31 July

これならわかる!消費税インボイス制度の記載ルールを徹底解説!

掲載日:2022年07月31日   
農家おすすめ情報

消費税インボイス記載方法を徹底解説!

今回は具体的なインボイス(適格請求書)応用版記載例をわかりやすく解説する。まず、その前に前回の記事インボイスの考え方及び農協特例・卸売市場特例・直売所をご覧いただき復習をお勧めする。

インボイス番号を取得した事業者は、次にインボイス記載方法及びルールを理解することだ。詳細は本稿をぜひ参考にしていただきたい。記事の記載にあたり国税庁の公表資料をもとに事業者の方にわかりやすく説明している部分は、著者の個人的な見解も含むことをあらかじめお断りする。

もう一度、記載事項をおさらいしてみよう!

① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 

② 取引年月日

③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)

④ 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率

⑤ 税率ごとに区分した消費税額等

⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

インボイスには①から⑥の記載が必要となる。

今回は、上記番号⑤の端数処理の取扱い、①の取引先コードによる記載方法、①~⑥に影響する複数書類の対応や修正が生じた場合のインボイス記載例をチェックしていく。

 

端数処理インボイスの正しい記載例はコレだ!

税率ごとに掛け合わせた商品金額がすべて割り切れるとは限らない。端数が生じた場合、割り切れない時はどうするのかと疑問を抱く方も多かろう。

「税率ごとに区分した消費税額等」の端数処理

電卓(スマホ)で実際に計算して確認していただきたい。上図の請求書より税率ごとに端数処理1回ずつ処理していることがわかる。本事例では、購入者が1円でも安い方がよしと考慮し端数は「切捨て」で処理している。端数処理は「切捨て」以外にも「切上げ」や「四捨五入」による方法もあり、事業者が選択できるようになっている。複数の事業所があるところはシステムにあわせて端数処理することになる。

ここがポイント

インボイスの記載事項「税率ごとに区分した消費税額等」に1円未満の端数が生じる場合には、一のインボイスにつき、税率ごとに1回の端数処理(「切上げ」、「切捨て」、「四捨五入」など任意の方法)を行う。

 

認められない端数処理

インボイス導入で端数が生じるケースもあるが、以下の事例は認められないので注意して対応していただきたい。

上図の記載例は、税率ごとに1回の端数処理ではなく個々の商品ごとに消費税額を計算(その都度端数処理)し、税率ごとに合計しているが、個々の商品の数だけ端数処理を行うこととなり、インボイスの記載事項としては認められないので注意すべきである。

ここがポイント

一のインボイスに記載されている個々の商品ごとに消費税額等を計算し、端数処理を行い、その合計額を「税率ごとに区分した消費税額等」として記載することはルールにより認められない。

 

取引先コードによる記載方法

登録番号を取引先コード表で別途共有している場合、登録番号の記載があるものとして取り扱う。

ここがポイント

インボイスには、「適格請求書発行事業者の氏名又は名称」及び「登録番号」の記載が必要となる。登録番号と紐付けて管理されている取引先コード表などを相手方と共有しており、買手においても取引先コード表などから登録番号が確認できる場合には、請求書等に取引先コードなどを記載することで「適格請求書発行事業者の氏名又は名称」及び「登録番号」の記載があるものとして取り扱われる。

 

複数の書類による対応

日々の取引は納品書、月まとめは請求書など、インボイスに必要な記載事項が納品書と請求書で合わせて満たされている場合も認められる。

ここがポイント

インボイスとは、一定の記載事項が記載された請求書、納品書等これらに類するものをいう。一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はない。例えば、請求書と納品書など、相互の関連が明確な複数の書類全体で記載事項を満たしていれば、これら複数の書類を合わせて一のインボイスとすることも可能だ。

 

修正したインボイスの記載例

インボイスを交付したものの記載に誤りがあった場合どうすればよいのか?記載例(10%対象の売上額及び消費税額等が誤っていたケース)を参考に修正する。

ここがポイント

交付したインボイスに誤りがあった場合には、修正したインボイスを交付する必要がある。
修正したインボイスの交付方法は、①修正点を含め全ての事項を記載した書類を改めて交付する。②当初に交付したインボイスとの関連性を明らかにした上で修正した箇所のみを明示した書類を交付する(本記載)。

 

最後に

インボイス記載には一定のルールがあると頭に入れ注意すべきである。必要な事項の記載がない場合はインボイスとしては認められないため登録で安堵するのではなく、今から記載方法を理解して制度の導入に備えることである。

尚、導入に際しシステムに変更が生じるケースも発生するであろう。その際はIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金など有効に活用し慌てることなくインボイス制度開始に臨んでいただきたい。

ABOUT執筆者紹介

佐藤宏章

公認会計士/税理士
公認会計士・税理士 佐藤宏章事務所 代表

秋田県農家出身(酪農・メロン・水稲)。東京農業大学農学部農学科卒業後、農業経営者に的確なアドバイスをと一念発起し、公認会計士資格取得。監査法人勤務を経て、「日本初の農業に特化した専門家」として独立開業。

農業経営者に会計・税務・経営をわかりやすく伝えることをモットーに、全国各地で活動中。企業・自治体・大学・税理士会等向けに講演、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日)「めざましテレビ」(フジテレビ)その他メディア出演も多数。かつてないスタイルで唯一無二の存在と信頼を集める。

日本初の農業に特化した専門家ホームページ

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