけたくないと思うはずです。

年末調整の電子化とは、これまで紙ベースで進めていた年末調整の手続をすべてデータでの手続に代えることです。従業員は各種証明書の取り寄せや各種申告書の作成をパソコンやスマホで簡単にできます。会社などの事業主は従業員と電子データのやりとりで一連の手続が完結するので、従来の紙書面のやりとりでは面倒だった作業が飛躍的に効率化します。

年末調整電子化のメリット

従業員
  1. 手書きでの書類作成が不要に!
  2. 複雑な控除額の計算はソフトにおまかせ!
  3. テレワーク中など社外からも書類(データ)の提出できる!
  4. マイナポータルによる証明書類をまとめて入手できる!
事業主
  1. 紙の各種申告書様式の配布や回収が不要に!
  2. 回収様式の控除額や添付書類のチェック作業が削減!
  3. 給与システムへの手入力が省略される!
  4. 紙の申告書様式や添付書類の保管(場所)が不要に!

※データで年末調整手続を完結させるためには事業主がデータ受付環境を整えておく必要があります。

 

電子化の特徴についてのイメージ

出所:国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ」より一部抜粋

電子化に向けた準備

従業員
  1. マイナンバーカードとスマホ(カード読取対応)またはマイナンバーカードとパソコン(カード読取は、ICカードリーダライタもしくはカード読取対応のスマホによる)を用意する。
  2. 国税庁サイトから当年分の「年調ソフト」をダウンロードする(または事業主からアプリケーションの配布を受ける)。
  3. 保険会社等のサイトなどから控除証明書等の電子データ(以下、「電子控除証明書等」)を入手する。※入手方法は保険会社等により異なる。
    ※マイナポータル連携を利用する場合は、最初だけ事前設定が必要。
    マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧
事業主
  1. 一定の期限を設けて、国税庁から当年分の「年調ソフト」をダウンロードする(または事業主がアプリケーションを配布する)よう周知する。
  2. 各種電子控除証明書等を従業員各自が入手するよう周知する。
  3. 必要に応じて、入手要領及びソフトの使用方法などを案内する。

<マイナポータル連携のイメージ例>

出所:国税庁「マイナポータル連携特設ページ」より一部抜粋

年末調整電子データの作成と電子化の運用

従業員
  1. 「年調ソフト」(または事業主配布の年調アプリケーション)に電子控除証明書等をインポート(自動入力、控除額の自動計算)し、各種年末調整申告書類の電子データを作成する。
  2. (1)の電子データと電子控除証明書等を事業主に送信提出。

※ 保険会社等から電子控除証明書等を入手できない場合、「年調ソフト」に控除証明書の必要事項を手入力し、控除額について自動計算させる。
※ 提出する電子データが従業員本人からのものであることが確認できるように、電子データに事業主から通知を受けたIDおよびパスワードを設定するなどの措置が必要。
※ 紙の控除証明書(ハガキ)等をスキャンするなどしてデータ化したものは事業主に電子データ(の原本)として提出することはできない。

事業主
  1. 従業員から提出を受けた電子データを給与システムにインポートして年末調整年税額を自動計算させる。
  2. (1)の計算額を給料明細に自動で反映させる。    

※ 「年調ソフト」において給与支払者情報(事業主の基本情報)を登録し、電子データとしてエクスポートすることができる。
※ このエクスポートしたデータを従業員に送信し、従業員がそれを「年調ソフト」にインポートすることにより、給与支払者(事業主)の情報を手入力することなく設定できる。
※ 従業員から電子データの提出を受けるための方法として、提出データにパスワードを設定したうえで電子メールによる送受信またはUSBメモリ等・社内LAN・サーバーへの保存提出などが考えられる。

年調ソフト等で作成した電子データを給与システムに取り込む機能のイメージ例

出所:国税庁「年末調整手続の電子化について」リーフレットより一部抜粋
ABOUT執筆者紹介

税理士 西原憲一

西原会計事務所

大阪市生まれ。大阪市立大学 商学部 卒業。監査法人系税務コンサルティング会社に勤務。

2000年3月 西原会計事務所を開設。2002年3月 FP総合事務所 ユナイテッド・エフピー・ファームを設立。2007年6月 株式会社UFPFに組織変更し、代表取締役に就任。近著に『マンガと図解でよくわかる インボイス 消費税の基本と手続きの仕方がわかる本』がある。

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